人権と安全をどう両立?行動制限のルール
看護師国家試験 第107回 午前 第88問 / 精神看護学 / 安全な治療環境と多職種連携
国試問題にチャレンジ
精神科病院で行動制限を受ける患者への対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.行動制限の理由を患者に説明する。
- 2.原則として2名以上のスタッフで対応する。
- 3.信書の発受の対象は患者の家族に限定する。
- 4.精神保健指定医による診察は週1回とする。
- 5.12時間を超えない隔離は看護師の判断で実施する。
対話形式の解説
博士
精神科の行動制限は、看護師にとって悩ましい場面じゃな。
アユム
患者さんの自由を制限するので、本当に必要かどうか慎重に考える必要がありますよね。
博士
その通りじゃ。精神保健福祉法では『必要最小限』『できる限りの説明』が基本理念じゃ。
アユム
だから選択肢1の『行動制限の理由を患者に説明する』は正しいんですね。
博士
うむ。同時に、複数スタッフで対応することも原則じゃ。
アユム
一人で対応すると危険ですし、客観的な記録も残しにくいですね。
博士
そうじゃ、患者と医療者双方の安全を守るためじゃ。
アユム
信書の制限はどうなっているんですか?
博士
原則自由じゃ。特に弁護士や行政機関との通信は絶対に制限できん。
アユム
家族だけに限定するのは誤りなんですね。
博士
うむ。ではこの隔離と身体的拘束、誰が判断するのじゃ?
アユム
精神保健指定医ですよね。12時間以内の隔離なら指定医でなくても医師の判断で可能と習いました。
博士
正解。12時間を超える隔離や身体的拘束は指定医の判断が必須じゃ。
アユム
看護師の判断で隔離することはできないんですね。
博士
その通り。診察頻度は?
アユム
医師は原則毎日1回以上、身体拘束中はさらに頻回の診察が必要です。
博士
うむ、週1回では到底足りん。
アユム
行動制限の4種類も整理しておきたいです。
博士
任意入院者の開放処遇制限・通信面会制限・隔離・身体的拘束じゃ。種類ごとに要件が異なるから要注意じゃぞ。
POINT
行動制限は精神保健福祉法に基づく厳格な手続きが必要な医療行為です。必要最小限の原則、説明義務、複数対応、指定医の関与、毎日の診察、診療録記録が鍵となります。信書や弁護士との通信は絶対に制限できず、隔離・身体的拘束は指定医(12時間未満は医師も可)の判断が必須です。看護師は患者の尊厳を守りつつチームで安全を確保する役割を担います。
解答・解説
正解は 1 ・ 2 です
問題文:精神科病院で行動制限を受ける患者への対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 2 です。精神保健福祉法では、患者の自由制限は必要最小限とし、制限を行う際は患者にできる限り説明するよう努めることが基本理念として定められています(第36条・第37条、告示第130号)。行動制限は患者と医療者双方の安全を守るため、原則として複数のスタッフで対応することが望ましく、これにより第三者による客観的な状況記録と安全確保が可能となります。信書の発受は家族以外でも原則自由で、一般の面会や通信も同様です(弁護士や行政機関との連絡は絶対に制限不可)。隔離・身体的拘束の要否判断は精神保健指定医が行い、12時間を超えない隔離は指定医または医師、12時間を超える隔離は指定医の判断が必要です。医師は原則として毎日1回以上診察し、身体拘束中はさらに頻回の診察が求められます。
選択肢考察
-
○ 1. 行動制限の理由を患者に説明する。
患者の尊厳を守り治療的関係を維持するため、可能な限り制限の理由を説明することが法の基本理念です。
-
○ 2. 原則として2名以上のスタッフで対応する。
患者と医療者双方の安全確保と客観的記録のため、複数対応が望ましいとされています。
-
× 3. 信書の発受の対象は患者の家族に限定する。
信書の発受は原則自由で制限不可、特に弁護士や行政機関との通信は絶対に制限できません。
-
× 4. 精神保健指定医による診察は週1回とする。
医師は原則として少なくとも毎日1回以上診察することが求められます。
-
× 5. 12時間を超えない隔離は看護師の判断で実施する。
隔離の要否判断は『指定医または医師』が行い、看護師の判断では実施できません。
行動制限は4つの種類があります。(1)任意入院者の開放処遇の制限、(2)通信・面会の制限、(3)隔離、(4)身体的拘束。隔離は12時間未満なら指定医以外の医師も判断可能、12時間以上と身体的拘束は指定医の判断が必須です。制限中は診療録への理由・時間の記録、定期的な状態評価、家族への連絡などが求められます。
精神科における行動制限の原則(最小限・説明義務・複数対応・指定医の関与)を理解しているかを問う設問です。
「安全な治療環境と多職種連携」の関連記事
-
身体拘束の最大の敵!肺血栓塞栓症の発生メカニズムを学ぶ
身体的拘束に伴う合併症を問う問題。長時間の不動による深部静脈血栓症からの肺血栓塞栓症が代表的な致死的合併症で…
114回
-
精神科の行動制限ルール|精神保健指定医と「12時間」の壁
精神保健福祉法上の行動制限のルール、特に隔離・身体的拘束における精神保健指定医の関与のタイミングを問う問題。1…
114回
-
身体拘束とトラウマインフォームドケア ― 尊厳を守る精神科看護
攻撃性の高い精神疾患患者への身体的拘束下のケアの基本を問う問題。拘束そのものがトラウマ体験となりうる視点(ト…
112回
-
精神保健福祉法の行動制限
精神保健福祉法における行動制限の範囲、特に絶対に制限できない権利と、合理的理由で制限可能な面会の違いを理解し…
111回
-
精神科隔離の4原則——『事前説明』『診療録記載』『1人使用』『医師判断』を守る理由
精神保健福祉法における隔離の遵守事項を問う問題。理由の事前説明・診療録記載・1人での使用・医師の判断という4つ…
109回