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医療安全のキーワード、用語と目的をセットで覚える

看護師国家試験 第105回 午前 第63問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第63問

医療安全と関連する方法の組合せで誤っているのはどれか。

  1. 1.院内感染対策 ――――― プライマリナーシング
  2. 2.事故防止対策 ――――― インシデントレポート
  3. 3.医療の質の保証 ―――― クリニカルパス
  4. 4.手術時の安全対策 ――― タイムアウト

対話形式の解説

博士 博士

医療安全の分野は用語が多くて混同しやすい。本問で頻出の4つの用語を整理しよう。

サクラ サクラ

博士、まず選択肢1の「院内感染対策とプライマリナーシング」が誤った組合せということですが、プライマリナーシングって何ですか?

博士 博士

プライマリナーシングとは、1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで一貫して受け持つ看護提供方式じゃ。アメリカのマンソープらが提唱した方式で、患者との継続的な関係を築き、個別性の高い看護を提供する目的で導入される。

サクラ サクラ

じゃあ院内感染対策とは関係ないんですね。

博士 博士

そのとおり。院内感染対策は、手指衛生、標準予防策、感染経路別予防策、感染制御チーム(ICT)のラウンド、サーベイランスなどが該当する。看護提供方式とは別の枠組みじゃ。

サクラ サクラ

選択肢2のインシデントレポートはどんなものですか?

博士 博士

患者に害が及ばなかったヒヤリ・ハット事例や、実際に影響を及ぼしたアクシデントを報告する仕組みじゃ。ハインリッヒの法則では1件の重大事故の背景に29件の軽微な事故、300件のヒヤリ・ハットがあるとされる。インシデントを集めて分析することで、大事故を防ぐわけじゃ。

サクラ サクラ

なるほど。クリニカルパスは?

博士 博士

クリニカルパスは特定の疾患や手術に対する標準的な診療・看護の流れを時系列表にしたものじゃ。DPCと相性がよく、医療の標準化、ばらつきの縮小、チーム医療の促進、医療の質の保証につながる。患者向けパスは治療への理解と参加を促すツールにもなる。

サクラ サクラ

タイムアウトは?

博士 博士

手術の執刀直前に、術者・麻酔科医・看護師など全員が一度手を止め、患者氏名、術式、手術部位、左右、アレルギー、予定出血量などを声に出して最終確認する手技じゃ。WHOの「安全な手術のためのチェックリスト」にも組み込まれておる。

サクラ サクラ

似たような用語で「サインイン」とか「サインアウト」もありますよね?

博士 博士

よく勉強しておるのう。WHOチェックリストは麻酔導入前のサインイン、執刀直前のタイムアウト、閉創前後のサインアウトの3段階構成じゃ。どの段階でも全員参加で確認するのが肝じゃ。

サクラ サクラ

インシデントレポートは責任追及のために書くんでしょうか?

博士 博士

いやいや、それは真逆じゃ。インシデントレポートは「報告しやすい文化」を守ることが重要で、個人の責任追及ではなくシステムの改善に使うのが原則じゃ。罰を恐れて報告しなくなると、かえって危険な状況が放置されてしまう。

サクラ サクラ

医療安全の基本には「人は誰でも間違える」という考えがあるんですよね。

博士 博士

そのとおり。スイスチーズモデルのように、複数の防護層を重ねてミスが事故に至らないようにする発想が大事じゃ。ダブルチェック、指差呼称、SBARでの情報伝達など、いずれも多層防御の一環じゃな。

サクラ サクラ

用語の整理ができました。本問の正解は1ですね。

博士 博士

そうじゃ。プライマリナーシングは看護提供方式で、院内感染対策ではない。組合せ問題はキーワードと目的をセットで暗記しておくと強いぞ。

POINT

プライマリナーシングは1人の看護師が入院から退院まで1人の患者を担当する看護提供方式であり、院内感染対策とは異なる概念です。インシデントレポートは事故防止、クリニカルパスは医療の標準化と質保証、タイムアウトは手術部位・患者の取り違え防止のための安全対策として用いられます。医療安全分野の用語は目的と手法をセットで整理して覚えることが重要で、ハインリッヒの法則やスイスチーズモデル、WHOの安全な手術のためのチェックリストなどの基礎知識も押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:医療安全と関連する方法の組合せで誤っているのはどれか。

解説:正解は 1 です。本問は「組合せで誤っているもの」を選ぶ問題です。プライマリナーシングは1人の患者を1人の看護師が入院から退院まで責任を持って担当する看護提供方式であり、患者と看護師の継続的な関係を重視する体制です。患者中心の個別性の高い看護を提供する目的で用いられ、院内感染対策とは直接の関連がありません。院内感染対策には標準予防策・接触予防策・感染経路別予防策の徹底、手指衛生、感染制御チーム(ICT)の活動、サーベイランスなどが該当します。一方、インシデントレポートは事故防止、クリニカルパスは医療の質の保証、タイムアウトは手術時の安全対策として広く実施されている手法で、組合せとして正しい内容です。

選択肢考察

  1. 1.  院内感染対策 ――――― プライマリナーシング

    正しい選択肢(誤っている組合せ)です。プライマリナーシングは1人の看護師が入院から退院まで1人の患者を受け持つ看護方式で、継続的・個別的な看護を提供する目的の方式です。院内感染対策の手段ではありません。院内感染対策は手指衛生、標準予防策、ICT活動などが該当します。

  2. × 2.  事故防止対策 ――――― インシデントレポート

    正しい組合せです。インシデントレポート(ヒヤリ・ハット報告)は、患者に害が及ばなかった事例を収集・分析して再発防止策を講じる医療安全の基本ツールです。報告しやすい文化の醸成が重要です。

  3. × 3.  医療の質の保証 ―――― クリニカルパス

    正しい組合せです。クリニカルパスは標準的な診療・看護の流れを時系列で示した計画表で、医療の標準化・効率化・質保証・チーム医療の促進に役立ちます。患者向けパスは治療への参加を促します。

  4. × 4.  手術時の安全対策 ――― タイムアウト

    正しい組合せです。タイムアウトは執刀直前に全員が手を止め、患者氏名・術式・手術部位・左右などを声に出して確認する手技で、WHOの「安全な手術のためのチェックリスト」にも組み込まれている基本対策です。

看護提供方式には、患者一人を一人の看護師が継続的に担当するプライマリナーシングのほか、看護師を複数の機能グループに分けて業務を分担する機能別看護、チームリーダーの下で複数の看護師がチームで担当するチームナーシング、リーダー1名とパートナー1名で2人1組で患者を担当するパートナーシップナーシングシステム(PNS)などがあります。医療安全分野では、スイスチーズモデル(ヒューマンエラーを防ぐ多層的防御)、SBAR(情報伝達の標準化)、リスクマネジメントの観点からのダブルチェックや指差呼称なども重要です。

プライマリナーシングは看護提供方式であり院内感染対策ではない。医療安全の各手法と目的の対応を正確に理解する。