放射線防護の3原則 線量計・ゴーグル・鉛エプロン
看護師国家試験 第106回 午後 第70問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント
国試問題にチャレンジ
放射線療法に関わる看護師の健康管理に必要なのはどれか。
- 1.線量計を装着する。
- 2.ヨウ素剤を服用する。
- 3.ゴーグルを着用する。
- 4.N95マスクを着用する。
- 5.鉛を含んだエプロンを着用する。
対話形式の解説
博士
今回は放射線療法に関わる看護師の健康管理についての複数選択問題じゃ。
アユム
放射線って目に見えないから怖いですね。
博士
じゃからこそ防護が大事じゃ。まず基本原則を押さえよう。放射線被ばく防護の『3原則』は何じゃと思う?
アユム
えーと、距離を取る、ですよね?
博士
うむ、あと2つある。『時間』『距離』『遮蔽』の3つじゃ。被ばく時間を短くする、線源から距離を取る、遮蔽物で遮るじゃ。
アユム
なるほど、この3つが答えの骨組みなんですね。
博士
その通り。選択肢を見ていこう。まず線量計の装着。
アユム
これはどこに装着するんですか?
博士
通常は胸部の、プロテクターの内側じゃ。フィルムバッジやガラスバッジを使い、定期的に読み取って記録する。これは医療法施行規則で義務化されておる。
アユム
義務なんですね。じゃあ正解。
博士
次にヨウ素剤の服用。
アユム
これは健康管理に服用する?
博士
違うぞ。安定ヨウ素剤は原子力災害などで放射性ヨウ素が大量放出されたときに、被ばく直前24時間以内か直後に服用して甲状腺被ばくを減らすためのものじゃ。
アユム
じゃあ日常の健康管理には使わないんですね。
博士
うむ。次にゴーグル着用。
アユム
眼を守るんですよね?
博士
その通り。水晶体は放射線感受性が高く、慢性被ばくで白内障を起こしうる。近年、水晶体の等価線量限度が150mSv/年から20mSv/年(5年平均)に引き下げられたこともあり、鉛含有ゴーグルが重要になっておる。
アユム
線量限度が厳しくなったんですね。
博士
はい。続いてN95マスク。
アユム
これは結核の予防用ですよね?
博士
その通り。空気感染予防の呼吸器防護具で、放射線遮蔽には無関係じゃ。
アユム
最後の鉛エプロンは?
博士
鉛はX線やγ線を吸収するので、体幹部の遮蔽に有効じゃ。甲状腺防護カラーや鉛手袋と組み合わせて使うぞ。
アユム
じゃあ正解は1、3、5ですね。
博士
その通り。線量計(測定)、ゴーグル(眼の遮蔽)、鉛エプロン(体幹の遮蔽)はいずれも防護の基本じゃ。
アユム
放射線の線量限度って他にもありますか?
博士
職業被ばくは実効線量100mSv/5年かつ50mSv/年、皮膚は500mSv/年、妊娠中の腹部は2mSv(妊娠申告から出産まで)じゃ。
アユム
妊婦の看護師さんは放射線業務から外れるんですよね?
博士
基本的にそうじゃ。胎児防護のため線源に近づく業務は避けるのが原則じゃ。
アユム
放射線治療中の患者さん自身が放射線源になることもあるんですか?
博士
あるぞ。密封小線源治療(ブラキセラピー)や核医学検査(RI)では患者が一時的に線源となるため、接触時間短縮・距離確保・遮蔽の3原則で看護する。
アユム
患者対応の時間を手早くって、看護の質と両立が難しそう…。
博士
その通り、事前準備をしっかりして、必要なケアを的確・効率的に行う工夫が求められるのじゃ。チーム全体の被ばく管理も重要じゃ。
POINT
放射線業務に従事する看護師の健康管理には、被ばく防護の3原則『時間・距離・遮蔽』に基づく対策が必要です。線量計の装着は医療法施行規則で義務化され、個人被ばく線量を常時モニタリングします。水晶体は放射線感受性が高く白内障のリスクがあるため鉛含有ゴーグルで保護し、体幹は鉛エプロンで散乱線から遮蔽します。ヨウ素剤は原子力災害時の甲状腺防護に使うもので日常の健康管理には用いず、N95マスクは空気感染対策で放射線防護とは無関係です。密封小線源治療や核医学検査では患者自身が線源となる場面もあり、チーム全体での被ばく管理と安全文化の醸成が看護のマネジメントとして重要です。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 ・ 5 です
問題文:放射線療法に関わる看護師の健康管理に必要なのはどれか。
解説:正解は 1、3、5 です。放射線業務従事者の被ばく防護3原則は『時間(短く)』『距離(離れる)』『遮蔽(遮る)』である。(1)線量計の装着:医療法施行規則により放射線業務従事者は個人被ばく線量を常時測定・記録することが義務付けられており、通常プロテクター内側(胸部など)に装着する。(3)ゴーグル着用:眼球(特に水晶体)は放射線感受性が高く白内障のリスクがあるため、鉛含有ゴーグルで遮蔽する。(5)鉛エプロン着用:散乱線による体幹部被ばくを防ぐため、鉛または鉛当量の防護エプロンを着用する。これらはすべて『遮蔽』と『被ばく量の把握』のために必要な対策である。
選択肢考察
-
○ 1. 線量計を装着する。
正しい。医療法施行規則により放射線業務従事者には個人被ばく線量のモニタリングが義務付けられている。フィルムバッジやガラスバッジを胸部(プロテクター内側)に装着し、定期的に記録・管理する。
-
× 2. ヨウ素剤を服用する。
安定ヨウ素剤は原子力災害などで放射性ヨウ素が大量放出された際、被ばく直前24時間以内または直後の服用で甲状腺被ばくを低減する目的で使用する。通常の放射線業務での健康管理には用いない。
-
○ 3. ゴーグルを着用する。
正しい。水晶体は放射線感受性が高く、慢性被ばくで白内障を起こしうる。近年、眼の等価線量限度が従来の150mSv/年から20mSv/年(5年平均、単年度50mSv以下)へ引き下げられたこともあり、鉛含有ゴーグルによる遮蔽は重要。
-
× 4. N95マスクを着用する。
N95マスクは結核や麻疹などの空気感染予防に用いる呼吸器防護具で、放射線を遮蔽する機能はない。放射線防護とは無関係。
-
○ 5. 鉛を含んだエプロンを着用する。
正しい。鉛は放射線(γ線・X線)を吸収するため、鉛エプロンで体幹部を遮蔽し散乱線被ばくを減らす。甲状腺防護カラー、鉛含有手袋と組み合わせて用いる。
放射線被ばく防護の3原則は『時間・距離・遮蔽』。線量限度は実効線量で職業被ばく100mSv/5年かつ50mSv/年、水晶体等価線量20mSv/年(5年平均)、皮膚等価線量500mSv/年、妊娠中の腹部等価線量2mSv(妊娠申告から出産まで)。密封小線源治療(ブラキセラピー)や核医学検査(RI)では患者自身が放射線源となるため、接触時間の短縮・距離確保・遮蔽のバランスが重要。トイレ使用後の尿・便の取り扱いにも注意が必要な場合がある。
放射線業務従事者の防護策を問う複数選択問題。『時間・距離・遮蔽』の3原則と線量計装着義務が解答のキーワード。
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