職業性疾病の原因と標的臓器を正しく結びつけよう
看護師国家試験 第108回 午前 第43問 / 健康支援と社会保障制度 / 保健活動の基盤と制度
国試問題にチャレンジ
作業と健康障害の組合せで正しいのはどれか。
- 1.VDT作業 ―――――――――――― 栄養機能障害
- 2.有機溶剤を扱う作業 ――――――― 呼吸機能障害
- 3.電離放射線を扱う作業 ―――――― 造血機能障害
- 4.石綿<アスベスト>を扱う作業 ―― 排尿機能障害
対話形式の解説
博士
今日は第108回午前43問、作業と健康障害の組合せ問題じゃ。労働衛生や産業看護の基礎として重要な内容じゃぞ。
サクラ
博士、いろんな職業病があるので混乱してしまいます。それぞれの原因と症状を整理したいです。
博士
そうじゃの。有害因子と標的臓器をセットで覚えるのがコツじゃ。選択肢を見て正しい組合せを選んでみるかの。
サクラ
電離放射線を扱う作業と造血機能障害…これは正しそうですね。3番だと思います。
博士
正解じゃ!正解は3の電離放射線と造血機能障害じゃ。電離放射線は細胞分裂が盛んな組織ほど影響を受けやすく、特に骨髄の造血幹細胞は最も感受性が高いのじゃ。
サクラ
どうして分裂が盛んだと影響を受けやすいんですか?
博士
放射線はDNAに損傷を与えるのじゃが、分裂のタイミングで損傷があると修復が間に合わず細胞が死んでしまうからの。造血幹細胞は絶えず分裂して血球を作っておるから、低線量でも白血球減少などが起こりやすいのじゃよ。
サクラ
他にはどんな障害があるんですか?
博士
急性では皮膚の紅斑・脱毛・悪心、慢性では再生不良性貧血や不妊、晩発性には白内障・白血病・固形がん、そして胎児被曝による奇形もある。じゃから放射線業務従事者には厳しい線量管理と定期健診が義務付けられておるのじゃ。
サクラ
他の選択肢の組合せはなぜ間違いなんでしょう。
博士
VDT作業はドライアイや眼精疲労、頸肩腕症候群、抑うつなど目と筋骨格系と精神の症状が中心で、栄養機能障害は関係ないのじゃ。
サクラ
有機溶剤はどうですか?
博士
有機溶剤は揮発性が高く呼吸から吸収されて中枢神経を抑制するため、頭痛・めまい・意識障害が典型症状じゃ。皮膚粘膜刺激症状や末梢神経障害もあるが、慢性呼吸機能障害は主症状ではないのじゃ。
サクラ
石綿は呼吸器の病気というイメージがあります。
博士
そのとおりじゃ。石綿は極細の繊維を吸入すると肺胞に沈着し、石綿肺・肺がん・悪性中皮腫を引き起こす。排尿機能障害は関係ないのじゃ。
サクラ
原因と標的臓器のセットで表を作って整理します。
博士
よい心がけじゃ。振動工具による白ろう病や騒音性難聴、重金属中毒なども加えて整理しておくと、産業看護の問題に強くなるぞ。
POINT
第108回午前43問は作業と健康障害の組合せ問題で、正解は3の電離放射線と造血機能障害です。分裂が盛んな造血幹細胞は放射線感受性が最も高く、白血球減少や再生不良性貧血が代表的な症状となります。他の選択肢はVDT作業=目と筋骨格系、有機溶剤=中枢神経、石綿=呼吸器と、それぞれ正しい標的臓器との組合せを押さえておくことが重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:作業と健康障害の組合せで正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。電離放射線は細胞分裂が盛んな組織ほど影響を受けやすく、人体で最も分裂活動が活発な骨髄の造血幹細胞は放射線に対して極めて感受性が高い組織です。このため電離放射線を扱う作業では、低線量から白血球減少などの造血機能障害が現れることが知られており、職業被曝の代表的な健康影響として重視されています。労働安全衛生法では電離放射線障害防止規則により線量限度や健康診断が厳しく定められ、定期的な末梢血検査で造血機能をモニタリングします。
選択肢考察
-
× 1. VDT作業 ―――――――――――― 栄養機能障害
VDT作業ではドライアイや眼精疲労などの眼症状、頸肩腕症候群や腰痛などの筋骨格系症状、抑うつ・不眠などの精神症状が主体で、栄養機能障害とは結びつきません。
-
× 2. 有機溶剤を扱う作業 ――――――― 呼吸機能障害
有機溶剤は中枢神経抑制による頭痛・めまい・意識障害、皮膚粘膜刺激症状、末梢神経障害などが代表的な健康障害で、慢性的な呼吸機能障害は主症状ではありません。
-
○ 3. 電離放射線を扱う作業 ―――――― 造血機能障害
電離放射線被曝では分裂の盛んな造血幹細胞が最も影響を受けやすく、白血球減少や再生不良性貧血など造血機能障害が生じます。組合せとして正しく正解となります。
-
× 4. 石綿<アスベスト>を扱う作業 ―― 排尿機能障害
石綿(アスベスト)を吸入すると肺胞に沈着し、石綿肺・肺がん・悪性中皮腫など呼吸器疾患を引き起こします。排尿機能障害とは関連しません。
職業性疾病は『原因物質→標的臓器』の流れで整理すると覚えやすいです。『VDT=目・肩・精神』『有機溶剤=中枢神経・皮膚』『電離放射線=造血器・生殖腺・皮膚・白内障』『石綿=肺(中皮腫・肺がん)』『振動工具=白ろう病(レイノー現象)』などが代表例です。労働安全衛生法に基づく特殊健康診断も併せて確認しておきましょう。
代表的な職業性疾病について、有害因子と標的臓器の正しい対応を理解しているかを問う問題です。
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