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母体保護法って何の法律?似た名前の法律と整理しよう

看護師国家試験 第112回 午後 第58問 / 母性看護学 / 母性看護の基盤

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第58問

母体保護法に規定されているのはどれか。

  1. 1.産後の休業
  2. 2.妊娠中の女性の危険有害業務の就業制限
  3. 3.妊娠したことを理由とした不利益な取扱いの禁止
  4. 4.経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある場合の人工妊娠中絶

対話形式の解説

博士 博士

今回は母体保護法に関する出題じゃ。似た名前の法律が多いので、最初に整理するぞ。

アユム アユム

母子に関する法律、ごちゃごちゃしてて苦手です。

博士 博士

ポイントは『何を守る法律か』じゃ。母子保健法は母と子の健康、母体保護法は母性の生命健康、労働基準法は労働条件、男女雇用機会均等法は職場の平等、育児介護休業法は育休・介護休の権利を守る、と役割を分担しておる。

アユム アユム

母体保護法は具体的に何を規定しているんですか?

博士 博士

主に『不妊手術』と『人工妊娠中絶』の要件じゃ。第14条で、妊娠継続や分娩が身体的・経済的理由で母体健康を著しく害するおそれがある場合、または暴行・脅迫などによる妊娠の場合に、指定医師による中絶が認められておる。

アユム アユム

では選択肢1の『産後の休業』は?

博士 博士

労働基準法第65条じゃな。産後8週間は就業不可で、本人が請求し医師が支障ないと認めれば6週以降就業可能じゃ。

アユム アユム

『妊娠中の女性の危険有害業務の就業制限』は?

博士 博士

これも労働基準法じゃ。重量物、有害ガス、放射線などの作業は就業制限がかかる。

アユム アユム

『妊娠を理由とした不利益取扱いの禁止』は?

博士 博士

男女雇用機会均等法第9条じゃな。マタハラ対策の中心条文じゃ。

アユム アユム

そして『経済的理由による人工妊娠中絶』が母体保護法。

博士 博士

その通り。ちなみに中絶が可能なのは妊娠22週未満までで、実施できるのは都道府県医師会指定の母体保護法指定医師に限られる。

アユム アユム

不妊手術も母体保護法ですね。

博士 博士

うむ、旧優生保護法の優生思想的規定を削除して1996年に改められたのが母体保護法じゃ。

アユム アユム

法律の歴史と目的を理解すると覚えやすいですね。

POINT

母体保護法は、不妊手術と人工妊娠中絶の要件を定め、母性の生命健康を保護することを目的とする法律で、1996年に旧優生保護法の優生思想を排して改正施行されました。第14条では、身体的または経済的理由で母体健康を著しく害するおそれがある場合や、性犯罪による妊娠に対して、指定医師による中絶が認められています。産後休業や妊婦の危険業務制限は労働基準法、妊娠を理由とする不利益取扱い禁止は男女雇用機会均等法、育休は育児介護休業法、乳児健診は母子保健法と、関連法の役割分担を整理することが国家試験対策の鍵です。看護職は関連法制を理解し、産科・婦人科外来・母性看護の現場で権利擁護者として機能することが期待されます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:母体保護法に規定されているのはどれか。

解説:正解は 4 です。母体保護法は、不妊手術および人工妊娠中絶に関する事項を定め、母性の生命健康を保護することを目的とする法律(旧優生保護法を改正し、1996年に施行)です。同法第14条では、『妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの』および『暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの』に対して、指定医師による人工妊娠中絶が認められています。

選択肢考察

  1. × 1.  産後の休業

    産後休業(原則8週、本人請求と医師の判断で6週以降就業可)は労働基準法第65条に規定されている。母体保護法ではない。

  2. × 2.  妊娠中の女性の危険有害業務の就業制限

    重量物取扱い、有害ガス、放射線など危険有害業務の就業制限は労働基準法第64条の3に規定される。

  3. × 3.  妊娠したことを理由とした不利益な取扱いの禁止

    妊娠・出産・育児休業などを理由とする解雇や不利益取扱いの禁止は男女雇用機会均等法第9条などに規定されている。

  4. 4.  経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある場合の人工妊娠中絶

    母体保護法第14条に明記される人工妊娠中絶の要件。身体的・経済的理由による母体健康への著しい悪影響のおそれ、または性犯罪による妊娠が対象となる。

母性保護・女性労働に関する法律は横断的に整理しておくと解きやすい。母性健康管理(通勤緩和・休憩など)は男女雇用機会均等法、産前産後休業・妊娠中の軽易業務転換・深夜業制限は労働基準法、育児休業・介護休業は育児介護休業法、乳児健診や母子健康手帳交付は母子保健法、優生思想を排し母性の生命健康を保護するのが母体保護法、という整理を覚えるとよい。

母性保護・女性労働に関する各法の役割分担を問う問題。人工妊娠中絶の要件は母体保護法に規定されていることを押さえる。