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インシデントレポートの目的と運用を理解しよう

看護師国家試験 第113回 午後 第89問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント

国試問題にチャレンジ

113回 午後 第89問

インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.法令で書式が統一されている。
  2. 2.責任追及のためには使用されない。
  3. 3.インシデントの発生から1か月後に提出する。
  4. 4.分析結果は他職種を含めて組織全体で共有する。
  5. 5.医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された事例の報告は不要である。

対話形式の解説

博士 博士

今日は医療安全の要、インシデントレポートじゃ。

サクラ サクラ

書くのが怖いイメージがあります。

博士 博士

それはいかんのう。レポートは責任追及のためではないのじゃ。

サクラ サクラ

では何のために書くのですか。

博士 博士

原因を分析し、同じ間違いを繰り返さないようにするためじゃ。Just Cultureという考え方があってな。

サクラ サクラ

公正な文化、ですね。

博士 博士

そうじゃ。報告者を罰すれば誰も書かなくなり、事故が隠れてしまう。

サクラ サクラ

書式は法令で決まっているのですか。

博士 博士

いや、各施設が独自に整備しておる。呼称もヒヤリ・ハット報告書などさまざまじゃ。

サクラ サクラ

提出のタイミングはどうでしょう。

博士 博士

記憶が鮮明なうちに、発生後すみやかに出すのが鉄則じゃ。1か月後では遅すぎる。

サクラ サクラ

分析結果の共有範囲は。

博士 博士

医師、薬剤師、事務など多職種を含めて組織全体で共有するのじゃ。水平展開という考え方じゃな。

サクラ サクラ

患者に届かなかったヒヤリ・ハットも書くのですね。

博士 博士

そうじゃ。ハインリッヒの法則を思い出せ。軽微な事象こそ分析の宝じゃぞ。

サクラ サクラ

しっかり活用したいと思います。

POINT

本問ではインシデントレポートの基本的性格を問うています。正解は責任追及のためには使用されないこと、および分析結果を他職種を含め組織全体で共有することの2つです。書式は施設ごとに異なり、提出は速やかに、患者未到達事例も報告対象という原則も重要です。RCAなどの分析手法とあわせて、医療安全文化を醸成する仕組みとして正しく理解しましょう。

解答・解説

正解は 2 4 です

問題文:インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は2と4です。インシデントレポートは個人の責任追及ではなく、医療安全の向上と再発防止を目的とした組織横断的な情報共有のツールです。

選択肢考察

  1. × 1.  法令で書式が統一されている。

    法令による統一様式はなく、各医療機関が自施設の実情に合わせて様式や呼称(ヒヤリ・ハット報告書、アクシデントレポートなど)を定めています。

  2. 2.  責任追及のためには使用されない。

    Just Culture(公正な文化)の考え方に基づき、報告者を罰するのではなく原因分析と再発防止に活用します。責任追及目的では報告が萎縮し安全文化が損なわれます。

  3. × 3.  インシデントの発生から1か月後に提出する。

    記憶が鮮明なうちに事実を記録する必要があり、発生後速やかに提出するのが原則です。多くの施設では同日〜翌勤務帯までの報告が求められます。

  4. 4.  分析結果は他職種を含めて組織全体で共有する。

    医師・看護師・薬剤師・事務など多職種が情報を共有することで、業務プロセス全体の改善と類似事例の予防につながります。医療安全管理委員会などで水平展開されます。

  5. × 5.  医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された事例の報告は不要である。

    患者に到達しなかった事例(ヒヤリ・ハット)も報告対象です。ハインリッヒの法則が示すとおり、軽微な事象の分析が重大事故の予防に直結します。

医療事故の重症度分類ではレベル0(実施前に発見)からレベル5(死亡)まで区分され、0〜2は「インシデント」、3以上は「アクシデント」と分類されることが多いです。RCA(根本原因分析)やSHELモデルを用いた分析が推奨されます。

インシデントレポートの目的(安全向上・再発防止)と運用原則(非懲罰・速やか・全件報告・組織共有)を理解しているかが問われています。