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術後1日目の創はどう変化している?

看護師国家試験 第111回 午前 第41問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 健康の維持増進と疾病からの回復

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第41問

術後1日の手術創の正常な治癒過程として正しいのはどれか。

  1. 1.創部の浮腫が起こる。
  2. 2.肉芽組織が形成される。
  3. 3.コラーゲンが成熟し瘢痕組織となる。
  4. 4.血管内皮細胞が新しい血管を形成する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は手術創の治癒過程を時間軸で整理していくぞ。まず大枠は『止血期→炎症期→増殖期→成熟期』の4段階だ。

サクラ サクラ

博士、術後1日目というとまだ傷口が赤く腫れている時期ですよね?

博士 博士

そのとおり。術後1~3日は『炎症期』にあたる。ヒスタミンやブラジキニンなどの炎症メディエーターで血管透過性が上がり、血漿成分が漏れて浮腫が生じるのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、だから選択肢1の『創部の浮腫が起こる』が正解なんですね。

博士 博士

その通り。発赤・熱感・腫脹・疼痛というCelsusの4徴がそろうのが炎症期の特徴じゃ。

サクラ サクラ

では選択肢2の肉芽組織の形成はいつですか?

博士 博士

肉芽が作られるのは術後3日目以降の増殖期じゃな。線維芽細胞が遊走し、毛細血管が新生して赤い肉芽ができてくる。

サクラ サクラ

選択肢3のコラーゲン成熟と瘢痕化は?

博士 博士

それはさらに後の成熟期で、術後数週間から数か月かけてコラーゲン線維が再配列し、最終的に白い瘢痕に置き換わっていくのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢4の血管内皮細胞による血管新生も増殖期なんですね。

博士 博士

そうじゃ。術後3日目ごろから血管新生が活発化し、肉芽形成と並行して進む。炎症期である1日目にはまだ血管新生は起きておらん。

サクラ サクラ

つまり術後1日目は『浮腫がある=異常』ではなく、正常な炎症反応として受け止めるべきなんですね。

博士 博士

その理解で完璧じゃ。ただし発赤・腫脹が拡大し膿性分泌物や38度以上の発熱を伴えばSSI(手術部位感染)を疑う。正常な炎症と感染徴候を見分ける目が看護師には必要じゃぞ。

サクラ サクラ

ステロイド使用中や糖尿病の患者さんでは治癒が遅れると習いました。

博士 博士

よい復習じゃ。低栄養・喫煙・高齢・低酸素血症なども創治癒を遅らせる因子として押さえておこう。

POINT

術後1日目は創傷治癒の『炎症期』にあたり、血管透過性亢進による浮腫、発赤、熱感、疼痛が正常経過として出現します。肉芽形成や血管新生は術後3日以降の増殖期、コラーゲン成熟と瘢痕化は数週間以降の成熟期に起こります。正常な炎症反応と感染徴候を区別することが観察のポイントです。糖尿病や低栄養など治癒遅延因子の評価もあわせて行いましょう。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:術後1日の手術創の正常な治癒過程として正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。手術創の治癒過程は、止血期(術直後~数時間)、炎症期(術後おおよそ1~3日)、増殖期(術後3日~2週間ごろ)、成熟(再構築)期(数週間~数か月)の4段階で進みます。術後1日目は炎症期にあたり、血管透過性亢進や好中球・マクロファージの遊走によって創部に発赤・熱感・腫脹(浮腫)・疼痛といった炎症の徴候が現れます。これは壊死組織や細菌を除去するための生体防御反応であり、正常な治癒過程の初期像です。

選択肢考察

  1. 1.  創部の浮腫が起こる。

    術後1日目は炎症期にあたり、ヒスタミンやブラジキニンなどにより血管透過性が亢進して血漿成分が組織に漏出するため、創部に浮腫が生じます。正常な治癒過程として適切であり、これが正解です。

  2. × 2.  肉芽組織が形成される。

    肉芽組織は線維芽細胞の遊走と毛細血管新生によって作られ、おおむね術後3日目以降の増殖期に出現します。術後1日目にはまだ形成されていないため誤りです。

  3. × 3.  コラーゲンが成熟し瘢痕組織となる。

    コラーゲンが架橋・再配列して瘢痕組織へと置き換わるのは、術後数週間から数か月続く成熟(再構築)期の現象です。術後1日目の段階では該当しません。

  4. × 4.  血管内皮細胞が新しい血管を形成する。

    血管内皮細胞が増殖して毛細血管を新生するのは増殖期で、術後3日目ごろから本格化します。炎症期である術後1日目では血管新生は起こっていません。

創傷治癒の4期は『止血→炎症→増殖→成熟』と順に覚えましょう。炎症期には発赤・熱感・腫脹・疼痛のCelsusの4徴+機能障害の5徴が揃います。ステロイドや糖尿病、低栄養、喫煙は炎症期~増殖期の進行を遅らせるため、術後の創部観察とともにリスク因子の評価も重要です。

術直後~術後1日目の創部でみられる生理的反応が『炎症期』に相当し、浮腫・発赤などが正常経過として生じることを理解しているかを問う問題です。