在宅PCAポンプとレスキュー投与の役割分担
看護師国家試験 第104回 午後 第71問 / 地域・在宅看護論 / 症状・疾患・治療に応じた看護
国試問題にチャレンジ
Aさん(60歳、男性)は、1年前に膵癌(pancreatic cancer)と診断されて自宅で療養中である。疼痛管理はレスキューとして追加注入ができるシリンジポンプを使用し、オピオイドを持続的に皮下注射している。 訪問看護師のAさんへの疼痛管理の指導で適切なのはどれか。
- 1.シリンジの交換はAさんが実施する。
- 2.疼痛がないときには持続的な注入をやめてもよい。
- 3.レスキューとしてのオピオイドの追加注入はAさんが行う。
- 4.レスキューとして用いるオピオイドの1回量に制限はない。
対話形式の解説
博士
今日は膵癌で在宅療養中のAさんの事例じゃ。シリンジポンプで持続皮下注射しておるぞ。
サクラ
はい、レスキューも追加できるタイプですね。
博士
ではシリンジ交換は誰がやると思う?
サクラ
Aさん本人でしょうか?
博士
いいや、麻薬の交換じゃし無菌操作も必要じゃ。訪問看護師が訪問時に行うのじゃよ。
サクラ
なるほど、ポンプ設定の確認も含まれるんですね。
博士
次に、痛みがないときは注入を止めてよいかの?
サクラ
止めると血中濃度が下がってまた痛くなりますから、続けるべきです。
博士
その通りじゃ。ベース投与は休まず継続が原則じゃ。
サクラ
ではレスキューは誰が押すんですか?
博士
これはAさん自身じゃ。突出痛にすぐ対応できる利点があるのじゃ。
サクラ
1回量に制限はあるのでしょうか。
博士
もちろんある。皮下注なら1時間量を急速投与が目安で、ロックアウトタイムも設定されておる。
サクラ
無制限だと呼吸抑制が心配ですものね。
博士
じゃから正解は3、本人がレスキューを行うじゃ。
POINT
在宅オピオイド持続皮下注射では、ベース投与で痛みの底上げを防ぎ、突出痛にはPCAレスキューで本人が即座に対応します。シリンジ交換やポンプ設定は医療者の役割で、レスキュー量にも安全のため上限が設けられています。家族による代行押しは呼吸抑制リスクがあり推奨されません。患者主体の鎮痛と医療者の安全管理を両立させる視点が重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:Aさん(60歳、男性)は、1年前に膵癌(pancreatic cancer)と診断されて自宅で療養中である。疼痛管理はレスキューとして追加注入ができるシリンジポンプを使用し、オピオイドを持続的に皮下注射している。 訪問看護師のAさんへの疼痛管理の指導で適切なのはどれか。
解説:正解は3です。在宅でPCAポンプを用いた持続皮下注射を行う場合、突出痛に迅速に対応するため、レスキュードーズの追加注入ボタンは患者本人が自分の判断で押せるように指導します。これにより患者主体の疼痛コントロールが可能となります。
選択肢考察
-
× 1. シリンジの交換はAさんが実施する。
麻薬性鎮痛薬の取扱いや無菌操作、ポンプ設定の確認が必要であるため、シリンジ交換は訪問看護師など医療者が定期訪問時に実施します。
-
× 2. 疼痛がないときには持続的な注入をやめてもよい。
持続注入は血中濃度を一定に保ち痛みの再燃を防ぐ役割を担っているため、痛みがない時でも自己判断で中断させてはいけません。中断すれば数時間後に強い痛みが戻る恐れがあります。
-
○ 3. レスキューとしてのオピオイドの追加注入はAさんが行う。
突出痛が出現した瞬間に本人がボタン操作で速やかに追加投与できることがPCA方式の利点であり、Aさん自身が実施するよう指導します。
-
× 4. レスキューとして用いるオピオイドの1回量に制限はない。
1回のレスキュー量には上限が設けられており、持続皮下注射の場合は1時間量を急速投与するのが一般的な目安です。無制限投与は呼吸抑制など重篤な副作用に直結します。
PCA(patient controlled analgesia)は患者自己調節鎮痛法と訳され、ロックアウトタイム機能で過量投与を防ぎながら本人が痛みに対応できる仕組みです。介護者が代行で押す行為(PCA by proxy)は呼吸抑制リスクから避けるべきとされています。
在宅オピオイド持続皮下注射におけるPCAレスキューの運用と、医療者・患者それぞれの役割分担を理解しているかを問う問題です。
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