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学童期の肥満は大人の肥満の入口〜なぜ早期介入が大切か

看護師国家試験 第106回 午後 第49問 / 小児看護学 / 健康増進のための小児看護

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第49問

学童期の肥満について正しいのはどれか。

  1. 1.肥満傾向児は肥満度30%以上と定義される。
  2. 2.肥満傾向児は高学年より低学年が多い。
  3. 3.肥満傾向児は男子より女子が多い。
  4. 4.成人期の肥満に移行しやすい。

対話形式の解説

博士 博士

今回は学童期の肥満について学ぶぞ。まず学童期とは何歳くらいを指すか分かるかな?

サクラ サクラ

小学生くらい、6〜12歳ですよね?

博士 博士

その通りじゃ。この時期の肥満は、見過ごされがちじゃが実は重要な健康問題なのじゃ。

サクラ サクラ

子どもの肥満って、大人になれば自然に治るイメージもありますが…

博士 博士

そこが誤解じゃ。実は小児肥満の約70〜80%が成人肥満に移行すると言われておる。だから選択肢の4番「成人期の肥満に移行しやすい」が正解じゃ。

サクラ サクラ

そんなに高い割合なんですね!なぜ子どもの肥満は持ち越されやすいんですか?

博士 博士

小児期の肥満は脂肪細胞の「数」が増える「細胞増殖型肥満」が多いのじゃ。一度増えた脂肪細胞は数を減らせず、一つ一つを小さくすることしかできん。成人型の「細胞肥大型」より難治なのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、細胞レベルの違いがあるんですね。

博士 博士

さらに、子どもの時点で既に高血圧、脂質異常症、2型糖尿病、脂肪肝、動脈硬化などのリスクが積み上がる。早期介入が大事な理由じゃ。

サクラ サクラ

1番の「肥満傾向児は肥満度30%以上」はどうですか?

博士 博士

違うのじゃ。学校保健統計では「肥満度20%以上」が肥満傾向児の定義じゃ。肥満度=(実測体重−標準体重)÷標準体重×100%で計算する。

サクラ サクラ

肥満度の区分はどうなっているんですか?

博士 博士

20〜30%未満が軽度、30〜50%未満が中等度、50%以上が高度肥満じゃ。幼児期(6歳未満)は15%以上を肥満とするのじゃ。

サクラ サクラ

2番の「低学年の方が多い」はどうですか?

博士 博士

これも逆じゃ。学校保健統計によれば、肥満傾向児の出現率は学年が上がるにつれて増加し、小学校高学年から中学生がピークになる。

サクラ サクラ

3番の「男子より女子が多い」は?

博士 博士

これも逆じゃ。男子の方が女子より肥満傾向児の割合は高い。女子は思春期以降、ダイエット志向の影響もあって男子より少ない傾向じゃ。

サクラ サクラ

小児肥満はどんな合併症が多いんですか?

博士 博士

先ほど挙げたメタボリック症候群関連に加えて、睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝、そして心理社会的な問題じゃな。いじめ、自己肯定感低下、うつなど。

サクラ サクラ

治療はどうするんですか?

博士 博士

極端な食事制限ではなく、栄養バランス、食べ方(よく噛む・ゆっくり食べる)、運動習慣、家族ぐるみの生活改善が基本じゃ。成長期だから減量目標は「体重維持+身長の伸び」で十分なことが多いのじゃ。

サクラ サクラ

叱るよりも、家族で一緒に生活改善する姿勢が大切ですね。

博士 博士

うむ、心理面への配慮も含めた包括的支援が看護のポイントじゃ。

POINT

学童期の肥満傾向児は、学校保健統計上「肥満度20%以上」と定義され、高学年ほど、女子より男子で多い傾向にあります。最大の問題は、約70〜80%が成人肥満に移行することで、小児期には脂肪細胞数自体が増える「細胞増殖型肥満」が多く難治化しやすい点です。高血圧、脂質異常症、2型糖尿病、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、心理社会的問題など多彩な合併症を伴うため、学童期における早期介入が成人期の健康を左右します。看護支援は、極端な食事制限ではなく、栄養バランス・食べ方・運動習慣・家族ぐるみの生活改善と心理的サポートを柱とした包括的アプローチが効果的です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:学童期の肥満について正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。学童期の肥満は成人期の肥満へ移行しやすく、一般に約70〜80%が成人肥満に持ち越すと言われる。小児肥満は脂肪細胞の「数」の増加を伴いやすく(細胞増殖型肥満)、一度増えた脂肪細胞は減らしにくいため、大人の肥満より難治となる。また小児期から高血圧、脂質異常症、2型糖尿病、脂肪肝、動脈硬化などの生活習慣病リスクが蓄積されるため、学童期のうちに介入することが重要である。

選択肢考察

  1. × 1.  肥満傾向児は肥満度30%以上と定義される。

    学校保健統計調査における肥満傾向児は「肥満度20%以上」と定義される。肥満度=(実測体重−性別・年齢別・身長別標準体重)÷標準体重×100(%)。20%以上が軽度、30%以上が中等度、50%以上が高度肥満。

  2. × 2.  肥満傾向児は高学年より低学年が多い。

    学校保健統計によれば、肥満傾向児の出現率は学年が上がるにつれて増加し、小学校高学年から中学生で最も高くなる。低学年より高学年の方が多い。

  3. × 3.  肥満傾向児は男子より女子が多い。

    学校保健統計では男子の肥満傾向児出現率の方が女子より高い傾向が続いている。女子は思春期以降、ダイエット志向なども影響し、男子の方が肥満が残りやすい。

  4. 4.  成人期の肥満に移行しやすい。

    小児肥満は脂肪細胞数の増加を伴いやすく、約70〜80%が成人肥満へ移行するといわれる。生活習慣病の早期予防のため、学童期の肥満対策が重要。

小児期の肥満度分類:軽度肥満(20%以上30%未満)、中等度肥満(30%以上50%未満)、高度肥満(50%以上)。幼児期(6歳未満)は「肥満度15%以上」を肥満とする。小児肥満症は、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病・脂肪肝・睡眠時無呼吸症候群・心理社会的問題(いじめ・自己肯定感低下)などを合併しやすい。介入は食事指導(極端な制限ではなく栄養バランスと食べ方)、運動習慣、家族ぐるみの生活改善、心理的支援が柱。

学童期肥満の定義・疫学(性別・学年差)・成人期への移行リスクを問う問題。学校保健統計の基礎知識。