脱健着患で安全な寝衣交換
看護師国家試験 第108回 午後 第19問 / 必修問題 / 日常生活援助技術
国試問題にチャレンジ
右前腕に持続点滴をしている患者の寝衣交換で適切なのはどれか。
- 1.左袖から脱ぎ、右袖から着る。
- 2.左袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 3.右袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 4.右袖から脱ぎ、右袖から着る。
対話形式の解説
博士
今日は点滴中の患者の寝衣交換について勉強するぞ。原則を覚えておるかな。
サクラ
「脱健着患」ですね。脱ぐときは健側から、着るときは患側から。
博士
よく覚えておる。本問では右前腕に点滴が入っているから、右が患側、左が健側じゃ。
サクラ
ということは脱ぐときは左袖から、着るときは右袖から。選択肢1ですね。
博士
その通り、正解じゃ。なぜその順番なのか、もう一度理由を整理できるかな。
サクラ
健側から脱ぐと衣類に余裕ができて、患側の腕を動かさずに袖から抜けるからですね。
博士
その通り。逆に患側から脱ぐと衣類がピンと張って、腕を引き抜くときに大きな力がかかる。点滴なら抜ける、麻痺なら痛む。
サクラ
着るときはなぜ患側からなのですか?
博士
先に患側の腕を袖に通しておけば、袖がゆるい状態で入れられる。後から健側を通すのは自由に動くから問題ない。もし健側を先に着てしまうと、患側の袖を通すときに腕を大きく動かす必要が出るんじゃ。
サクラ
選択肢2の「左脱・左着」は?
博士
着るときも健側からだから、患側の袖を後で通すのに無理な動きが必要になる。不適切じゃ。
サクラ
3の「右脱・左着」はどうでしょう。
博士
患側から脱ぐのは最悪のパターン。点滴ルートが抜けたり血液逆流、刺入部損傷の危険がある。
サクラ
4の「右脱・右着」も患側から脱いでしまいますね。
博士
これも不可じゃ。点滴管理の観点から絶対にやってはいけない。
サクラ
片麻痺の患者さんでも同じですよね。
博士
その通り。麻痺側を患側として扱い、脱健着患を適用する。麻痺側は関節可動域が狭く痛みもあるから、衣類にゆとりのある側を先に脱ぐのが理にかなっておる。
サクラ
点滴中の具体的な手順として、袖からボトルを抜く方法も習いました。
博士
そう、輸液ボトルをポールから外して新しい袖の袖口から通し、それから腕を袖に入れる。クレンメを一時的に閉じて逆血を防ぐのも大事じゃ。
サクラ
前開きの寝衣だと楽ですよね。
博士
スナップボタン式や袖ぐりの広いものを選ぶとさらに安全じゃ。更衣前後で刺入部の発赤、腫脹、漏れをチェックするのも忘れずに。
POINT
点滴や麻痺のある患者の更衣は「脱健着患」、すなわち健側から脱ぎ患側から着るのが原則です。右前腕点滴なら右が患側なので、左袖から脱ぎ右袖から着ます。逆の順序では衣類の張りで刺入部に負荷がかかり、ルート抜去や出血、痛みの原因になります。輸液ボトルを先に袖へ通す手技や、更衣前後の刺入部観察もセットで押さえましょう。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:右前腕に持続点滴をしている患者の寝衣交換で適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。点滴中や麻痺がある患者の更衣は「脱健着患」が基本原則です。つまり脱ぐときは健側から、着るときは患側(点滴刺入側)から行います。本患者では右前腕に点滴が入っているので右が患側、左が健側にあたり、脱ぐときは左袖から、着るときは右袖から行うのが正解となります。患側から先に脱ぐと衣服の動きが制限されて刺入部に負荷がかかり、ルート抜去や漏れのリスクが高まります。
選択肢考察
-
○ 1. 左袖から脱ぎ、右袖から着る。
健側(左)から脱ぎ、患側(右:点滴側)から着る脱健着患の原則に合致し、ルートや刺入部への負担を最小化できます。
-
× 2. 左袖から脱ぎ、左袖から着る。
脱ぐのは健側で正しいですが、着るときも健側からでは患側の袖を通すときに無理な動きが必要となり不適切です。
-
× 3. 右袖から脱ぎ、左袖から着る。
患側から脱ぐと衣服にゆとりがなく腕を通す際に力がかかり、点滴ルートが抜けたり刺入部を損傷する危険があります。
-
× 4. 右袖から脱ぎ、右袖から着る。
脱ぐ・着るとも患側からとなり、ルート管理上もっとも危険なパターンで、原則に反します。
脱健着患は片麻痺患者の更衣介助でも同様に適用します。麻痺側は関節可動域が狭く痛みや拘縮があるため、衣類にゆとりのある状態で袖を通すと負担が軽減できます。点滴患者では更衣の際にルートを一時的にクレンメで閉じ、輸液ボトルを先に新しい袖に通してから刺入部の腕を入れる方法も用います。袖ぐりが広めの開襟型やスナップボタン式の寝衣なら介助がより安全です。更衣前にはルートの接続部のゆるみや刺入部の腫脹・発赤を必ず確認しましょう。
点滴施行中の患者における脱健着患の原則を問う必修問題です。
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