TORCH症候群を制する!妊娠中感染症と児への影響を一気に整理
看護師国家試験 第106回 午前 第63問 / 母性看護学 / 妊娠期の看護
国試問題にチャレンジ
妊婦の感染症と児への影響の組合せで正しいのはどれか。
- 1.風疹( rubella )---------------------------------- 白内障( cataract )
- 2.性器ヘルペス( genital herpes )------------------- 聴力障害
- 3.トキソプラズマ症( toxoplasmosis )---------------- 先天性心疾患( congenital heart disease )
- 4.性器クラミジア感染症( genital chlamydiosis )----- 小頭症( microcephaly )
対話形式の解説
博士
今日は妊婦の感染症と胎児・新生児への影響の組合せを問う問題じゃ。国試の超頻出テーマじゃよ。
サクラ
感染症と症状の組合せって、似ていて覚えにくいです…。
博士
まずキーワードが先天性風疹症候群(CRS)じゃ。三徴を覚えておるか?
サクラ
確か、白内障・心疾患・難聴…ですよね?
博士
その通り!この3つが揃えば風疹。妊娠初期、特に12週までに母親が風疹に初感染すると、ウイルスが胎盤を通って胎児に感染し、これらの症状を引き起こす。
サクラ
なので選択肢1の「風疹―白内障」が正解なんですね。
博士
うむ。そして大事なのは、日本ではかつて男性への風疹ワクチン定期接種がなかった世代があり、30〜50代男性の抗体保有率が低い。妊婦本人だけでなくパートナーのワクチン接種も重要じゃ。
サクラ
なるほど、風疹は社会全体で対策する感染症なんですね。他の選択肢も確認したいです。選択肢2の性器ヘルペスは?
博士
性器ヘルペスは主に分娩時の産道感染で新生児ヘルペスを起こす。皮膚・口・眼の病変型、脳炎など中枢神経型、全身感染型の3型がある。聴力障害は特徴ではないぞ。
サクラ
分娩時の感染リスクが高いから、活動性の病変があると帝王切開になるんですよね。
博士
よく知っておるな。選択肢3のトキソプラズマ症はどうじゃ?
サクラ
猫の糞便や生肉から感染する…。症状は…水頭症でしたっけ?
博士
そう、先天性トキソプラズマ症の三徴は「水頭症・脳内石灰化・網脈絡膜炎」。先天性心疾患ではない。
サクラ
最後の性器クラミジア感染症と小頭症はどうですか?
博士
クラミジアは産道感染で新生児結膜炎や新生児肺炎を起こす。結膜炎から最悪失明することもある。小頭症は起こさない。
サクラ
小頭症で覚えておくべき感染症は?
博士
サイトメガロウイルス、トキソプラズマ、そしてジカウイルスじゃな。特にCMVは先天感染症の中で最も頻度が高い。
サクラ
TORCH症候群という言葉を聞いたことがあります。
博士
その通り。Toxoplasma、Other(梅毒など)、Rubella、CMV、HSV の頭文字を取った呼び方じゃ。妊婦健診では風疹・梅毒・B型肝炎・HIV・HTLV-1などの抗体検査を行って母子感染を予防するのじゃよ。
サクラ
妊婦健診の意義がよくわかりました。看護師としても、妊婦さんやパートナーに予防の大切さを伝える役割がありますね。
POINT
妊婦の感染症と児への影響で最重要なのは先天性風疹症候群(CRS)です。妊娠初期の風疹初感染で胎児は「白内障・心疾患・感音性難聴」という三徴を示し、日本では風疹抗体を持たない成人男性の問題から社会全体での予防接種が推進されています。他にも、先天性トキソプラズマ症は「水頭症・脳内石灰化・網脈絡膜炎」、CMV感染症は難聴・小頭症、性器ヘルペスは産道感染による新生児ヘルペス、性器クラミジアは新生児結膜炎・肺炎というように、各病原体と典型症状をセットで覚えることが国試対策の王道です。看護師は妊婦健診や母子感染予防教育を通じて、こうした感染症から親子を守る最前線を担います。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:妊婦の感染症と児への影響の組合せで正しいのはどれか。
解説:正解は 1 の「風疹 ― 白内障」です。妊娠初期(特に妊娠20週未満、特にリスクが高いのは妊娠12週まで)に妊婦が風疹ウイルスに初感染すると、胎盤を経由してウイルスが胎児に移行し、先天性風疹症候群(CRS)を引き起こします。CRSの三大症状は「白内障(および先天性緑内障・網膜症などの眼症状)」「先天性心疾患(動脈管開存症、肺動脈狭窄など)」「感音性難聴」で、この3つは頻出キーワードです。そのほか低出生体重、小頭症、精神運動発達遅延、肝脾腫、血小板減少性紫斑病なども生じます。
選択肢考察
-
○ 1. 風疹( rubella )---------------------------------- 白内障( cataract )
先天性風疹症候群の三徴の一つ。妊娠初期の風疹初感染で白内障、心疾患、難聴の3つがとくに重要。日本でも風疹の抗体保有率が低い世代の存在が課題で、妊娠を希望する女性とそのパートナーのワクチン接種が推奨されている。
-
× 2. 性器ヘルペス( genital herpes )------------------- 聴力障害
性器ヘルペスの母子感染は主に分娩時の産道感染で、新生児ヘルペス(皮膚・眼・口型、中枢神経型、全身型)を発症させる。症状は皮膚粘膜病変、脳炎、肝不全など重篤だが、聴力障害が特徴的な症状ではない。分娩時にウイルス排泄がある場合は帝王切開が選択される。
-
× 3. トキソプラズマ症( toxoplasmosis )---------------- 先天性心疾患( congenital heart disease )
先天性トキソプラズマ症は水頭症、脳内石灰化、網脈絡膜炎の三徴が典型的で、ほかに小頭症、肝脾腫、精神運動発達遅延など。先天性心疾患は主要徴候ではない。妊婦は生肉やネコの糞便からの感染予防が重要。
-
× 4. 性器クラミジア感染症( genital chlamydiosis )----- 小頭症( microcephaly )
母体のクラミジア感染は産道感染により新生児の結膜炎や肺炎を引き起こすほか、早産・低出生体重のリスクを上げるが、小頭症は関連しない。小頭症をきたす先天感染症としてはサイトメガロウイルス、トキソプラズマ、ジカウイルスなどが有名。
母子感染の代表例(いわゆるTORCH症候群)は、Toxoplasma、Other(梅毒・B型肝炎・HIVなど)、Rubella、Cytomegalovirus、Herpes simplex virus を指す。CRSの三徴「白内障・心疾患・難聴」、先天性トキソプラズマ症の三徴「水頭症・脳内石灰化・網脈絡膜炎」、先天性CMV感染症の難聴・小頭症・脳内石灰化など、原因病原体ごとの特徴的症状を表で整理しておくと効率的である。
妊娠中感染症と児への典型症状の対応関係を問う定番問題。特に先天性風疹症候群の三徴(白内障・心疾患・難聴)を確実に覚えることが鍵。
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