労災保険と4つの労働法ー選択肢の振り分けマスター
看護師国家試験 第106回 午前 第35問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会保障制度の基本
国試問題にチャレンジ
労働者災害補償保険法に規定されているのはどれか。
- 1.失業時の教育訓練給付金
- 2.災害発生時の超過勤務手当
- 3.有害業務従事者の健康診断
- 4.業務上の事故による介護補償給付
対話形式の解説
博士
今日は労働関連の法律を整理するぞ。労災保険法が何を定めているかを、他の労働法と対比させて理解するのじゃ。
サクラ
労災保険って「労働者が仕事中にケガしたら治療費が出る」ってイメージなんですが…
博士
その理解でおおむね正しい。正式名称は「労働者災害補償保険法」。業務上または通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡に対して被災労働者や遺族を保護する法律じゃ。
サクラ
保険料は誰が払うんですか?
博士
原則として事業主が全額負担じゃ。労働者の負担はない。パート・アルバイトも含めて全労働者が対象になる。
サクラ
給付にはどんな種類がありますか?
博士
療養補償給付(治療費)、休業補償給付(休業4日目から給与の約8割)、障害補償給付、遺族補償給付、介護補償給付、傷病補償年金、葬祭料などじゃ。選択肢4の「介護補償給付」はこの中の一つ。
サクラ
選択肢1の「教育訓練給付金」は、労災とは違う法律ですか?
博士
これは「雇用保険法」の給付じゃ。失業者や在職者が厚労大臣指定の職業訓練を受けた際、費用の一部が支給される。雇用保険はほかに基本手当(いわゆる失業手当)、育児休業給付、介護休業給付なども規定しておる。
サクラ
選択肢2の「災害発生時の超過勤務手当」は?
博士
これは「労働基準法」の範囲じゃ。33条は災害その他避けられない事由による臨時の時間外労働を定め、37条は時間外・休日・深夜の割増賃金を定めておる。労災保険は補償給付の話であって手当の話ではない。
サクラ
選択肢3の「有害業務従事者の健康診断」は?
博士
これは「労働安全衛生法」じゃ。一般健康診断、有害業務従事者への特殊健康診断、作業環境測定、衛生委員会、ストレスチェック(50人以上事業場)などを事業者の義務として定めておる。
サクラ
4つの法律をどう整理すればいいですか?
博士
こう覚えるとよい。労働基準法=「労働条件の最低基準」/労働安全衛生法=「職場の安全・衛生・健康管理」/労災保険法=「業務・通勤災害後の補償給付」/雇用保険法=「失業・雇用継続への給付」。
サクラ
最近は過労死やメンタルヘルスでも労災が認められることがあると聞きました。
博士
その通りじゃ。脳・心臓疾患(過労死ライン・月80〜100時間の時間外など)や精神障害(業務上のストレス・ハラスメントなど)の労災認定も行われておる。看護師も夜勤や感染症ばく露など労災に直結する職場で働いておる。
サクラ
看護師自身の労災認定でよくあるのは?
博士
針刺し事故によるB型・C型肝炎、HIV感染、腰痛、結核ばく露、夜勤による脳心血管疾患、患者からの暴力によるPTSDなどじゃ。申請には職場の協力が不可欠じゃ。
サクラ
通勤災害も対象になるんですよね?
博士
住居と就業場所の合理的経路・方法での往復の途中で起きた事故も労災の対象。寄り道(逸脱・中断)すると外れるが、日用品の買い物や病院受診などは例外として認められることもある。
サクラ
自分が働くうえでも知っておくべき制度ですね。
POINT
労働者災害補償保険法(労災保険法)は、業務上または通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡に対する補償給付を定める法律で、療養・休業・障害・遺族・介護補償給付などを含みます。選択肢4の「業務上の事故による介護補償給付」はここに明記されています。一方、教育訓練給付金は雇用保険法、災害発生時の超過勤務手当は労働基準法、有害業務従事者の健康診断は労働安全衛生法の規定です。労災保険の保険料は事業主が全額負担し、パート・アルバイトを含む全労働者が対象。近年は過労死や精神障害の労災認定も拡大しており、看護師自身も針刺し事故・腰痛・暴力被害などで労災対象となり得ることを知っておきましょう。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:労働者災害補償保険法に規定されているのはどれか。
解説:正解は 4 です。労働者災害補償保険法(労災保険法)は、労働者の業務上または通勤による負傷・疾病・障害・死亡に対して、被災労働者やその遺族を保護するための必要な保険給付を行う法律です。保険給付には療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、介護補償給付、傷病補償年金、葬祭料などがあり、「業務上の事故による介護補償給付」はこの法律に明記されています。
選択肢考察
-
× 1. 失業時の教育訓練給付金
教育訓練給付金は「雇用保険法」に規定される給付で、失業者や在職者が厚労大臣指定の教育訓練を受講した際に費用の一部が支給される制度。労災保険法の規定ではない。
-
× 2. 災害発生時の超過勤務手当
災害その他避けることのできない事由による臨時の時間外労働(および割増賃金)は「労働基準法(第33条、第37条)」に規定されている。労災保険法の範囲外。
-
× 3. 有害業務従事者の健康診断
有害業務従事者への特殊健康診断や一般健康診断は「労働安全衛生法」に規定されており、事業者の義務として定められている。労災保険は給付制度であり健診義務の規定ではない。
-
○ 4. 業務上の事故による介護補償給付
業務上の傷病で障害補償年金または傷病補償年金を受け、一定の介護を受けている被災労働者に支給されるのが介護補償給付で、労働者災害補償保険法に明記されている。
労働関連法の分担を整理する:①労働基準法=労働条件の最低基準(労働時間、賃金、休日、災害時の時間外労働等)/②労働安全衛生法=職場の安全衛生管理(健康診断、衛生委員会、作業環境測定等)/③労働者災害補償保険法=業務・通勤災害の補償給付/④雇用保険法=失業給付、育児休業給付、教育訓練給付。労災保険は事業主が保険料を全額負担(原則)、対象は全労働者(パート・アルバイト含む)。通勤災害も対象になる点、業務上の精神障害(過労・ハラスメント由来)も認定対象になる点は近年の重要トピック。
労働関連の4法律(労働基準法・労働安全衛生法・労災保険法・雇用保険法)の守備範囲を識別できるかを問う問題。似た選択肢がどの法律に該当するかを整理しておきたい。
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