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日本の結核対策の新たな課題

看護師国家試験 第108回 午前 第32問 / 健康支援と社会保障制度 / 感染症と生活環境への対策

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第32問

平成27年(2015年)の日本の結核対策で増加が問題とされているのはどれか。

  1. 1.新登録結核患者数
  2. 2.菌喀痰塗抹陽性の肺結核患者数
  3. 3.外国生まれの新登録結核患者数
  4. 4.新登録結核患者における20歳代の割合

対話形式の解説

博士 博士

今日は日本の結核疫学を見ていこう。2015年の動向がテーマだよ。

アユム アユム

博士、結核ってもう減った病気じゃないんですか?

博士 博士

確かに全体の患者数は減っているが、日本はWHO基準の低まん延国ではなく中まん延国なんだ。罹患率は人口10万対14.4で、米国やドイツの3〜4倍の水準だよ。

アユム アユム

意外です。それで増加が問題になっているのは何ですか?

博士 博士

正解は3番「外国生まれの新登録結核患者数」だ。2015年は1,164人で前年より63人増加。特に20代で外国生まれが約半数を占めるのが特徴なんだ。

アユム アユム

どうして外国生まれの人で多いんですか?

博士 博士

アジア圏など結核高まん延国からの労働者・留学生が入国する際、母国で感染した結核が顕在化するケースが多いんだ。入国5年以内の発症が目立つよ。

アユム アユム

選択肢1の新登録結核患者数全体はどうですか?

博士 博士

2015年は18,280人で前年より1,335人減少している。質の高い医療、衛生環境、BCG接種などで着実に減ってきているんだ。

アユム アユム

選択肢2の喀痰塗抹陽性はどうでしょう?

博士 博士

これも7,131人で520人減だね。喀痰塗抹陽性は感染源としての危険度が高い重要指標で、接触者健診の対象決定にも使われるが、増加は見られない。

アユム アユム

選択肢4の20代の割合はどうですか?

博士 博士

20代の新登録患者は1,127人で61人減。全体的に減少しているから増加問題ではないんだ。

アユム アユム

日本人と外国人で対策は違うんですか?

博士 博士

外国人患者には多言語対応のDOTSや保健所との連携、入国時健診の強化などが重要だね。高齢者には既感染の再燃、若年外国人には入国後早期発症への対応と、ターゲット別の戦略が必要なんだ。

アユム アユム

潜在性結核感染症って聞いたことあります。

博士 博士

LTBIだね。発症していないが菌を保有する状態で、IGRA(クォンティフェロン等)で診断し、イソニアジド単剤で予防内服するんだ。接触者健診で見つけることが多いよ。

アユム アユム

覚えることが多いですね。

博士 博士

結核は疫学・検査・治療・予防のどれが出てもおかしくない頻出テーマだから、全体像を整理しておこう。

POINT

2015年の日本の結核は全体的に減少傾向だが、外国生まれの新登録患者が1,164人(前年比+63人)と増加に転じ、新たな課題となった。20代の半数を外国生まれが占めるのが特徴で、入国5年以内の発症が多い。全体患者数・喀痰塗抹陽性・20代割合はいずれも減少しており、正解は3。日本は罹患率14.4で依然として中まん延国である。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:平成27年(2015年)の日本の結核対策で増加が問題とされているのはどれか。

解説:正解は 3 です。平成27年(2015年)の「結核登録者情報調査年報」によると、日本の新登録結核患者数は減少傾向にある一方で、外国生まれの新登録結核患者は増加に転じており、対策上の新たな課題として注目されました。2015年の外国生まれ新登録結核患者数は1,164人で前年より63人増加、20〜29歳で外国生まれの割合が約50%を占めるなど、若年外国人労働者・留学生への結核対策が喫緊の課題となりました。

選択肢考察

  1. × 1.  新登録結核患者数

    2015年の新登録結核患者数は18,280人で前年より1,335人減少しており、日本全体では結核は減少傾向を維持しています。ただし罹患率14.4と低まん延国の基準10を上回り、依然として中まん延国です。

  2. × 2.  菌喀痰塗抹陽性の肺結核患者数

    喀痰塗抹陽性肺結核患者数は2015年で7,131人、前年より520人減少しています。排菌量が多く感染源となりやすい重要な指標ですが、増加傾向にはありません。

  3. 3.  外国生まれの新登録結核患者数

    2015年の外国生まれ新登録結核患者は1,164人(前年比+63人)で、唯一増加が問題視されたカテゴリです。20代で約半数を占め、入国5年以内の若年者が多いことが特徴で、外国人労働者・留学生対策が課題となりました。

  4. × 4.  新登録結核患者における20歳代の割合

    2015年の20代の新登録結核患者数は1,127人で、前年の1,188人から減少しています。全体として各年齢階級で患者数が減っており、20代の割合が問題視される状況にはありません。

WHOの基準で罹患率が人口10万対10未満を「低まん延国」と呼び、欧米先進国の多くはこの水準を達成しています。日本は長年中まん延国に分類され、近年は外国生まれ患者の増加に加え、高齢者の既感染再燃や潜在性結核感染症(LTBI)対策が焦点となっています。BCG接種、接触者健診、DOTS(直接服薬確認療法)の役割も合わせて押さえましょう。

日本の結核疫学動向の中で、外国生まれ新登録患者の増加という近年の課題を把握しているかを問う問題です。