看護記録の根拠法はどれ?医療法施行規則と医師法の使い分け
看護師国家試験 第114回 午前 第75問 / 健康支援と社会保障制度 / 健康を支える職種に関する法や施策
国試問題にチャレンジ
診療に関する諸記録に看護記録が含まれることを規定しているのはどれか。
- 1.医師法
- 2.医療法施行規則
- 3.個人情報の保護に関する法律
- 4.保健師助産師看護師法施行規則
対話形式の解説
博士
今日は看護記録の法的根拠についてじゃ。混同しやすいから整理するぞ。
サクラ
看護記録って書く義務があるんですよね?
博士
ある。ただし、その根拠法を答えられる学生は意外と少ない。看護記録の作成・保存を「診療に関する諸記録」として位置付けているのは医療法施行規則第20条じゃ。
サクラ
医師法じゃないんですか?
博士
医師法は医師の診療録(カルテ)の記載・保存義務を定めた法律じゃ。看護記録については規定しておらん。ここがよく出る引っかけポイント。
サクラ
診療録と看護記録は別物なんですね。
博士
そう。診療録は医師が記載するもので、医師法第24条により5年間の保存義務がある。看護記録は医療法施行規則で定められた病院の備え置き記録の一つで、保存期間は2年間じゃ。
サクラ
保助看法には看護記録のことが書いていないんですか?
博士
保健師助産師看護師法には、助産師の助産録については規定がある(5年間保存)が、看護師の看護記録についての直接的規定はないのじゃ。
サクラ
個人情報保護法は関係ないんですか?
博士
看護記録は個人情報保護法の対象にはなる。じゃが「診療に関する諸記録に含まれる」と規定する法律ではない。位置付けが違うのじゃ。
サクラ
ちょっと混乱しますね。
博士
整理しよう。①医療法施行規則→看護記録を診療に関する諸記録の一つと位置付け。②医師法→医師の診療録について規定。③保助看法→助産録について規定。④個人情報保護法→記録の取扱いの一般ルール、じゃ。
サクラ
看護記録にはどんな内容を書くんですか?
博士
日本看護協会の指針では、基礎情報、看護計画、経過記録、要約の4要素じゃ。経過記録ではSOAP形式やフォーカスチャーティングが多く用いられる。
サクラ
SOAPって何でしたっけ?
博士
Subjective(主観的情報)、Objective(客観的情報)、Assessment(評価)、Plan(計画)の頭文字じゃ。患者の訴えを「S」、観察事実を「O」、それに対するアセスメントを「A」、今後の計画を「P」として整理する記録法じゃな。
サクラ
看護記録は法的にも重要なんですね。
博士
非常に重要じゃ。医療事故やトラブルの際の客観的証拠となるし、診療報酬上も看護記録の不備は減算対象になり得る。日々の記録の積み重ねが看護の質を支えるのじゃ。
サクラ
改めて記録の意義を意識します。
POINT
看護記録は医療法施行規則第20条第10号により「診療に関する諸記録」の一つとして規定され、病院は2年間の保存義務を負います。これは医師の診療録(医師法で5年間保存)や助産師の助産録(保助看法で5年間保存)とは別の根拠法に基づく規定であり、混同しないことが重要です。看護記録は基礎情報・看護計画・経過記録・要約から構成され、SOAP形式などで記載されます。法的証拠としての価値、医療チーム内の情報共有、看護の質保証、診療報酬上の要件など多面的な役割を担うため、看護師にとって正確で時系列の明確な記録が日常実践の基本となります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:診療に関する諸記録に看護記録が含まれることを規定しているのはどれか。
解説:正解は 2 です。看護記録は医療法第21条および医療法施行規則第20条第10号により、病院が備えるべき「診療に関する諸記録」の一つとして規定されている。同規則では診療に関する諸記録として、過去2年間の病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、入院診療計画書を挙げている。
選択肢考察
-
× 1. 医師法
医師法第24条は医師の診療録(カルテ)の記載・保存義務(5年間)を規定するが、看護記録については規定していない。
-
○ 2. 医療法施行規則
医療法施行規則第20条第10号で、病院が備えるべき「診療に関する諸記録」の一つとして看護記録が明記されている。保存期間は2年間。
-
× 3. 個人情報の保護に関する法律
個人情報保護法は個人情報の取扱いに関する一般法であり、看護記録を診療に関する諸記録の一つと位置付ける規定はしていない。
-
× 4. 保健師助産師看護師法施行規則
保助看法施行規則は保健師・助産師・看護師の業務、試験、籍などを定めるが、看護記録の作成・保存義務に関する直接的規定はない。なお助産録については保助看法第42条で5年間の保存義務がある。
看護記録の保存期間は医療法施行規則上は2年間だが、診療録(医師のカルテ)は医師法で5年間とされ、医療事故などに備えて実務上は5年以上保存する施設が多い。日本看護協会の「看護記録に関する指針」では、看護記録の主要素として基礎情報・看護計画・経過記録・要約を挙げており、SOAP形式やフォーカスチャーティングなど施設に応じた様式が用いられる。電子カルテ化の進展に伴い、看護記録の信頼性確保(真正性・見読性・保存性)も重要なテーマとなっている。
医療法施行規則と医師法、保助看法の規定範囲を区別する問題。看護記録の根拠法は医療法施行規則であることがポイント。
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