COPDと在宅酸素療法中の入浴指導
看護師国家試験 第104回 午後 第70問 / 地域・在宅看護論 / 症状・疾患・治療に応じた看護
国試問題にチャレンジ
Aさん(70歳、男性)は、1人で暮らしている。慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)のため1週前から在宅酸素療法(0.5L/分、24時間持続)が開始された。Aさんは階段の昇降時に息切れがみられる。 自宅での入浴の方法に関する訪問看護師の説明で最も適切なのはどれか。
- 1.脱衣は看護師が全介助する。
- 2.浴槽に入ることは禁止する。
- 3.身体を洗うときはシャワーチェアを使う。
- 4.入浴中は携帯用酸素ボンベを利用できない。
対話形式の解説
博士
今日はCOPDで在宅酸素療法中の入浴指導を考えるぞい。
アユム
Aさんは70歳で1人暮らし、階段昇降で息切れがあるんですね。
博士
脱衣を全介助するのはどうじゃ。
アユム
日常生活が自立しているので、過剰介助は残存機能を低下させます。
博士
浴槽は禁止すべきかの。
アユム
水圧に注意は必要ですが、半身浴や短時間なら入浴可能ですよね。
博士
入浴中の酸素ボンベ使用はどうじゃ。
アユム
延長チューブを使えば携帯用酸素ボンベを脱衣所に置いて使用できます。
博士
では正解はどれかな。
アユム
シャワーチェアの使用ですね。
博士
座位で洗身すれば前屈姿勢を避けられ呼吸筋の負担が減るのじゃ。
アユム
ヒートショック予防に脱衣所を温めることも大切ですね。
博士
口すぼめ呼吸の継続と湯温・時間の調整も指導したい。
アユム
安全と自立の両立を意識した入浴援助が重要ですね。
POINT
COPDで在宅酸素療法中の患者は前屈や立位保持で呼吸困難が増悪します。シャワーチェアを使用し座位で洗身すると呼吸筋負担が軽減し安全です。1人暮らしで自立しているため脱衣の全介助は不要、半身浴や短時間入浴は可能で禁止しません。携帯用酸素ボンベは延長チューブを用いれば入浴中も使用できます。ヒートショック予防、口すぼめ呼吸、湯温・時間の調整を併せて指導します。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:Aさん(70歳、男性)は、1人で暮らしている。慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)のため1週前から在宅酸素療法(0.5L/分、24時間持続)が開始された。Aさんは階段の昇降時に息切れがみられる。 自宅での入浴の方法に関する訪問看護師の説明で最も適切なのはどれか。
解説:正解は3です。COPD患者が前屈姿勢で身体を洗うと胸郭運動が制限され呼吸困難が増します。シャワーチェアに座ることで呼吸筋の負担を減らし、安全に入浴を継続できます。
選択肢考察
-
× 1. 脱衣は看護師が全介助する。
1人暮らしで日常生活が自立していると考えられ、過剰介助は残存機能の低下を招きます。必要な部分のみ援助するのが原則です。
-
× 2. 浴槽に入ることは禁止する。
水圧やのぼせに注意は必要ですが、半身浴や短時間であれば浴槽入浴は可能で、一律に禁止する必要はありません。
-
○ 3. 身体を洗うときはシャワーチェアを使う。
座位で洗身することで前屈姿勢や立位保持による呼吸筋の負担が軽減され、息切れを抑えながら安全に入浴できます。
-
× 4. 入浴中は携帯用酸素ボンベを利用できない。
携帯用酸素ボンベは入浴中も使用可能で、延長チューブで脱衣所等にボンベを置いて鼻カニューレを継続装着します。
在宅酸素療法中の入浴では、温度差によるヒートショックや酸素消費量増加に配慮します。低温の脱衣所を避け、口すぼめ呼吸の継続、酸素吸入は必ず装着、湯温はぬるめ・短時間、洗髪時は前屈を避けて座位で行うなどの工夫が大切です。
在宅酸素療法中のCOPD患者への入浴指導で安全と自立を両立させる方法を選べるかを問う問題です。
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