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一次・二次・三次予防を肺炎で理解するー予防医学の3段階

看護師国家試験 第106回 午前 第36問 / 健康支援と社会保障制度 / 健康と公衆衛生

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第36問

高齢者における肺炎( pneumonia )の三次予防はどれか。

  1. 1.口腔内の衛生管理
  2. 2.肺炎球菌ワクチンの接種
  3. 3.呼吸リハビリテーション
  4. 4.健康診断での胸部エックス線撮影

対話形式の解説

博士 博士

今日は予防医学の3段階について、高齢者の肺炎を題材に整理するぞ。

アユム アユム

一次予防・二次予防・三次予防って、具体的にどう分けるんですか?

博士 博士

こう覚えるとよい。一次予防=病気になる前、二次予防=病気になりかけ・見つける、三次予防=病気になった後のリハビリと再発予防じゃ。

アユム アユム

肺炎球菌ワクチンは一次予防ですよね?

博士 博士

その通り。ワクチンは疾病発生そのものを防ぐ「特異的予防」で、典型的な一次予防。高齢者向けには23価肺炎球菌ワクチン(PPSV23)や15価・20価結合型ワクチンがあり、65歳以上は定期接種の対象じゃ。

アユム アユム

口腔内の衛生管理はどうですか?

博士 博士

これも一次予防。口腔内の細菌を減らすことは誤嚥性肺炎の発症を抑える。特に高齢者の肺炎の多くは誤嚥性肺炎で、口腔ケアの重要性は極めて高い。

アユム アユム

健康診断の胸部X線はどうなりますか?

博士 博士

これはスクリーニング、つまり早期発見だから「二次予防」。検診・人間ドック・がん検診などはすべて二次予防の代表例。

アユム アユム

じゃあ呼吸リハビリテーションは?

博士 博士

肺炎に罹ってしまった後に肺機能の回復を助け、再発や廃用症候群を防ぐ目的だから「三次予防」。呼吸筋訓練、排痰訓練、体位ドレナージ、歩行訓練などが含まれる。

アユム アユム

選択肢3が正解ですね。

博士 博士

その通りじゃ。ここで少し発展じゃが、高齢者の肺炎は誤嚥性肺炎が圧倒的に多い。なぜだと思う?

アユム アユム

飲み込みが弱くなるから、ですか?

博士 博士

正解。加齢による嚥下反射・咳反射の低下、脳血管障害後の嚥下障害、口腔内の汚染、免疫低下が重なっておこる。夜間不顕性誤嚥がとくに問題じゃ。

アユム アユム

「夜間不顕性誤嚥」って?

博士 博士

本人も家族も気づかないうちに、唾液が気管に入り込んでしまう現象。ACE阻害薬が咳反射を改善して予防効果があることで知られておる。

アユム アユム

看護師ができる予防ケアは?

博士 博士

口腔ケア(義歯も含めて毎食後)、食事姿勢(30〜60°に起こす)、一口量の調整、食後2時間の座位保持、嚥下訓練、排痰ケア、そしてワクチン接種の促しじゃ。

アユム アユム

食後の座位保持って、重力で胃からの逆流を防ぐためですよね?

博士 博士

その通り。胃食道逆流による誤嚥も大きな原因じゃ。

アユム アユム

三次予防の呼吸リハは、急性期からも始めますか?

博士 博士

早期離床・早期リハは今や標準。寝たきりを防ぐと再発・死亡も減ることが示されておる。

POINT

予防医学では一次予防(健康増進・疾病発生の阻止)、二次予防(早期発見・早期治療)、三次予防(重症化防止・リハビリ・社会復帰)の3段階に区分します。肺炎球菌ワクチン接種と口腔衛生管理は発病前の一次予防、健診による胸部X線は早期発見の二次予防、肺炎後の呼吸リハビリテーションは機能回復と再発予防を目指す三次予防です。高齢者の肺炎は誤嚥性肺炎が中心で、口腔ケア・嚥下評価・食事姿勢・排痰ケアなど多面的アプローチが必要。看護師は3段階の予防を連続した支援として提供し、ワクチン啓発から急性期ケア、早期リハまで切れ目なく関わることが求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:高齢者における肺炎( pneumonia )の三次予防はどれか。

解説:正解は 3 です。予防医学では予防活動を「一次予防(疾病発生の阻止・健康増進)」「二次予防(早期発見・早期治療)」「三次予防(重症化予防・リハビリ・社会復帰)」の3段階に分けます。肺炎発症後の呼吸リハビリテーションは、肺機能の維持・回復と再発予防を目的とするため三次予防に該当します。

選択肢考察

  1. × 1.  口腔内の衛生管理

    口腔内の清潔保持は口腔内細菌数を減らし、誤嚥性肺炎の発生を予防する行為。疾病発生前の健康増進・特異的予防にあたり「一次予防」。

  2. × 2.  肺炎球菌ワクチンの接種

    ワクチン接種は疾病発生そのものを防ぐ特異的予防で「一次予防」。高齢者には23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPSV23)、15価・20価結合型ワクチン(PCV15・PCV20)などが定期接種等で用いられる。

  3. 3.  呼吸リハビリテーション

    肺炎に罹患した後の肺機能維持・回復、後遺症軽減、日常生活能力の回復を目的とするため「三次予防」に該当する。呼吸筋訓練、体位ドレナージ、排痰訓練、運動療法などが含まれる。

  4. × 4.  健康診断での胸部エックス線撮影

    健診でのX線撮影は早期発見を目的とする「二次予防」。スクリーニングによる早期発見・早期治療は二次予防の典型例。

一次予防の例:予防接種、禁煙、生活習慣改善、口腔ケア、手洗いなど/二次予防の例:健康診断、がん検診、人間ドック、スクリーニング検査/三次予防の例:疾病治療後のリハビリ、再発予防、合併症予防、社会復帰支援。高齢者の肺炎は誤嚥性肺炎が多く、口腔ケアと嚥下評価が一次予防の要。肺炎球菌ワクチンは65歳以上で定期接種対象。呼吸リハは急性期のうちから早期開始することで廃用症候群・再発を防ぎ、近年の重要課題となっている。

一次・二次・三次予防の概念を理解し、具体的な予防行動がどの段階に該当するかを判別できるかを問う公衆衛生の基本問題。