対人援助職に多い燃え尽き症候群を理解しよう
看護師国家試験 第113回 午後 第62問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害の特徴と看護
国試問題にチャレンジ
人を援助する過程で自分の職務に対して継続して努力したが、満足感や達成感が得られず、うつ症状や社会機能の低下を生じるのはどれか。
- 1.悪性症候群(malignant syndrome)
- 2.空の巣症候群
- 3.緊張病症候群(catatonia syndrome)
- 4.燃え尽き症候群
対話形式の解説
博士
今日はバーンアウト、すなわち燃え尽き症候群を学ぶぞ。
アユム
看護師や介護職に多いと聞きますね。
博士
設問を読むと『援助過程で努力したが達成感が得られずうつ症状や社会機能低下に至る』とある。これはどの症候群じゃ。
アユム
まさに燃え尽き症候群の典型像ですね。
博士
その通り。Maslachが提唱した3要素は覚えておるか。
アユム
情緒的消耗感、脱人格化、個人的達成感の低下の3つです。
博士
素晴らしい。では他の選択肢を見ていこう。悪性症候群とは何かね。
アユム
抗精神病薬による副作用で、高熱、筋強剛、発汗、意識障害、CK上昇などを呈する重篤な病態です。援助職務の疲労とは関係ありません。
博士
空の巣症候群は。
アユム
子どもが独立した後に親が感じる喪失感や空虚感ですね。主婦層に多いと言われます。
博士
緊張病症候群は。
アユム
統合失調症などに伴って生じる無動、昏迷、カタレプシー、拒絶症などの症状群です。
博士
というわけで答えは選択肢4の燃え尽き症候群じゃな。
アユム
燃え尽き症候群のリスク因子は何が知られていますか。
博士
長時間労働、役割葛藤、裁量権の少なさ、感情労働、支援不足などじゃ。
アユム
予防にはどう取り組むべきでしょう。
博士
適切な休息、チーム内サポート、スーパービジョン、ワーク・エンゲイジメントの向上、セルフケア教育が重要じゃ。
アユム
看護職自身がセルフモニタリングし、早期にサインに気づくことも大切ですね。
POINT
燃え尽き症候群はMaslachによる3要素『情緒的消耗感』『脱人格化』『個人的達成感の低下』で定義される対人援助職特有の消耗状態です。設問の記述はまさにこの概念に合致します。悪性症候群は抗精神病薬の副作用、空の巣症候群は子の独立に伴う喪失感、緊張病症候群は精神病理像であり、それぞれ文脈が異なります。予防にはセルフケアとチームサポートの双方が欠かせません。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:人を援助する過程で自分の職務に対して継続して努力したが、満足感や達成感が得られず、うつ症状や社会機能の低下を生じるのはどれか。
解説:正解は4の「燃え尽き症候群」です。対人援助職が長期にわたり過重な情緒的消耗を重ねた末に、達成感の低下、脱人格化、情緒的消耗感に陥る状態をバーンアウト(燃え尽き症候群)と呼び、設問の記述に一致します。
選択肢考察
-
× 1. 悪性症候群(malignant syndrome)
抗精神病薬の副作用として生じる高熱・筋強剛・自律神経症状・意識障害を呈する重篤な状態で、援助職務のストレスとは異なる病態です。
-
× 2. 空の巣症候群
子どもが独立した後に親が感じる喪失感や空虚感を指す概念で、援助職の消耗とは別の心理現象です。
-
× 3. 緊張病症候群(catatonia syndrome)
統合失調症などに伴う無動・昏迷・カタレプシー・拒絶症などを呈する精神病理像で、設問の文脈とは異なります。
-
○ 4. 燃え尽き症候群
援助職が達成感を得られないまま慢性的に情緒的消耗を続けた結果、うつ症状や社会機能低下に至る状態を指し、設問の記述に合致します。
Maslachによる燃え尽き症候群の3要素は『情緒的消耗感』『脱人格化(受け手への否定的・冷淡な態度)』『個人的達成感の低下』です。看護・介護・教育・医療などの対人援助職で高率に生じ、長時間労働、役割葛藤、裁量権の少なさ、感情労働がリスク因子となります。予防にはワーク・エンゲイジメントの向上、適切な休息、スーパービジョン、チームサポートが重要です。
対人援助職に特有の心理的消耗症候群であるバーンアウトの概念を正確に識別できるかを問う問題です。
「精神疾患・障害の特徴と看護」の関連記事
-
知的障害とは何か?発達期に始まる「2つの障害」を整理しよう
知的障害(精神遅滞)の定義そのものを問う基本問題。発症時期(発達期)と、知的機能・適応機能の両方が障害される…
114回
-
抗精神病薬の意外な副作用!ドパミン遮断で起こる体の異変
抗精神病薬の作用機序(ドパミンD2受容体遮断)と副作用(錐体外路症状)を結びつける問題。幻聴・妄想は遮断で改善…
114回
-
ナルコレプシーの4主徴を押さえよう
ナルコレプシーの4主徴(睡眠発作・情動脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺)を把握し、他の睡眠障害と鑑別できるかを問…
113回
-
チック、汚言症、そして併存症、トゥレット障害を立体的に理解する
小児期から青年期に発症する代表的な疾患・障害を鑑別させ、特徴的症状(チック・汚言症)からトゥレット障害を選ば…
112回
-
アルコール離脱症状を見極める
アルコール依存症における急な断酒後に出現する代表的な離脱症状(振戦せん妄)を、関連疾患と鑑別できるかを問う問…
111回