低血糖症状を自律神経と中枢神経で分ける
看護師国家試験 第108回 午前 第29問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系
国試問題にチャレンジ
低血糖時の症状はどれか。
- 1.発疹
- 2.徐脈
- 3.冷汗
- 4.多幸感
対話形式の解説
博士
今日は低血糖症状の話じゃ。糖尿病治療中の患者によく見られる重要な病態じゃな。
サクラ
冷汗が出るというのはよく聞きます。正解は3の冷汗ですね?
博士
その通り。低血糖症状は大きく自律神経症状と中枢神経症状に分けられる。冷汗は自律神経症状の代表じゃ。
サクラ
なぜ冷汗が出るんですか?
博士
血糖が下がるとアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されて交感神経が活性化する。発汗が亢進し、さらに皮膚血管が収縮するから冷たく湿った汗が出るんじゃ。
サクラ
他の自律神経症状は?
博士
動悸、頻脈、手指振戦、顔面蒼白、強い空腹感などじゃ。だいたい血糖70mg/dL以下で出現する。
サクラ
中枢神経症状はどんなものですか?
博士
血糖50mg/dL以下で集中力低下、頭痛、眠気、生あくびが出て、30mg/dL以下では意識消失、異常行動、痙攣、昏睡に至る。脳のエネルギー欠乏じゃな。
サクラ
1の発疹はなぜ違うんですか?
博士
発疹はアレルギー反応や感染症、薬疹などの皮膚症状じゃ。低血糖とは関係ないぞ。
サクラ
2の徐脈は?
博士
低血糖ではアドレナリンで頻脈になる。徐脈は逆の反応じゃな。
サクラ
4の多幸感は?
博士
低血糖では不安感や抑うつ、意識障害が出ることが多い。多幸感は典型的ではないな。
サクラ
対応方法は?
博士
意識があればブドウ糖10〜20gを経口摂取、意識障害があれば50%ブドウ糖20mLを静注、または家族がグルカゴン筋注じゃ。
サクラ
ブドウ糖でないといけないんですか?
博士
α-グルコシダーゼ阻害薬服用中はショ糖ではなくブドウ糖が必須じゃ。ショ糖は分解されないからな。
サクラ
無自覚性低血糖も怖いですよね。
博士
そう、β遮断薬使用例や糖尿病歴が長い例では自律神経症状を欠いていきなり意識障害に至ることがある。SMBGやCGMで予防するんじゃ。
POINT
低血糖時には交感神経活性化によりアドレナリンが分泌され、冷汗・動悸・頻脈・振戦・顔面蒼白・強い空腹感といった自律神経症状が血糖70mg/dL以下で出現します。50mg/dL以下では中枢神経症状として集中力低下・頭痛が、30mg/dL以下では意識消失・痙攣が生じます。発疹・徐脈・多幸感は低血糖症状ではありません。対応は経口ブドウ糖、意識障害時は50%ブドウ糖静注やグルカゴン筋注で、α-GI薬服用中はブドウ糖必須です。無自覚性低血糖にも注意が必要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:低血糖時の症状はどれか。
解説:正解は 3 です。低血糖時には血糖低下への生体反応として交感神経系が活性化し、アドレナリン・ノルアドレナリンの分泌が増加します。これにより冷汗、動悸、頻脈、手指振戦、顔面蒼白、強い空腹感といった自律神経症状が出現します。さらに血糖が40mg/dL以下になると中枢神経のエネルギー不足による意識障害、異常行動、痙攣、昏睡といった神経糖欠乏症状が現れます。
選択肢考察
-
× 1. 発疹
発疹はアレルギー反応や感染症、薬疹などで生じる皮膚症状であり、低血糖の症状ではありません。
-
× 2. 徐脈
低血糖ではアドレナリン分泌亢進により頻脈が生じます。徐脈は逆の反応で誤りです。
-
○ 3. 冷汗
血糖低下に対する交感神経反応として発汗が亢進し、皮膚血管収縮も相まって冷たく湿った汗(冷汗)がみられます。代表的な低血糖サインです。
-
× 4. 多幸感
低血糖では中枢神経のエネルギー不足により不安感、集中力低下、抑うつ、意識障害が出現します。多幸感は典型的ではありません。
血糖値の目安では約70mg/dL以下で自律神経症状(冷汗・動悸・振戦・空腹感)、50mg/dL以下で中枢神経症状(集中力低下・頭痛・眠気)、30mg/dL以下で意識消失・痙攣が出現します。対応は意識があればブドウ糖10〜20g経口、意識障害時は50%ブドウ糖20mLを静注、もしくはグルカゴン筋注です。無自覚性低血糖(自律神経症状を欠く)はβ遮断薬使用例や糖尿病歴が長い例で注意が必要です。
低血糖時の交感神経症状と中枢神経症状の違い、特に冷汗が代表的自律神経症状であることを問う必修問題です。
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