ストレスチェックは何法?労働安全衛生法と労働基準法の住み分け
看護師国家試験 第112回 午前 第73問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント
国試問題にチャレンジ
職員数が300人の病院の看護師の働き方に関するマネジメントで、労働安全衛生法に基づいて規定されているのはどれか。
- 1.1年以内ごとに1回、定期に心理的な負担の程度を把握するための検査を行う。
- 2.8時間を超える夜勤の時は1時間以上の休憩時間を確保する。
- 3.生理日に就業が著しく困難な場合は休暇の請求ができる。
- 4.妊娠中は請求すれば時間外労働が免除される。
対話形式の解説
博士
今回は看護師の働き方に関わる法律の問題じゃ。労働基準法と労働安全衛生法、この2つの違いを整理できるかどうかがカギじゃよ。
サクラ
両方とも働く人を守る法律、くらいのイメージしかありません…。
博士
ざっくり言えば、労働基準法は「労働条件の最低基準」を定めた法律。労働時間、休憩、休日、賃金などが主な内容じゃ。一方、労働安全衛生法は「労働者の安全と健康を守る」ことに特化した法律で、健康診断や産業医、ストレスチェックなどを規定しておる。
サクラ
なるほど、守備範囲が違うんですね。じゃあ選択肢を一つずつ見ていきたいです。
博士
選択肢1は「1年以内ごとに1回の心理的負担検査」、これがストレスチェック制度じゃ。従業員50人以上の事業場に実施が義務化されておる。さて、根拠法はどっちじゃ?
サクラ
健康に関わる検査だから…労働安全衛生法ですか?
博士
正解!労働安全衛生法第66条の10に規定されておる。2015年から施行された比較的新しい制度で、メンタルヘルス不調の一次予防が目的じゃ。
サクラ
一次予防というと、病気になる前に防ぐってことですね。
博士
その通り。ちなみに50人未満の事業場では努力義務となっておる。
サクラ
選択肢2の「8時間超の夜勤で1時間以上の休憩」はどうですか?
博士
これは労働基準法第34条じゃ。労働時間が6時間超8時間以下なら45分、8時間超なら1時間以上の休憩が必要、と定められておる。
サクラ
選択肢3の生理休暇と、選択肢4の妊娠中の時間外労働免除は…?
博士
どちらも労働基準法じゃ。生理休暇は第68条、妊産婦の保護は第66条に規定されておる。女性労働者の健康と職業生活を両立させる規定じゃな。
サクラ
なるほど、3つとも労働基準法で、ストレスチェックだけが労働安全衛生法ということですね。
博士
整理すると分かりやすいじゃろう。ほかに労働安全衛生法の重要な規定として、産業医の選任(50人以上)、衛生委員会の設置(50人以上)、定期健康診断の実施なども押さえておきたい。
サクラ
看護師の職場でも、夜勤明けのメンタル不調や腰痛などは多いですよね。法律で守られている仕組みを知っていると安心です。
博士
その通りじゃ。自分の権利を知ることは、安全に長く働くための基本。管理者側も法令順守の視点が重要じゃ。
サクラ
国試でもこのあたりの法律区分は狙われるポイントですね。しっかり覚えます!
博士
うむ。「ストレスチェック=労働安全衛生法」「労働時間・休暇系=労働基準法」とセットで覚えれば迷わんじゃろう。
POINT
労働安全衛生法と労働基準法は働く人を守る2本柱ですが、守備範囲が異なります。労働基準法は労働時間・休憩・休日・生理休暇・妊産婦保護など労働条件の最低基準を定め、労働安全衛生法は健康診断・産業医選任・衛生委員会・ストレスチェックなど安全衛生体制を規定しています。年1回のストレスチェックは2015年から従業員50人以上の事業場で義務化された制度で、労働安全衛生法第66条の10が根拠です。看護師は夜勤や感情労働などストレス負荷の高い職種であり、自分たちを守る法制度を正しく理解することは、健全な職業生活を長く続けるうえでも重要な知識となります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:職員数が300人の病院の看護師の働き方に関するマネジメントで、労働安全衛生法に基づいて規定されているのはどれか。
解説:正解は 1 です。労働安全衛生法は労働者の安全と健康を守るための法律で、その第66条の10に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業者には年1回のストレスチェック(心理的な負担の程度を把握するための検査)の実施が義務付けられています。職員300人の病院は当然対象となるため、選択肢1が労働安全衛生法の規定として正しい内容です。
選択肢考察
-
○ 1. 1年以内ごとに1回、定期に心理的な負担の程度を把握するための検査を行う。
労働安全衛生法第66条の10に規定されたストレスチェック制度。従業員50人以上の事業者に義務化されており(50人未満は努力義務)、検査頻度は1年以内ごとに1回と定められている。メンタルヘルス不調の一次予防を目的とする。
-
× 2. 8時間を超える夜勤の時は1時間以上の休憩時間を確保する。
休憩時間に関する規定は労働基準法第34条である。労働時間が6時間超8時間以下なら45分以上、8時間超なら1時間以上の休憩付与が義務付けられている。労働安全衛生法の規定ではない。
-
× 3. 生理日に就業が著しく困難な場合は休暇の請求ができる。
生理休暇は労働基準法第68条の規定である。女性労働者が請求した場合、使用者は就業させてはならない。労働安全衛生法には規定されていない。
-
× 4. 妊娠中は請求すれば時間外労働が免除される。
妊産婦の時間外労働・休日労働・深夜業の制限は労働基準法第66条で規定されている。本人の請求を条件に使用者は就業させてはならない。労働安全衛生法の条項ではない。
労働安全衛生法は職場の安全衛生体制、健康診断、作業環境測定、メンタルヘルス対策など「労働者の健康と安全」に特化した法律である。一方、労働基準法は労働時間・休憩・休日・休暇・賃金など労働条件の最低基準を定める法律であり、守備範囲が異なる。国家試験では両者の混同を狙う設問が頻出するため、セットで整理しておきたい。なお、産業医の選任(50人以上)、衛生委員会の設置(50人以上)、定期健康診断の実施なども労働安全衛生法の規定である。
労働安全衛生法と労働基準法の守備範囲の違いを理解し、ストレスチェック制度の根拠法と実施基準を識別できるかを問う問題。
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