StudyNurse

がん治療と仕事を両立するための最初の一歩

看護師国家試験 第108回 午後 第67問 / 成人看護学 / がん看護

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第67問

Aさん(52歳、男性、独身)は、銀行員。切除不能の大腸癌(colon cancer)と診断され、外来で抗癌薬の点滴静脈内注射を受けることになった。Aさんは「治療を受けながら仕事を続けたいのですが、どうすれば良いか教えてください」と外来看護師に相談した。 外来看護師が行うAさんへの助言で最も適切なのはどれか。

  1. 1.「所属部署の変更を上司に申し出ましょう」
  2. 2.「副作用が出てから対応を考えましょう」
  3. 3.「会社の健康管理部門に相談しましょう」
  4. 4.「有給休暇を使って治療を受けましょう」

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさん52歳、銀行員で切除不能の大腸癌と診断された方じゃ。外来化学療法を受けながら仕事を続けたいと希望しておる。

サクラ サクラ

博士、治療と仕事の両立って言葉はよく聞きますが、看護師として具体的に何を助言すればいいんでしょう?

博士 博士

正解は3番、『会社の健康管理部門に相談しましょう』じゃ。産業医や産業保健師がいる健康管理部門を通じて、会社の両立支援制度を使うのが正攻法じゃよ。

サクラ サクラ

厚生労働省のガイドラインもあるんですか?

博士 博士

ある。『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』じゃ。本人の申出を起点に、主治医と会社(産業医・健康管理部門)が情報を共有し、勤務制限や配慮事項を定めていく流れが示されておる。

サクラ サクラ

1番の『所属部署の変更を上司に申し出ましょう』はどうですか?

博士 博士

部署変更は両立支援の選択肢の一つに過ぎん。Aさんの希望や副作用の出方を知らないまま先に提案するのは早計じゃ。まずは制度全体を把握することが先決じゃよ。

サクラ サクラ

2番の『副作用が出てから対応を考えましょう』は?

博士 博士

これは危うい助言じゃ。抗がん薬の副作用は治療開始直後から出現するし、予測可能な部分も多い。事前に準備しておくことで、急な欠勤や業務停滞を防げる。

サクラ サクラ

大腸癌の化学療法ではどんな副作用が出ますか?

博士 博士

FOLFOXなら末梢神経障害、FOLFIRIなら下痢、ベバシズマブなら高血圧や出血傾向などが代表的じゃ。それぞれ出現時期が違うから、勤務スケジュールの組み立てに直結する情報じゃよ。

サクラ サクラ

4番の『有給休暇を使いましょう』は?

博士 博士

有給は大切じゃが、化学療法は半年〜1年以上続くこともある。有給だけでは到底足りん。傷病休暇や時短勤務、在宅勤務などの制度と組み合わせる必要がある。

サクラ サクラ

両立支援コーディネーターという役割もあるんですよね。

博士 博士

その通り。医療機関や企業、支援機関に配置され、主治医と会社の橋渡しをする専門職じゃ。『治療と仕事の両立支援助成金』の活用も可能じゃよ。

サクラ サクラ

外来看護師はどんな役割を果たすんですか?

博士 博士

患者の希望を受け止め、主治医や医療ソーシャルワーカーと連携して、会社側との情報連携を側面支援する。副作用の予測情報を患者にわかりやすく伝え、勤務調整の材料にしてもらうのも大事な役割じゃ。

サクラ サクラ

患者の希望を尊重しつつ、制度と専門職をつなぐんですね。よく理解できました。

POINT

がん治療と仕事の両立支援では、厚労省ガイドラインに基づき会社の産業医・健康管理部門と連携して制度を活用するのが基本である。部署変更や有給休暇は選択肢の一つに過ぎず、先に全体の制度を把握することが重要である。副作用は予測可能な範囲で事前準備し、両立支援コーディネーターの活用も検討する。外来看護師は患者の希望を中心に多職種・多機関連携を側面支援する役割を担う。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん(52歳、男性、独身)は、銀行員。切除不能の大腸癌(colon cancer)と診断され、外来で抗癌薬の点滴静脈内注射を受けることになった。Aさんは「治療を受けながら仕事を続けたいのですが、どうすれば良いか教えてください」と外来看護師に相談した。 外来看護師が行うAさんへの助言で最も適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。がん治療と就労の両立支援では、企業内の健康管理部門(産業医・産業保健師・衛生管理者など)との連携が基本です。Aさんは『治療を受けながら仕事を続けたい』と明確に希望しており、まずは会社がどのような両立支援制度(時短勤務、時差出勤、在宅勤務、休職・復職制度、有給休暇の柔軟運用など)を持っているかを産業保健スタッフを通じて把握・活用することが最も適切です。厚生労働省の『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』でも、主治医・企業・産業医の連携が推奨されています。

選択肢考察

  1. × 1.  「所属部署の変更を上司に申し出ましょう」

    部署変更は両立支援の選択肢の一つに過ぎず、Aさんの希望を聞かずに先に提案するのは適切ではありません。

  2. × 2.  「副作用が出てから対応を考えましょう」

    抗がん薬の副作用は治療開始後に多様な形で出現します。事前に想定し、働き方の調整を準備しておくべきです。

  3. 3.  「会社の健康管理部門に相談しましょう」

    産業医や健康管理部門を通じて会社の両立支援制度を活用する正攻法で、厚労省ガイドラインも推奨しています。

  4. × 4.  「有給休暇を使って治療を受けましょう」

    抗がん薬治療は長期にわたることが多く、有給だけでは対応しきれません。制度的な両立支援の活用が先決です。

厚生労働省の『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』では、労働者本人の申出に基づき、主治医と会社(産業医・健康管理部門)が情報をやりとりし、勤務制限や配慮事項を定めた『就業上の措置』を決めていく流れが示されています。両立支援コーディネーター(医療機関・企業・支援機関に配置)の活用や、『治療と仕事の両立支援助成金』の利用も可能です。大腸癌でのFOLFOX/FOLFIRIなどの外来化学療法では末梢神経障害や下痢、倦怠感の時期を予測した勤務調整が有効です。

がん患者の治療と仕事の両立支援における適切な情報源・相談先の選択を問う問題です。