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前立腺癌骨転移の痛みは何性?体性痛の見分け方

看護師国家試験 第108回 午後 第42問 / 成人看護学 / がん看護

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第42問

Aさん(64歳、男性)は、2年前に前立腺癌(prostate cancer)と診断され、内分泌療法を受けていた。1か月前から体動時に強い痛みが腰部に生じるようになり、外来を受診したところ腰椎転移と診断された。 Aさんに生じている痛みで最も考えられるのはどれか。

  1. 1.関連痛
  2. 2.体性痛
  3. 3.中枢痛
  4. 4.内臓痛

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさん64歳男性の事例じゃ。前立腺癌で内分泌療法中、1か月前から体動時に腰痛が出て腰椎転移と診断されたんじゃ。

アユム アユム

前立腺癌って骨に転移しやすいんですよね。

博士 博士

その通り。前立腺癌は造骨性転移を起こしやすく、骨盤骨や腰椎など体軸骨格が好発部位なんじゃ。

アユム アユム

この腰の痛みはどういう種類の痛みになるんですか?

博士 博士

正解は2の体性痛じゃ。骨膜や骨皮質には侵害受容器が豊富で、転移巣による骨破壊で刺激されると限局した鋭い痛みが出るんじゃよ。

アユム アユム

体動で強くなるのも体性痛の特徴ですか?

博士 博士

そうじゃ。体性痛は部位が明瞭でズキッと刺すような痛み、体動や荷重で増悪するのが典型的じゃな。

アユム アユム

ほかの選択肢も整理したいです。

博士 博士

1の関連痛は内臓の障害が離れた体表に感じられる痛みで、心筋梗塞の左肩痛が有名じゃ。今回は腰そのものが痛むから違うんじゃ。

アユム アユム

3の中枢痛はどうですか?

博士 博士

中枢痛は脳や脊髄の病変自体が原因の神経障害性疼痛で、しびれや灼熱感を伴うんじゃ。骨転移の末梢刺激とは機序が違うぞ。

アユム アユム

4の内臓痛との違いも教えてください。

博士 博士

内臓痛は管腔臓器の伸展や被膜の進展で起き、部位が曖昧でキリキリ絞られる性状、悪心や冷汗を伴うんじゃ。骨は体性組織だから当てはまらんのじゃよ。

アユム アユム

骨転移痛のケアで注意点はありますか?

博士 博士

WHO方式に沿ってNSAIDsやオピオイドを使い、骨転移にはビスホスホネートやデノスマブ、放射線治療も有効じゃ。突出痛に備えたレスキュー薬の準備も忘れずにな。

アユム アユム

痛みを我慢させないケアが大切ですね。よく分かりました。

POINT

前立腺癌の骨転移による腰痛は体性痛に分類されます。体性痛は骨・筋・皮膚などの体性組織への侵害刺激で生じ、部位が限局し体動で増悪するのが特徴です。関連痛・内臓痛・中枢痛との機序の違いを理解することが鑑別の鍵になります。骨転移痛の治療ではWHO方式鎮痛に加え、骨修飾薬や放射線治療の併用が有効です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさん(64歳、男性)は、2年前に前立腺癌(prostate cancer)と診断され、内分泌療法を受けていた。1か月前から体動時に強い痛みが腰部に生じるようになり、外来を受診したところ腰椎転移と診断された。 Aさんに生じている痛みで最も考えられるのはどれか。

解説:正解は 2 です。前立腺癌は骨への親和性が高く、骨盤骨や腰椎など体軸骨格に造骨性転移を生じやすい腫瘍です。骨転移部では骨膜や骨皮質を支配する侵害受容器が刺激され、体性痛が発生します。体性痛は痛みの部位が限局的で、ズキッと刺すような、あるいは鋭く疼く性状で、体動や荷重で増悪するのが特徴です。Aさんの「体動時に強い痛みが腰部に生じる」という訴えは、骨転移に伴う典型的な体性痛のパターンです。

選択肢考察

  1. × 1.  関連痛

    関連痛は、痛みの原因となる臓器とは離れた部位に感じる痛みで、内臓からの求心性線維と体表からの線維が同じ脊髄分節に収束することで生じます。心筋虚血での左肩・左腕痛、胆嚢炎での右肩痛などが代表例で、Aさんの腰部局所痛には合致しません。

  2. 2.  体性痛

    皮膚・骨・関節・筋などの体性組織に機械的・化学的侵害刺激が加わって生じる痛みで、部位が明確で体動により増強します。骨転移による骨破壊や骨膜刺激は体性痛の代表例であり、Aさんの腰椎転移による腰部痛に該当します。

  3. × 3.  中枢痛

    中枢痛は脳血管障害や脊髄損傷など中枢神経系の病変そのものが原因で生じる神経障害性疼痛で、しびれや灼熱感を伴い、病変と反対側の半身に現れることが多いです。骨転移による末梢の侵害刺激とは発生機序が異なります。

  4. × 4.  内臓痛

    内臓痛は管腔臓器の伸展・攣縮や被膜の急激な進展によって生じ、部位が曖昧でキリキリ・締め付けられる性状で、悪心・冷汗など自律神経症状を伴うのが特徴です。骨という体性組織由来のAさんの痛みには当てはまりません。

がん性疼痛は機序別に侵害受容性疼痛(体性痛・内臓痛)と神経障害性疼痛に大別されます。骨転移痛は体性痛が中心ですが、神経圧迫を伴えば神経障害性疼痛が混在し、突出痛への対応としてレスキュー薬も重要です。WHO方式がん疼痛治療ではオピオイドに加え、骨転移痛にはNSAIDsやビスホスホネート、デノスマブ、放射線治療が併用されます。

前立腺癌の骨転移による痛みの病態分類を問う問題です。体性痛・内臓痛・関連痛・中枢痛の発生機序と特徴を区別できるかが焦点です。