術中管理で異常を見抜く
看護師国家試験 第107回 午後 第40問 / 成人看護学 / 周術期看護
国試問題にチャレンジ
成人男性に対する全身麻酔下の膵頭十二指腸切除術が9時に開始されてから40分間の経過を表に示す。 9時40分の時点で、間接介助の看護師が医師に確認の上、実施することとして適切なのはどれか。
- 1.輸血を準備する。
- 2.下半身を心臓より高くする。
- 3.加温マットの設定温度を上げる。
- 4.次の尿量測定を40分後に実施する。
対話形式の解説
博士
膵頭十二指腸切除術の開始40分時点の表を見て、気になるところはあるかのう?
アユム
体温が35.4℃と低めですね
博士
よく気づいたのう。中枢温36℃未満は低体温と定義されるんじゃ
アユム
術中の低体温はどんな問題がありますか?
博士
覚醒遅延、シバリングによる酸素消費量増加、凝固障害、創感染リスク上昇など、合併症が多いんじゃ
アユム
では加温マットの温度を上げるべきですね
博士
その通り。医師に確認して加温を強化するんじゃ
アユム
出血量30mLで輸血は必要ですか?
博士
いや、輸血準備は循環血液量の20%以上、成人で約800mL以上の出血が目安じゃ
アユム
下半身挙上はどうですか?
博士
血圧が正常範囲ならショック対応は不要じゃな
アユム
尿量測定の間隔を40分後に延ばすのは?
博士
尿量は循環動態の指標で、しかも減少傾向じゃ。間隔を延ばすどころかむしろ注意深く観察すべきじゃ
アユム
膵頭十二指腸切除術は長時間手術だから、低体温に特に気をつけるんですね
博士
その通り。強制空気加温装置や加温輸液も併用されることが多いぞ
アユム
正解は3の加温マットの設定温度を上げる、ですね
POINT
術中管理では体温・出血量・血圧・尿量など複数の指標を総合的に評価します。提示された症例では体温35.4℃の低体温が最も重要な所見で、加温マットの設定温度を上げて合併症を予防します。出血量や血圧は正常範囲、尿量は減少傾向のため観察間隔を延ばすのは不適切です。長時間の開腹手術では体温管理が鍵となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:成人男性に対する全身麻酔下の膵頭十二指腸切除術が9時に開始されてから40分間の経過を表に示す。 9時40分の時点で、間接介助の看護師が医師に確認の上、実施することとして適切なのはどれか。
解説:正解は 3 です。9時40分時点で体温が35.4℃と低体温(中枢温36℃未満)になっています。術中低体温は覚醒遅延、シバリングによる酸素消費量増加、凝固障害、感染リスク上昇などを招くため、加温マットの設定温度を上げるよう医師に確認して対応することが適切です。
選択肢考察
-
× 1. 輸血を準備する。
開腹手術で輸血を考慮するのは循環血液量の20%以上(成人で約800mL以上)の出血時ですが、提示の出血量30mLでは輸血準備の段階にありません。
-
× 2. 下半身を心臓より高くする。
下肢挙上は循環血液量減少性ショック時の応急処置であり、血圧は正常範囲のためこの段階では不要です。
-
○ 3. 加温マットの設定温度を上げる。
体温35.4℃は低体温であり、合併症予防のために加温を強化する必要があります。医師の指示のもと加温マットの温度を調整します。
-
× 4. 次の尿量測定を40分後に実施する。
尿量は循環動態の重要な指標で、術中は少なくとも20〜30分毎に観察します。減少傾向なら間隔を延ばすのは不適切です。
術中低体温の原因:①麻酔薬による体温調節中枢の抑制、②広範囲の皮膚露出、③冷たい輸液・洗浄液、④手術室の低温環境。対策:強制空気加温装置(ベアハガー等)、加温輸液、加温マット、手術野以外の保温。術中モニタリングでは、バイタルサイン、尿量(0.5〜1mL/kg/時以上)、出血量、中枢温、SpO2、ETCO2などを総合的に評価します。膵頭十二指腸切除術は長時間手術で低体温・体液喪失リスクが高いため、体温管理は特に重要です。
術中体温35.4℃は低体温。合併症予防のため加温マットの温度を医師に確認して上げる。
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