精神障害の三次予防ってなに?復職支援の意義
看護師国家試験 第109回 午後 第67問 / 精神看護学 / 精神保健の基本
国試問題にチャレンジ
精神障害の三次予防の内容で適切なのはどれか。
- 1.うつ病( depression )患者の復職支援
- 2.住民同士のつながりの強化
- 3.精神保健に関する問題の早期発見
- 4.ストレス関連障害の発症予防に関する知識の提供
対話形式の解説
博士
今回は精神障害の予防について、一次・二次・三次の違いを学ぶぞ。これは公衆衛生学の基本的な枠組みじゃ。
サクラ
一次・二次・三次って、病気の予防でも使いますよね。
博士
そう、リーベルとクラークが提唱した分類じゃ。精神保健にも同じ枠組みが当てはまる。
サクラ
それぞれの違いを教えてください。
博士
一次予防は「発症を防ぐ」、二次予防は「早期発見・早期治療」、三次予防は「発症後の障害最小化・再発予防・社会復帰」じゃ。
サクラ
問題の選択肢1「うつ病患者の復職支援」は、どの段階ですか?
博士
復職支援は「すでに発症した」患者への支援で、社会復帰と再発予防を目的とするから三次予防じゃ。リワークプログラムが代表例じゃな。
サクラ
リワークってどんなものですか?
博士
Return to Workの略で、復職前にオフィスに近い環境で徐々に活動量を増やし、職場復帰後の再休職を防ぐプログラムじゃ。医療機関や地域障害者職業センターで実施されておる。
サクラ
選択肢2の住民同士のつながりは、予防にならないんですか?
博士
コミュニティづくりは広義では健康増進に貢献するが、「精神障害の予防対策」として明示的には位置づけられていない。選択肢として不適切というわけじゃな。
サクラ
選択肢3の早期発見は二次予防ですね。
博士
そう。健診でのうつ病スクリーニング、職場のストレスチェック、相談窓口の設置などがこれに当たる。労働者50人以上の事業場ではストレスチェックが義務化されておるぞ。
サクラ
選択肢4のストレス関連障害の予防知識は一次予防ですね。
博士
その通り。発症そのものを防ぐ啓発活動で、学校・職場・地域でのメンタルヘルス教育が含まれる。
サクラ
看護師としては三次予防でどんな役割がありますか?
博士
精神科訪問看護、デイケア、作業療法への連携、服薬継続支援、再発徴候の早期発見、家族支援など多岐にわたる。地域移行・地域定着支援は現代精神科看護の大きなテーマじゃ。
サクラ
入院治療が中心だった時代から、地域で支える時代に変わってきているんですね。
博士
その通り。「入院医療中心から地域生活中心へ」という方針が平成16年の精神保健医療福祉の改革ビジョンで打ち出されてから、看護師の役割も地域へと広がっておるのじゃ。
サクラ
予防の段階を意識することで、看護の目標設定が明確になりますね。
博士
うむ。アセスメントの時点で「今はどの予防段階か」を意識すると、介入の焦点がはっきりするぞ。
POINT
精神障害の予防は一次(健康増進・発症予防)、二次(早期発見・早期治療)、三次(障害の最小化・再発予防・社会復帰)の3段階に分けられ、うつ病患者の復職支援は典型的な三次予防に当たります。ストレス関連障害の知識提供は一次、スクリーニングや早期相談窓口は二次と明確に区別することが重要です。三次予防では、リワークプログラム、デイケア、作業療法、精神科訪問看護、服薬継続支援、家族支援など幅広い介入が含まれ、看護師は地域移行・地域定着支援の中核を担います。平成16年の精神保健医療福祉の改革ビジョン以降、「入院医療中心から地域生活中心へ」という流れの中で、三次予防の重要性はますます高まっています。国試ではこの三段階と具体例を結びつける問題が頻出のため、典型例を整理して覚えることが得策です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:精神障害の三次予防の内容で適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。三次予防とは、既に発症した疾患による障害を最小限に抑え、再発を防ぎ、社会復帰を促進することを目的とする。うつ病患者の復職支援は、病気によって生じた社会機能の低下を回復させ、再発を防ぎ、QOLを維持する三次予防の典型例である。リハビリテーション、就労支援、デイケア、地域移行支援などが三次予防に含まれる。
選択肢考察
-
○ 1. うつ病( depression )患者の復職支援
発症後の社会復帰・再発予防を目的とする三次予防の典型。リワークプログラム、産業保健師との連携、段階的復帰などが含まれる。
-
× 2. 住民同士のつながりの強化
一次予防に近い健康増進活動だが、精神障害の予防対策の枠組みでは直接的な項目として位置づけられていない。地域全体の健康づくりに資する活動ではある。
-
× 3. 精神保健に関する問題の早期発見
二次予防に該当する。スクリーニング、早期相談窓口の設置、健診での気分質問票の活用など、発症初期に発見し早期治療につなげる活動。
-
× 4. ストレス関連障害の発症予防に関する知識の提供
一次予防(健康増進・疾病予防)に該当する。正しい知識の普及啓発、ストレスマネジメント教育、メンタルヘルス啓発などが含まれる。
疾病予防の3段階(リーベルとクラークのモデル)は精神保健にもそのまま適用される。一次予防は発症そのものを防ぐ活動で、健康教育・知識普及・メンタルヘルス啓発・ストレスマネジメント・地域づくり・環境整備など。二次予防は早期発見・早期治療で、健診でのスクリーニング、相談窓口、職場のメンタルヘルスチェック(労働者50人以上の事業場で義務)など。三次予防は再発予防とリハビリテーションで、復職支援(リワーク)、デイケア、作業療法、訪問看護、社会資源の活用、再発予防教育などが含まれる。精神科看護では特に三次予防が重要で、地域移行・地域定着支援の観点からも看護師の役割は大きい。
精神障害の予防を一次・二次・三次に分類し、具体例を正確に結びつける問題。復職支援=三次予防という典型例を押さえる。
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