介護保険、都道府県と市町村の役割分担、地域密着型サービスのすべて
看護師国家試験 第112回 午前 第70問 / 地域・在宅看護論 / 地域・在宅看護実践をめぐる制度
国試問題にチャレンジ
介護保険制度における都道府県が指定・監督を行う居宅サービスはどれか。
- 1.福祉用具貸与
- 2.小規模多機能型居宅介護
- 3.定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 4.認知症対応型共同生活介護<グループホーム>
対話形式の解説
博士
今日は介護保険の指定権限の話じゃ。都道府県が指定するサービスと、市町村が指定するサービスがあって、そこを問うのがこの問題じゃ。
アユム
大きく分けるとどうなるんですか。
博士
都道府県が指定・監督するのは居宅サービスと施設サービス、市町村が指定・監督するのは地域密着型サービスと居宅介護支援、と覚えるのじゃ。
アユム
地域密着型サービスは住み慣れた地域で生活を続けるための仕組みですね。
博士
左様。2006年の介護保険法改正で創設された区分で、原則として当該市町村の住民しか利用できない。だから市町村が責任を持って指定・監督する。
アユム
選択肢のうちどれが地域密着型かわかればよさそうですね。
博士
そうじゃ。選択肢2の小規模多機能型居宅介護、3の定期巡回・随時対応型訪問介護看護、4の認知症対応型共同生活介護、いずれも地域密着型サービスじゃ。
アユム
小規模多機能型居宅介護って、どんなサービスなんですか。
博士
通い、訪問、泊まりの3機能を同一事業所で柔軟に組み合わせて提供する画期的な仕組みじゃ。顔なじみのスタッフが状態に応じて関われるため、認知症の人にも向いておる。
アユム
定期巡回・随時対応型は重度者向けとのことですが。
博士
1日複数回の定期訪問と24時間の随時対応を組み合わせ、訪問介護と訪問看護を一体的または連携して提供する。中重度の人が在宅で生活を続けるための重要なサービスじゃな。
アユム
認知症対応型共同生活介護、いわゆるグループホームは。
博士
5〜9人の少人数で共同生活を送りながら介護を受ける施設型サービスじゃ。認知症の症状緩和や生活の質維持に有効とされておる。
アユム
選択肢1の福祉用具貸与が居宅サービスなんですね。
博士
うむ。福祉用具貸与は全国共通の仕組みで、都道府県が指定・監督する。13種目の用具をレンタルできるが、要支援や軽度者には対象種目が限定されておる。
アユム
13種目って具体的には。
博士
車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ予防用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置じゃ。
アユム
貸与じゃなくて購入になるものもありますよね。
博士
鋭い。入浴補助用具、簡易浴槽、腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部分、移動用リフトのつり具部分など、直接肌に触れたり衛生上の理由で貸与に適さないものは特定福祉用具販売の対象じゃ。
アユム
居宅介護支援、つまりケアマネジャーの事業所はどうなんですか。
博士
元は都道府県指定じゃったが、2018年4月から市町村に指定・監督権限が移譲された。これも地域包括ケアの流れの一つじゃ。
アユム
指定権限で分類して整理すると、サービスの種類が頭に入りやすいですね。
博士
うむ。国試ではこの「誰が指定するか」を問う形と、「どれが地域密着型か」を問う形が定番じゃ。居宅と地域密着型を確実に区別できれば得点源になるぞ。
POINT
介護保険制度のサービスは指定・監督権限で整理すると理解しやすく、都道府県が指定・監督するのは居宅サービス(訪問介護、訪問看護、福祉用具貸与など)と施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)、市町村が指定・監督するのは地域密着型サービスと居宅介護支援となります。福祉用具貸与は居宅サービスに分類され、車いす・特殊寝台・床ずれ予防用具など13種目を対象とした全国共通のレンタル制度です。地域密着型サービスは2006年の法改正で創設された区分で、小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、認知症対応型共同生活介護などが含まれ、住み慣れた地域で生活を続けるために市町村が責任を持つ仕組みです。看護師は制度の全体像を踏まえ、利用者のニーズに応じた適切なサービスをケアマネジャーや多職種と連携して提案する役割を担います。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:介護保険制度における都道府県が指定・監督を行う居宅サービスはどれか。
解説:正解は 1 です。福祉用具貸与は介護保険の居宅サービスの一つで、都道府県知事(または指定都市・中核市の長)が事業者の指定と監督を行う。要介護者の在宅生活を支える車いす、特殊寝台、褥瘡予防用具などをレンタルするサービスで、全国共通の仕組みとして提供される。
選択肢考察
-
○ 1. 福祉用具貸与
居宅サービスの一区分で、都道府県が指定・監督する。車いす、特殊寝台、床ずれ予防用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置の13種目がレンタル対象(要支援者は対象種目が限定)。
-
× 2. 小規模多機能型居宅介護
地域密着型サービスの一区分で、市町村が指定・監督を行う。通い・訪問・泊まりを同一事業所で組み合わせて提供する。地域密着型は原則として当該市町村の住民が利用する。
-
× 3. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
地域密着型サービスの一区分で、市町村が指定・監督する。24時間対応で定期巡回と随時対応を組み合わせ、訪問介護と訪問看護を一体的または連携して提供する重度者向けサービス。
-
× 4. 認知症対応型共同生活介護<グループホーム>
地域密着型サービスの一区分で、市町村が指定・監督する。認知症高齢者が5〜9人程度のユニットで共同生活を送りながら介護を受ける施設型サービス。
介護保険サービスは指定・監督権限で分類するとすっきり整理できる。都道府県が指定・監督するのは居宅サービス(訪問介護、訪問看護、訪問入浴、通所介護、通所リハ、短期入所、福祉用具貸与、特定施設入居者生活介護など)と施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)、市町村が指定・監督するのは地域密着型サービス(小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型、認知症対応型共同生活介護、認知症対応型通所介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設、看護小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護)と居宅介護支援(2018年から市町村に移管)。地域密着型は2006年に創設され、住み慣れた地域で生活を続けられるように市町村が責任を持つ仕組みとなっている。
介護保険サービスの指定・監督権限の所在(都道府県か市町村か)を問う頻出問題。居宅サービスと地域密着型サービスの区別がカギ。
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