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看護師の4つの基本的責任とは?ICN倫理綱領を読み解く

看護師国家試験 第106回 午後 第5問 / 必修問題 / 看護における倫理と法律

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第5問

国際看護師協会〈ICN〉による看護師の倫理綱領における看護師の基本的責任はどれか。

  1. 1.疾病の回復
  2. 2.医師の補助
  3. 3.苦痛の緩和
  4. 4.薬剤の投与

対話形式の解説

博士 博士

今回は国際看護師協会、ICNの倫理綱領から看護師の基本的責任について学ぶぞ。そもそも「倫理綱領」って何か分かるかのう?

サクラ サクラ

専門職としての行動規範や価値観を言葉にしたもの…ですよね?

博士 博士

その通り!法律ではないが、看護職がプロフェッショナルとして守るべき倫理的指針じゃ。ICNは1953年に最初の倫理綱領を採択し、社会情勢に応じて改訂を重ねておる。

サクラ サクラ

その中で「基本的責任」って何個あるんですか?

博士 博士

4つじゃ。①健康の増進、②疾病の予防、③健康の回復、④苦痛の緩和。この4つがICNの倫理綱領前文に明記されておる。

サクラ サクラ

今回の選択肢だと「苦痛の緩和」が正解ですね。

博士 博士

正解じゃ!緩和ケアはがんの終末期だけのものと思われがちじゃが、ICNの基本的責任としてはあらゆる年代・状況の対象者に及ぶものじゃよ。

サクラ サクラ

選択肢1の「疾病の回復」は似てるけど違うんですか?

博士 博士

鋭いひっかけじゃのう。正しくは「健康の回復」であって「疾病の回復」ではない。語感が似ていて混乱を誘うが、看護は疾患そのものより患者の健康状態全体を対象とするため、「健康」が主語になるのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、主語の違いが大事なんですね。医師の補助はどうして違うんですか?

博士 博士

医師の補助は日本の保健師助産師看護師法で定められた業務の一部ではあるが、ICNの倫理綱領は国際的な職業倫理の宣言であって、業務範囲の規定ではないのじゃ。次元が違うと理解するとよい。

サクラ サクラ

じゃあ薬剤の投与も、それ自体が使命というわけじゃないんですね。

博士 博士

その通り。薬剤投与は医師の指示に基づく診療の補助の一行為であり、倫理綱領の柱にはならぬ。

サクラ サクラ

ICN倫理綱領以外に押さえておくべき綱領はありますか?

博士 博士

日本看護協会の「看護職の倫理綱領」(2021年改訂)も必修レベルで押さえたい。16の本文からなり、対象の尊厳、公平性、自己決定の尊重、守秘義務、継続学習など多岐にわたる内容が示されておる。

サクラ サクラ

日本版と国際版、セットで理解したほうがよいんですね。

博士 博士

さらに、人権擁護・差別禁止の視点もICN綱領の大きな柱じゃ。国籍、人種、信条、年齢、性別、政治的信念、社会的地位、病状などによって看護を差別してはならぬと明記されておる。

サクラ サクラ

患者さんの背景に関わらず、公正にケアを提供する姿勢ですね。

博士 博士

その通り。これは臨床倫理の4原則(自律尊重・善行・無危害・公正)とも通じる考え方じゃ。看護師は法的義務だけでなく、倫理的判断を日常的に求められる専門職なのじゃよ。

サクラ サクラ

4つの基本的責任=増進・予防・回復・緩和、覚えました!

POINT

ICN看護師の倫理綱領では、看護師の基本的責任として①健康の増進、②疾病の予防、③健康の回復、④苦痛の緩和の4つが明示されており、選択肢では「苦痛の緩和」が正解です。「疾病の回復」は綱領に存在しない言い回しで、正しくは「健康の回復」。医師の補助や薬剤投与は日本の業務規定であり、国際的な倫理綱領の基本的責任とは次元が異なります。看護師は単に治療を補助する職種ではなく、あらゆるライフステージの人々の健康と尊厳を守る独自の専門性をもつ存在であることを、本問題を通して確認しておきましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:国際看護師協会〈ICN〉による看護師の倫理綱領における看護師の基本的責任はどれか。

解説:正解は 3 です。国際看護師協会(ICN)の「看護師の倫理綱領」の前文には、看護師の基本的責任として①健康の増進、②疾病の予防、③健康の回復、④苦痛の緩和の4つが明示されています。選択肢の中で合致するのは「苦痛の緩和」。「疾病の回復」ではなく「健康の回復」である点、医師の補助や薬剤投与は基本的責任には含まれない点がひっかけポイントです。

選択肢考察

  1. × 1.  疾病の回復

    似た表現だが、ICN倫理綱領では「疾病の予防」と「健康の回復」である。「疾病の回復」という語句はそもそも綱領に存在しない。

  2. × 2.  医師の補助

    医師の補助は日本の保健師助産師看護師法(第5条)における看護師の業務規定の一部ではあるが、ICN倫理綱領の基本的責任として掲げられてはいない。

  3. 3.  苦痛の緩和

    ICN倫理綱領の4つの基本的責任「健康の増進・疾病の予防・健康の回復・苦痛の緩和」のひとつに該当する。緩和ケアは看護の根幹の役割。

  4. × 4.  薬剤の投与

    薬剤投与は医師の指示のもとで行う診療の補助業務であり、倫理綱領で掲げられる普遍的な基本的責任とは次元が異なる。

ICN倫理綱領は1953年に最初に採択され、2021年版にも改訂されている国際的な看護職の行動規範。冒頭で「看護には4つの基本的責任がある。すなわち、健康の増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和である」と明記されている(健康の「保持増進」と訳されることもある)。加えて、看護師は人間の権利を尊重し、文化的信条・年齢・性別・信条などによる差別を行わないこと、看護ケアが個人・家族・地域社会に提供されることが強調される。日本看護協会の「看護職の倫理綱領」(2021年改訂)も併せて確認すると理解が深まる。

ICN倫理綱領の4つの基本的責任を問う頻出問題。「増進・予防・回復・緩和」の4本柱で覚える。