クッシング症候群vsバセドウ病の所見鑑別
看護師国家試験 第108回 午後 第45問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系
国試問題にチャレンジ
糖質コルチコイドの分泌が長期に過剰となった状態の身体所見で正しいのはどれか。
- 1.眼球突出
- 2.甲状腺腫大
- 3.頻脈
- 4.満月様顔貌
対話形式の解説
博士
今日は糖質コルチコイドが長期に過剰になったときの身体所見について考えてみよう。
サクラ
糖質コルチコイドって副腎皮質のホルモンですよね。
博士
その通り。コルチゾールのことで、長期に過剰になるとクッシング症候群になるんじゃ。
サクラ
正解はどれですか?
博士
4の満月様顔貌じゃ。ムーンフェイスとも呼ばれ、コルチゾール過剰による脂肪再分配と水分貯留で顔が丸く腫れぼったくなるんじゃよ。
サクラ
ほかにどんな所見が出ますか?
博士
中心性肥満、水牛様脂肪沈着、皮膚の赤紫色線条、易感染性、高血圧、耐糖能異常などじゃ。四肢は細いのに体幹や顔に脂肪がつくのが特徴じゃな。
サクラ
1の眼球突出は違うんですか?
博士
眼球突出はバセドウ病の所見じゃ。自己抗体で外眼筋や眼窩脂肪が肥厚して眼球が前に押し出されるんじゃよ。
サクラ
2の甲状腺腫大も違いますね。
博士
甲状腺腫大もバセドウ病や橋本病、甲状腺癌など甲状腺そのものの病気で起きるんじゃ。副腎のホルモンである糖質コルチコイドとは無関係じゃ。
サクラ
3の頻脈は?
博士
頻脈も甲状腺機能亢進症の特徴じゃ。代謝が亢進して交感神経が優位になるから脈が速くなるんじゃよ。
サクラ
バセドウ病の三主徴って何ですか?
博士
メルゼブルク三徴と呼ばれ、眼球突出・甲状腺腫大・頻脈の3つじゃ。本問の選択肢1〜3はすべてバセドウ病の所見じゃな。
サクラ
クッシング症候群の原因は何がありますか?
博士
下垂体腺腫によるクッシング病、副腎腺腫、異所性ACTH産生腫瘍、そしてステロイド長期投与による医原性じゃ。
サクラ
ステロイド長期服用者の看護で注意点はありますか?
博士
感染予防、骨粗鬆症対策、消化性潰瘍予防、血糖管理が重要じゃ。急な中止で副腎不全を起こすから漸減が原則じゃぞ。
サクラ
二つの疾患の所見の違いがよく分かりました。
POINT
糖質コルチコイドが長期過剰となる状態はクッシング症候群で、満月様顔貌・中心性肥満・水牛様脂肪沈着・皮膚線条などが特徴です。対するバセドウ病の三主徴は眼球突出・甲状腺腫大・頻脈で、鑑別の要となります。原因には下垂体・副腎腫瘍のほかステロイド長期投与による医原性もあり、感染・骨粗鬆症・高血糖への対策が重要です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:糖質コルチコイドの分泌が長期に過剰となった状態の身体所見で正しいのはどれか。
解説:正解は 4 です。糖質コルチコイド(コルチゾール)が長期に過剰となる状態はクッシング症候群と呼ばれ、特徴的な身体所見として満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、水牛様脂肪沈着、皮膚線条、易感染性、高血圧、耐糖能異常などが出現します。脂肪代謝異常により四肢は細くなる一方で、体幹や顔面に脂肪が沈着するのが特徴です。
選択肢考察
-
× 1. 眼球突出
眼球突出はバセドウ病(甲状腺機能亢進症)に特徴的な所見で、自己抗体による外眼筋や眼窩脂肪組織の浮腫・肥厚により生じます。糖質コルチコイドとは無関係です。
-
× 2. 甲状腺腫大
甲状腺腫大はバセドウ病、橋本病、甲状腺癌など甲状腺そのものの疾患で生じます。副腎皮質由来の糖質コルチコイド過剰では認められません。
-
× 3. 頻脈
頻脈は甲状腺機能亢進症で代謝亢進により交感神経優位となり生じる所見で、メルゼブルクの三徴の一つです。糖質コルチコイド過剰では特徴的ではありません。
-
○ 4. 満月様顔貌
ムーンフェイスはクッシング症候群の最も代表的な所見で、コルチゾール過剰による脂肪再分配とナトリウム・水分貯留で顔が丸く腫れぼったくなります。ステロイド長期内服でも同様に出現します。
クッシング症候群の原因には下垂体腺腫によるACTH過剰(クッシング病)、副腎腺腫による自律性コルチゾール産生、異所性ACTH産生腫瘍、医原性(ステロイド長期投与)などがあります。バセドウ病の三主徴(メルゼブルク三徴)は眼球突出・甲状腺腫大・頻脈で、本問の1〜3はすべてバセドウ病の所見として覚えると鑑別しやすいです。ステロイド長期服用中は感染、骨粗鬆症、消化性潰瘍、糖尿病にも注意します。
内分泌疾患の典型的身体所見の鑑別を問う問題です。クッシング症候群とバセドウ病の所見を対比して整理できるかが焦点です。
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