国際保健の主要機関と役割分担
看護師国家試験 第105回 午前 第66問 / 看護の統合と実践 / 国際化と看護
国試問題にチャレンジ
国際機関と事業内容の組合せで正しいのはどれか。
- 1.国連難民高等弁務官事務所〈UNHCR〉 ―― 有償資金協力
- 2.国連教育科学文化機関〈UNESCO〉―――― 児童の健康改善
- 3.世界保健機関〈WHO〉 ――――――――― 感染症対策
- 4.国際労働機関〈ILO〉 ――――――――― 平和維持活動
対話形式の解説
博士
国際看護・国際保健の問題では、略称と事業内容をセットで覚えることが重要じゃ。本問を整理しよう。
アユム
博士、正解は3のWHOと感染症対策ですね。WHOってどんな組織ですか?
博士
世界保健機関WHOは1948年に発足した国連の専門機関で、本部はスイスのジュネーブにある。目的は「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」じゃ。
アユム
具体的にどんな活動をしているんですか?
博士
感染症対策(結核、マラリア、HIV/AIDS、COVID-19など)、予防接種の普及、国際保健規則の運用、パンデミック対応、母子保健、精神保健、非感染性疾患(糖尿病、心血管疾患、がん)対策、喫煙規制、薬剤耐性対策など、健康に関わる幅広い領域を扱う。
アユム
選択肢1のUNHCRは?
博士
国連難民高等弁務官事務所じゃ。紛争や迫害で故郷を追われた難民、国内避難民、無国籍者の保護と支援を担当する。1950年に設立され、本部はジュネーブにある。1954年と1981年にノーベル平和賞を受賞しておる。
アユム
有償資金協力とは違うんですね?
博士
有償資金協力はODA(政府開発援助)の形態の1つで、日本ではJICAが担当する円借款のことじゃ。UNHCRの事業ではない。
アユム
UNESCOは教育・科学・文化の機関ですね?
博士
そのとおり。国連教育科学文化機関で、本部はパリ。教育へのアクセス改善、科学技術協力、文化多様性の保護、報道の自由擁護などが主任務じゃ。世界遺産登録でも有名じゃな。児童の健康改善はUNICEFとWHOの仕事じゃ。
アユム
UNICEFとUNESCOって紛らわしいですよね。
博士
UNICEFは国連児童基金で、子どもの生存・発達・保護・参加を支援する。予防接種、栄養改善、教育機会、児童保護などが活動領域じゃ。UNESCOとは別組織じゃから混同せんように。
アユム
選択肢4のILOは?
博士
国際労働機関で、1919年にベルサイユ条約とともに設立された世界最古の国連系機関じゃ。本部はジュネーブ。労働者の権利、雇用創出、社会的保護、ディーセント・ワークの実現に取り組む。1969年にノーベル平和賞を受賞しておる。
アユム
平和維持活動とは?
博士
PKO(Peace Keeping Operations)は国連安全保障理事会の決議に基づいて紛争地域に派遣される軍事・警察・文民要員じゃ。ILOではなく国連PKO局の所管じゃな。
アユム
看護師が知っておくべき他の国際機関はありますか?
博士
UNFPA(国連人口基金、リプロダクティブヘルス)、UNAIDS(HIV/AIDS対策)、WFP(世界食糧計画)、FAO(国連食糧農業機関)、UNDP(国連開発計画)、ICRC(赤十字国際委員会)、MSF(国境なき医師団)などじゃ。国際看護活動に関わるならいずれも押さえておきたい。
アユム
覚え方のコツはありますか?
博士
略称をばらして読むとよい。WHOの「H」はHealth、UNICEFの「C」はChildren、UNHCRの「R」はRefugees、UNESCOの「SCO」はScience, Culture, Organizationじゃな。こうやって略称の文字から連想すると記憶に残りやすいぞ。
アユム
なるほど、それで正解を導けそうです。
博士
国試では国際機関の主任務は頻出じゃ。略称・本部所在地・主任務・設立年を表にして整理しておくと強いぞ。
POINT
WHOは国連の健康専門機関として1948年に発足し、感染症対策をはじめとする幅広い保健医療分野を担当する国際機関です。UNHCRは難民保護、UNESCOは教育・科学・文化、ILOは労働問題が主任務で、それぞれ役割が明確に分かれています。国際保健医療の試験対策では、WHO・UNICEF・UNFPA・UNAIDS・ILO・UNHCR・UNESCOなど主要機関の略称と任務をセットで覚えることが重要です。略称の文字から連想して記憶するのが有効な学習法です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:国際機関と事業内容の組合せで正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。世界保健機関(WHO: World Health Organization)は1948年に設立された国連の専門機関で、本部はスイスのジュネーブにあります。「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的とし、感染症対策、予防接種の普及、国際保健規則(IHR)の運用、パンデミック対応、喫煙対策、母子保健、精神保健、非感染性疾患対策など幅広い健康課題に取り組んでいます。COVID-19パンデミックでも国際的な中核機関として調整役を担いました。選択肢1のUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は難民の保護と支援、選択肢2のUNESCO(国連教育科学文化機関)は教育・科学・文化を通じた国際協力、選択肢4のILO(国際労働機関)は労働条件改善と労働者保護が主任務で、それぞれ設問の事業内容とは合致しません。
選択肢考察
-
× 1. 国連難民高等弁務官事務所〈UNHCR〉 ―― 有償資金協力
誤りです。UNHCRは紛争や迫害により故郷を追われた難民・国内避難民・無国籍者の保護と支援を行う国連機関です。有償資金協力はODAの一環として日本ではJICA(国際協力機構)が担当する業務で、UNHCRの事業ではありません。
-
× 2. 国連教育科学文化機関〈UNESCO〉―――― 児童の健康改善
誤りです。UNESCOは教育・科学・文化・コミュニケーションを通じた国際協力・平和構築を目的とする国連専門機関で、世界遺産登録でも知られます。児童の健康改善はUNICEF(国連児童基金)やWHOの主要事業です。
-
○ 3. 世界保健機関〈WHO〉 ――――――――― 感染症対策
正しい選択肢です。WHOは国連の健康専門機関として感染症対策、予防接種普及、国際保健規則の運用、パンデミック対応、母子保健、非感染性疾患対策など幅広い保健医療分野で活動しています。感染症対策は中核事業です。
-
× 4. 国際労働機関〈ILO〉 ――――――――― 平和維持活動
誤りです。ILOは1919年設立で、労働者の権利保障、雇用機会の創出、社会的保護の拡充、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を目指す機関です。平和維持活動(PKO)は国連安全保障理事会の決議に基づく軍事・文民要員派遣で、所管が異なります。
国際保健医療関連の主な機関を整理します。WHO(健康全般、感染症)、UNICEF(児童の健康・教育)、UNFPA(人口、リプロダクティブヘルス)、UNAIDS(HIV/AIDS対策)、UNHCR(難民保護)、WFP(食糧支援)、ILO(労働条件)、UNESCO(教育・科学・文化)、UNDP(開発支援)、FAO(農業・食料)、JICA(日本のODA実施機関)。赤十字国際委員会(ICRC)や国境なき医師団(MSF)など非政府組織も重要です。国試では機関の略称・主任務・本部所在地をセットで覚えるのがおすすめです。
WHOは国連の保健医療専門機関で、感染症対策をはじめ世界の健康水準向上に取り組む国際機関である。
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