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慢性疾患患者へのセルフマネジメント支援

看護師国家試験 第107回 午前 第44問 / 成人看護学 / 慢性疾患とリハビリテーション看護

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第44問

慢性疾患の患者に対する自己管理の支援で最も適切なのはどれか。

  1. 1.患者自身の失敗体験をもとに指導する。
  2. 2.病気に関する広範囲な知識を提供する。
  3. 3.症状に慣れる方法を身につけるように促す。
  4. 4.自分の身体徴候を把握するように指導する。

対話形式の解説

博士 博士

慢性疾患の自己管理支援の問題じゃ。お主、セルフマネジメントとは何か説明できるかの?

アユム アユム

はい、患者さん自身が疾患や症状、治療、生活を主体的に管理していくことですよね。

博士 博士

その通り。そして、その核となるのがセルフモニタリングじゃ。身体徴候を自分で把握することが出発点となるのじゃ。

アユム アユム

糖尿病なら血糖自己測定、心不全なら体重や浮腫のチェック、高血圧なら家庭血圧測定ですね。

博士 博士

よく覚えておるな。選択肢1の失敗体験をもとにする指導はどう思うかの?

アユム アユム

自信を失わせてしまいそうです。バンデューラの自己効力理論では成功体験が大切ですよね。

博士 博士

その通りじゃ。自己効力感を高める4つの情報源、覚えておるか?

アユム アユム

はい、達成体験、代理体験、言語的説得、生理的情動的喚起の4つです。

博士 博士

見事じゃ。達成体験が最も強力じゃ。小さな成功を積み重ねて「自分にもできる」という感覚を育てることが鍵じゃの。

アユム アユム

選択肢2の広範囲な知識提供はどうでしょう?

博士 博士

情報が多すぎると患者は消化しきれず混乱するのじゃ。患者の生活、理解度、関心、優先課題に合わせた個別化された情報提供が肝要じゃ。

アユム アユム

選択肢3の「症状に慣れる」は危険ですね。悪化のサインを見逃しかねません。

博士 博士

その通り。目指すのは慣れではなく、早期に察知して対処する力じゃ。

アユム アユム

セルフマネジメント支援の5Aというのもありますよね。

博士 博士

よく知っておるな。Assess評価、Advise助言、Agree合意、Assist援助、Arrange調整じゃ。患者と合意形成しながら段階的に支援する枠組みじゃの。

アユム アユム

共有意思決定(SDM)や動機づけ面接も最近よく聞きます。

博士 博士

そうじゃ。押しつけではなく、患者が自ら選択し決定する過程を支援する。それがエンパワメントじゃ。

アユム アユム

慢性疾患は治らないから、一生付き合う病気ですものね。患者さん自身が主役になれるよう支えたいです。

博士 博士

その姿勢が看護の真髄じゃ。

POINT

慢性疾患の自己管理支援では、患者自身が身体徴候を把握しセルフモニタリングする力を育てることが基本です。バンデューラの自己効力理論に基づき、成功体験を重ねて自己効力感を高め、患者の生活に即した具体的で実践可能な情報を段階的に提供します。症状に慣れるのではなく、早期に察知し対処できる力を身につけることが目標です。5Aの枠組みや共有意思決定の手法も活用し、患者を主役としたエンパワメント支援を行いましょう。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:慢性疾患の患者に対する自己管理の支援で最も適切なのはどれか。

解説:正解は4の「自分の身体徴候を把握するように指導する」です。慢性疾患のセルフマネジメントにおいて最も重要なのは、患者自身が自分の身体の状態を継続的にモニタリングし、症状の悪化や合併症の予兆を早期にキャッチできるようになることです。たとえば糖尿病では血糖自己測定、心不全では体重・浮腫・呼吸状態のチェック、高血圧では家庭血圧測定といった自己観察が治療継続の基盤となります。バンデューラの自己効力理論に基づけば、成功体験を重ね「自分でコントロールできている」という感覚(セルフ・エフィカシー)を高めることが行動変容と治療継続に不可欠です。

選択肢考察

  1. × 1.  患者自身の失敗体験をもとに指導する。

    失敗体験を強調すると自己効力感が低下し、自信喪失や治療意欲の減退を招きます。バンデューラの理論では「成功体験」「代理体験」「言語的説得」「情動的喚起」の4要素が自己効力感を高めるとされ、成功体験をもとに肯定的にフィードバックするのが原則です。

  2. × 2.  病気に関する広範囲な知識を提供する。

    情報量が多すぎると患者は混乱し、実践につながりません。患者の生活・理解度・優先課題に即した、具体的かつ実践可能な情報を段階的に提供することが重要です。

  3. × 3.  症状に慣れる方法を身につけるように促す。

    症状に慣れてしまうと病状悪化のサインを見逃す危険があります。目指すべきは「症状への慣れ」ではなく「症状を察知し対処する方法の習得」です。

  4. 4.  自分の身体徴候を把握するように指導する。

    セルフモニタリングは慢性疾患管理の根幹です。身体徴候を把握できることで異変を早期発見し、速やかに対処・受診行動につなげられます。

セルフマネジメント支援の5A(Assess:評価、Advise:助言、Agree:合意、Assist:援助、Arrange:調整)や、共有意思決定(SDM)、動機づけ面接の技法が国試でも頻出です。自己効力感を高める4情報源(バンデューラ):①達成体験②代理体験③言語的説得④生理的情動的喚起。慢性疾患患者のエンパワメント支援では「患者が主役」という視点が大切です。

慢性疾患のセルフマネジメント支援における基本原則、特にセルフモニタリングの重要性を理解しているかが問われています。