StudyNurse

急性vs慢性―炎症の主役を見分ける病理学の基本

看護師国家試験 第106回 午後 第74問 / 人体の構造・機能 / 生体の防御機構

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第74問

急性炎症と比較して慢性炎症に特徴的な所見はどれか。2つ選べ。

  1. 1.好中球浸潤
  2. 2.CRPの上昇
  3. 3.リンパ球浸潤
  4. 4.形質細胞の浸潤
  5. 5.血管透過性の亢進

対話形式の解説

博士 博士

今日は炎症の時期による違いじゃ。急性炎症と慢性炎症、それぞれの主役の細胞は何じゃ?

アユム アユム

えっと、白血球…?

博士 博士

もう少し具体的に。急性炎症でまず戦場に駆けつけるのは?

アユム アユム

好中球、ですか?

博士 博士

その通り!好中球は血中で最多の白血球で、数時間以内に現場に到達する『先遣隊』じゃ。

アユム アユム

じゃあ慢性炎症は…?

博士 博士

慢性炎症の主役はリンパ球・形質細胞・マクロファージの『単核球軍団』じゃ。抗原特異的な獲得免疫が持続的に働く場面で、これらが集まってくるのじゃ。

アユム アユム

形質細胞って何ですか?

博士 博士

B細胞がヘルパーT細胞の助けを借りて最終分化し、抗体を量産する細胞じゃ。慢性感染や自己免疫疾患で特によく見られる。

アユム アユム

つまり長く戦いが続くと、抗体工場が動員されるんですね。

博士 博士

良い例えじゃ。では血管透過性亢進はどっちじゃ?

アユム アユム

ヒスタミンが出て腫れたり浮腫ができるから…急性炎症ですね。

博士 博士

その通り。発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害の五徴候はすべて急性炎症の話。血管拡張+透過性亢進+好中球浸潤で説明できるのじゃ。

アユム アユム

CRPはどうなんですか?慢性炎症でも上がりますよね。

博士 博士

良い疑問じゃ。CRPは肝臓で作られる急性期蛋白で、急性でも慢性でも上昇する。だから『急性特有』とも『慢性特有』とも言えんのじゃ。

アユム アユム

なるほど、CRPは炎症全般のマーカーであって鑑別にはならないんですね。

博士 博士

その通り。慢性炎症ではさらに『線維化』『肉芽組織形成』が起こり、組織が固くなっていく。肝硬変や間質性肺炎の基礎病態じゃ。

アユム アユム

結核みたいな肉芽腫もその仲間ですか?

博士 博士

うむ、肉芽腫性炎症では類上皮細胞やラングハンス巨細胞が現れるのが特徴じゃ。

アユム アユム

急性は好中球、慢性はリンパ球+形質細胞+線維化、でばっちり整理できました!

POINT

炎症はその経過によって急性炎症と慢性炎症に分けられ、浸潤する細胞と病理像が異なります。急性炎症では血管透過性亢進による浸出と好中球浸潤が主体で、発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害の五徴候が出現します。慢性炎症ではリンパ球・形質細胞・マクロファージといった単核球が集積し、組織破壊と修復(線維化・肉芽組織)が同時に進行するのが特徴です。CRPは両者で上昇し得るため鑑別には不向きで、むしろ病理組織像で主役細胞を見極めることが診断の鍵となります。肝硬変や自己免疫疾患、結核などの慢性疾患を理解する基礎として、この対比は看護師国試でも頻出です。

解答・解説

正解は 3 4 です

問題文:急性炎症と比較して慢性炎症に特徴的な所見はどれか。2つ選べ。

解説:正解は 3 と 4 です。炎症は有害刺激に対する生体防御反応で、経過により急性炎症(数時間〜数週間)と慢性炎症(数週間〜数年)に分けられます。急性炎症では血管透過性亢進による浸出、好中球浸潤、発赤・腫脹・熱感・疼痛・機能障害の五徴候が主体となります。一方、慢性炎症では組織への浸潤細胞が変化し、リンパ球・形質細胞・マクロファージが主役となり、肉芽組織の形成や線維化を伴うのが特徴です。形質細胞はB細胞が抗原刺激とヘルパーT細胞の補助で最終分化し抗体を産生する細胞で、長期の免疫応答=慢性炎症の場でよく見られます。

選択肢考察

  1. × 1.  好中球浸潤

    好中球は血中最多の白血球で、感染・組織傷害に真っ先に反応する急性炎症の主役。数時間以内に炎症局所へ遊走し貪食を行う。慢性炎症では主役ではない。

  2. × 2.  CRPの上昇

    CRP(C反応性蛋白)は肝臓で産生される急性期蛋白で、急性炎症で著明に上昇するが慢性炎症でも軽度上昇する。急性・慢性を区別する特異的所見ではない。

  3. 3.  リンパ球浸潤

    リンパ球(T細胞・B細胞)浸潤は慢性炎症の代表的組織像。抗原特異的な獲得免疫が長期に作用する際に集積する。

  4. 4.  形質細胞の浸潤

    形質細胞はB細胞が分化した抗体産生細胞で、長期の免疫応答により慢性炎症巣に集積する。自己免疫疾患や慢性感染でも顕著。

  5. × 5.  血管透過性の亢進

    ヒスタミン・ブラジキニンなどの化学伝達物質による血管透過性亢進は急性炎症の典型所見で、浮腫や滲出液を生じる原因。慢性炎症の特徴ではない。

急性炎症の五徴候(発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害)は血管拡張と血管透過性亢進、好中球浸潤で説明できる。一方、慢性炎症は『単核球(リンパ球・形質細胞・マクロファージ)浸潤、組織破壊と修復(線維化・肉芽組織)の同時進行』が病理学的キーワード。肉芽腫性炎症(結核・サルコイドーシスなど)では類上皮細胞とラングハンス巨細胞が特徴的に出現する。CRPは両者で上昇し得るが、慢性炎症の評価には赤沈(ESR)や血清アルブミン低下なども参考になる。

急性炎症と慢性炎症で浸潤細胞が違うことを理解しているかを問う問題。『急性=好中球+血管透過性亢進、慢性=リンパ球・形質細胞・マクロファージ+線維化』という対比を押さえる。