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訪問看護の保険給付、介護保険と医療保険の使い分け

看護師国家試験 第105回 午前 第61問 / 地域・在宅看護論 / 地域・在宅看護実践をめぐる制度

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第61問

介護保険被保険者で介護保険による訪問看護が提供されるのはどれか。

  1. 1.脳血管疾患(cerebrovascular disease)
  2. 2.末期の結腸癌(colon cancer)
  3. 3.脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)
  4. 4.進行性筋ジストロフィー(progressive muscular dystrophy)

対話形式の解説

博士 博士

在宅看護で最初につまずくのが「この訪問看護、介護保険からか医療保険からか」という判断じゃ。ルールを整理しよう。

サクラ サクラ

博士、介護保険の被保険者さんなら、訪問看護は全部介護保険から給付されるんじゃないんですか?

博士 博士

原則はそのとおりじゃ。介護保険被保険者への訪問看護は医療保険より介護保険が優先される。しかし例外が3つある。1つ目が厚生労働大臣が定める疾病等、2つ目が特別訪問看護指示書が出ている期間、3つ目が精神科訪問看護じゃ。

サクラ サクラ

厚生労働大臣が定める疾病等ってどんな病気ですか?

博士 博士

末期の悪性腫瘍、ALS、多発性硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー、パーキンソン病関連疾患、多系統萎縮症、プリオン病、AIDS、頸髄損傷、人工呼吸器使用状態など、医療依存度が非常に高い疾患が中心じゃ。こうした疾患では医療保険に切り替わり、回数制限も緩和される。

サクラ サクラ

なるほど。では本問を見ると、正解は1の脳血管疾患ですか?

博士 博士

そのとおり。脳血管疾患は介護保険の特定疾病には入るが、厚生労働大臣が定める疾病等には含まれん。だから介護保険から訪問看護を受けることになる。

サクラ サクラ

選択肢2の末期の結腸癌は?

博士 博士

末期の悪性腫瘍は厚生労働大臣が定める疾病等の代表格じゃ。ターミナル期には頻回な訪問が必要になるから、医療保険に切り替えて回数制限を緩和する仕組みになっておる。

サクラ サクラ

選択肢3の脊髄小脳変性症と選択肢4の進行性筋ジストロフィーは?

博士 博士

どちらも神経難病で、厚生労働大臣が定める疾病等に含まれる。したがって医療保険による訪問看護が提供される。医療依存度が高く、呼吸管理や嚥下管理が必要な場面も多いからのう。

サクラ サクラ

介護保険と医療保険では利用回数の制限も違うんですよね?

博士 博士

よく気づいたのう。介護保険は区分支給限度基準額の枠内で他のサービスと調整しながら回数を決める。医療保険は原則週3回までじゃが、厚生労働大臣が定める疾病等や特別指示期間中は制限が緩和され、複数ステーションからの同時利用も可能になる。

サクラ サクラ

特別訪問看護指示書って何ですか?

博士 博士

急性増悪や終末期、退院直後などで頻回な訪問が必要なときに主治医が交付する指示書じゃ。交付日から原則14日間、医療保険による頻回訪問が可能になる。気管カニューレや真皮を超える褥瘡の患者では月2回交付できる。

サクラ サクラ

よくわかりました。疾患ごとに介護保険か医療保険かを判断できるようになります。

博士 博士

保険制度の切り替えは在宅看護の基本じゃ。国試でも実践でも重要な知識じゃから、厚生労働大臣が定める疾病等のリストは必ず覚えておくとよい。

POINT

介護保険被保険者への訪問看護は介護保険が医療保険より優先されるのが原則ですが、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合は医療保険による訪問看護に切り替わります。本問の選択肢では末期の結腸癌・脊髄小脳変性症・進行性筋ジストロフィーがこの疾病等に含まれ医療保険から給付されるため、介護保険から提供されるのは脳血管疾患のみとなります。医療保険による訪問看護では回数制限の緩和や複数ステーション利用が認められ、医療依存度の高い患者を支える仕組みとなっています。訪問看護の保険制度は国試頻出事項であり、厚生労働大臣が定める疾病等のリストと特別訪問看護指示書の仕組みを整理して理解しておくことが重要です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:介護保険被保険者で介護保険による訪問看護が提供されるのはどれか。

解説:正解は 1 です。介護保険被保険者(原則65歳以上、または特定疾病に該当する40〜64歳)への訪問看護は「介護保険が医療保険より優先」されるのが大原則です。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合や、急性増悪時で主治医が特別訪問看護指示書を交付した場合、精神科訪問看護に該当する場合は医療保険から給付されます。厚生労働大臣が定める疾病等には、末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー、パーキンソン病関連疾患(一定の重症度以上)、多系統萎縮症、プリオン病、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器使用状態などが含まれます。本問の選択肢では、末期の結腸癌・脊髄小脳変性症・進行性筋ジストロフィーは医療保険が優先される疾患であり、脳血管疾患だけが厚生労働大臣の定める疾病に該当しないため、介護保険から訪問看護が提供されます。

選択肢考察

  1. 1.  脳血管疾患(cerebrovascular disease)

    正しい選択肢です。脳血管疾患は介護保険の特定疾病には含まれますが、厚生労働大臣が定める疾病等には該当しません。そのため介護保険被保険者が脳血管疾患で訪問看護を受ける場合は、介護保険からの給付が優先されます。

  2. × 2.  末期の結腸癌(colon cancer)

    誤りです。末期の悪性腫瘍は厚生労働大臣が定める疾病等の筆頭に挙げられており、医療保険による訪問看護が優先されます。頻回な訪問や複数ステーションからの訪問も可能になります。

  3. × 3.  脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)

    誤りです。脊髄小脳変性症は厚生労働大臣が定める疾病等に含まれる進行性の神経難病で、医療保険による訪問看護が提供されます。

  4. × 4.  進行性筋ジストロフィー(progressive muscular dystrophy)

    誤りです。進行性筋ジストロフィーも厚生労働大臣が定める疾病等に含まれ、医療保険による訪問看護が優先されます。呼吸管理や嚥下管理など医療依存度が高い支援が必要となるためです。

訪問看護の保険給付ルールは国試頻出です。原則は「40〜64歳の医療保険被保険者は医療保険」「65歳以上・特定疾病の40〜64歳の介護保険被保険者は介護保険が優先」です。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等、特別訪問看護指示書の期間中(原則14日以内)、精神科訪問看護の場合は医療保険に切り替わります。介護保険の訪問看護は区分支給限度基準額の枠内で利用回数が管理されるのに対し、医療保険の訪問看護は原則週3回までですが、厚生労働大臣が定める疾病等や特別指示期間中は回数制限が緩和され、複数ステーションからの同時利用も可能です。

介護保険被保険者への訪問看護は介護保険が優先だが、厚生労働大臣が定める疾病等(末期悪性腫瘍・難病など)では医療保険に切り替わる。