乳癌の確定診断は何で行う?
看護師国家試験 第108回 午前 第93問 / 成人看護学 / がん看護
国試問題にチャレンジ
次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫38歳と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌(breast cancer)の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。 確定診断のため、Aさんに行われた検査はどれか。
- 1.MRI
- 2.針生検
- 3.PET - CT
- 4.マンモグラフィ
対話形式の解説
博士
Aさんは37歳、入浴中にしこりに気づき受診したケースじゃ。超音波で3cmの腫瘤が見つかっておる。
サクラ
超音波で見つかった時点では確定診断ではないんですね?
博士
そうじゃ。画像検査はあくまで『疑い』を高めるもので、最終的な確定には組織の病理診断が必須じゃ。これが癌診断の大原則じゃよ。
サクラ
4択の中で組織を採取する検査は針生検ですね。
博士
正解は選択肢2の針生検じゃ。太い針で腫瘤の組織を採り、顕微鏡で悪性細胞や組織構造を確認するのじゃ。
サクラ
MRIはなぜダメなんですか?
博士
MRIは画像検査じゃから組織情報は得られん。ただし乳癌では病変の広がりや多発病変の評価、術前計画に非常に有用な検査なのじゃ。
サクラ
PET-CTはどんな場面で使うんですか?
博士
PET-CTは糖代謝の高い細胞を全身で描出する検査で、遠隔転移やリンパ節転移の検索に使うのじゃ。原発巣の確定診断向けではないぞ。
サクラ
マンモグラフィはがん検診でよく聞きます。
博士
そう、マンモグラフィは乳房専用X線で、微細石灰化などスクリーニングに優れておる。しかしこれも画像検査で、組織診断はできん。
サクラ
検診で引っかかった後、精密検査で針生検に進むんですね。
博士
その通り。診断フローは『視触診→マンモ/超音波→細胞診/組織診→確定診断』となるのじゃ。
サクラ
組織診と細胞診の違いは?
博士
細胞診は穿刺吸引(FNA)で細胞単位を採る検査、組織診は針生検やマンモトーム生検で組織片を採る検査じゃ。針生検の方が組織量が多く、HER2やホルモン受容体などの免疫染色もできる利点がある。
サクラ
サブタイプが分かれば治療方針も決まりますね。
博士
うむ。ER・PgR・HER2・Ki-67で分類し、ホルモン療法・抗HER2療法・化学療法を組み合わせていくのじゃ。
サクラ
確定診断の意味が深まりました。
博士
『疑い』と『確定』の境界を意識することが臨床看護でも大切じゃぞ。
POINT
乳癌の確定診断は組織を採取する針生検で行います。MRIやPET-CT、マンモグラフィはいずれも画像検査で、病変の評価や広がり診断に有用ですが、病理学的確定診断は行えません。針生検によりホルモン受容体やHER2などのサブタイプも判定でき、治療方針決定に必須の情報となります。画像検査と組織検査の役割分担を整理して覚えましょう。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫38歳と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌(breast cancer)の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。 確定診断のため、Aさんに行われた検査はどれか。
解説:正解は 2 です。乳癌の確定診断には、組織を採取して病理学的に悪性細胞や組織構造を確認する必要があります。針生検(コア針生検)は病変に太めの針を刺して組織を採取する方法で、組織型・悪性度・ホルモン受容体・HER2などの生物学的情報も得られるため、乳癌確定診断のゴールドスタンダードです。画像検査単独では確定診断はできません。
選択肢考察
-
× 1. MRI
MRIは乳癌の広がり(進展範囲)評価や多発病変の検出、術前の手術計画に有用ですが、病理所見が得られないため確定診断はできません。
-
○ 2. 針生検
針生検では組織を採取して病理検査を行い、組織型・悪性度・エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2などを確認できます。これが乳癌確定診断の標準的な方法です。
-
× 3. PET - CT
PET-CTは糖代謝の高い病変を描出する全身検索検査で、主に遠隔転移やリンパ節転移の評価に用いられます。原発巣の確定診断には使えません。
-
× 4. マンモグラフィ
マンモグラフィは乳房専用X線検査で、微細石灰化などスクリーニングに有用ですが、画像検査であり組織診断ができないため確定診断にはなりません。
乳癌の診断プロセスは『視触診→マンモグラフィ/超音波→細胞診/組織診→確定診断』という流れです。細胞診(穿刺吸引細胞診:FNA)より針生検(コア針生検:CNB)やマンモトーム生検(吸引式乳房組織生検:VAB)の方が組織量が多く、サブタイプ判定に必要な免疫染色が可能です。治療方針決定にはHER2やホルモン受容体・Ki-67などのサブタイプ分類が不可欠です。
画像検査と組織検査の違いを理解し、癌の『確定診断=病理診断』という原則を押さえられているかが問われています。
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