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産褥期のオキシトシン〜おっぱいと子宮を同時に動かすホルモン

看護師国家試験 第112回 午後 第61問 / 母性看護学 / 分娩期・産褥期の看護

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第61問

産褥期の生理的変化で正しいのはどれか。

  1. 1.児が乳頭を吸啜することによってオキシトシンが分泌される。
  2. 2.子宮が非妊時の大きさに戻るのは分娩後約2週である。
  3. 3.分娩後は一時的に尿量が減少する。
  4. 4.プロゲステロンが増加する。

対話形式の解説

博士 博士

今回は産褥期の生理的変化じゃ。オキシトシンの働きが鍵になるぞ。

サクラ サクラ

オキシトシンって愛情ホルモンって聞いたことがあります。

博士 博士

それも正しい一面じゃ。産褥期では乳頭吸啜刺激が視床下部に伝わり、下垂体後葉からオキシトシンが分泌される。このオキシトシンは2つの役割を持つ。

サクラ サクラ

2つですか?

博士 博士

一つは射乳反射。乳腺の筋上皮細胞を収縮させて母乳を射出する。もう一つは子宮収縮。子宮平滑筋に作用し子宮復古を促進する。だから授乳は母乳栄養と子宮復古を同時に支える仕組みになっておる。

サクラ サクラ

乳汁の産生自体は?

博士 博士

それはプロラクチンじゃ。下垂体前葉から分泌され、乳汁産生を担う。吸啜刺激でプロラクチンも上昇する。

サクラ サクラ

子宮復古は産褥2週で完了するんですか?

博士 博士

いや、非妊時の大きさに戻るのは産褥4〜6週頃じゃ。2週ではまだ臍下数横指に触れる状態。子宮底の下降と悪露の変化で評価する。

サクラ サクラ

悪露って色が変わるんですよね。

博士 博士

そうじゃ。赤色→褐色→黄色→白色と約6週かけて変化する。感染の兆候がないか色や臭いで確認するのが看護のポイントじゃ。

サクラ サクラ

分娩後の尿量はどうなるんですか?

博士 博士

一時的に増加する。妊娠中に貯留した水分とANPの作用で産褥利尿が起こるのじゃ。減少ではなく増加が正しい。

サクラ サクラ

プロゲステロンは?

博士 博士

胎盤娩出で胎盤由来のホルモン供給が途絶え、プロゲステロン・エストロゲンともに急激に低下する。これがマタニティブルーズの一因とも言われる。

サクラ サクラ

授乳中は月経はないんですか?

博士 博士

プロラクチンの高値で多くは無月経じゃが、排卵が先行することもあるので『授乳中は妊娠しない』は誤解じゃ。避妊指導は必要じゃぞ。

サクラ サクラ

産褥期ケアは生理・心理・社会的支援が一体ですね。

POINT

産褥期の母体では、児の乳頭吸啜刺激により下垂体後葉からオキシトシン、前葉からプロラクチンが分泌されます。オキシトシンは射乳反射と子宮復古を同時に促進するため、早期母児同室・直接授乳が推奨されます。子宮が非妊時の大きさに戻るのは産褥4〜6週頃で、悪露は赤色→褐色→黄色→白色と変化します。分娩後は心房性ナトリウム利尿ペプチドの作用などで一過性に尿量が増加し、胎盤娩出によりプロゲステロン・エストロゲンは急激に低下してマタニティブルーズの一因となります。看護師はホルモン動態と臨床所見を統合して、母乳育児支援、子宮復古評価、メンタルヘルスケア、避妊指導まで包括的にかかわることが求められます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:産褥期の生理的変化で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。児の乳頭吸啜刺激は視床下部に伝わり、下垂体後葉からオキシトシン、前葉からプロラクチンが分泌されます。オキシトシンは乳腺の筋上皮細胞を収縮させて射乳反射を起こすと同時に、子宮平滑筋を収縮させて子宮復古を促進します。プロラクチンは乳汁産生を担います。この仕組みにより授乳は母乳育児と子宮復古の両方を促すため、産褥期早期からの直接授乳が推奨されます。

選択肢考察

  1. 1.  児が乳頭を吸啜することによってオキシトシンが分泌される。

    吸啜刺激→視床下部→下垂体後葉からオキシトシン分泌→射乳反射および子宮収縮という生理的経路。産褥期の早期母児同室・直接授乳の根拠でもある。

  2. × 2.  子宮が非妊時の大きさに戻るのは分娩後約2週である。

    子宮復古は産褥4〜6週頃に完了し非妊時の大きさに戻る。産褥2週ではまだ臍下数横指に触知する状態で、復古過程の途中。

  3. × 3.  分娩後は一時的に尿量が減少する。

    分娩後は心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の上昇や妊娠中に貯留していた体液の排出のため、一時的に尿量が増加する(産褥利尿)。減少するのは誤り。

  4. × 4.  プロゲステロンが増加する。

    胎盤娩出により胎盤由来のプロゲステロン・エストロゲンの供給が途絶え、産褥期はプロゲステロンもエストロゲンも急激に低下する。この急変がマタニティブルーズや一過性の更年期様症状の一因になる。

産褥期は分娩後6〜8週間で、母体は妊娠前の状態へ戻っていく。子宮復古の評価は子宮底長と悪露の性状で行う。悪露は赤色悪露(〜3日)→褐色悪露(〜10日)→黄色悪露(〜3週)→白色悪露(〜6週)と変化する。プロラクチンは授乳により高く維持され、これが排卵・月経を抑制するが、授乳中でも排卵は起こりうるため避妊指導は必要。

産褥期の母体生理(乳頭吸啜によるホルモン分泌、子宮復古、尿量変化、性ホルモン動態)を総合的に問う問題。オキシトシンの二重作用(射乳+子宮収縮)を押さえる。