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加齢で体はどう変わる?『閾値』の意味も要チェック

看護師国家試験 第107回 午前 第8問 / 必修問題 / 人間の特性とライフサイクル

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第8問

老年期の身体的な特徴はどれか。

  1. 1.総水分量が増加する。
  2. 2.胸腺の重量が増加する。
  3. 3.嗅覚の閾値が低下する。
  4. 4.高音域における聴力が低下する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は老年期の身体的特徴について学ぶぞ。高齢者看護の基礎じゃ。

アユム アユム

老年期って65歳以上ですよね。いろんな機能が低下するイメージです。

博士 博士

その通り。老化とは加齢に伴う生理機能の低下で、全身のほぼすべての臓器で見られる。

アユム アユム

正解の『高音域における聴力低下』はなぜ起こるんですか?

博士 博士

内耳の蝸牛にある有毛細胞と聴神経の変性じゃ。特に高周波音から聞き取りにくくなるのが特徴で、これを『加齢性難聴』または『老人性難聴』と呼ぶ。

アユム アユム

どれくらいの周波数から聞こえにくくなるんですか?

博士 博士

おおよそ2000Hz以上の高周波音からじゃ。子音の『さ・し・す・せ・そ』や『か・き・く・け・こ』などが聞き取りにくくなるのじゃよ。

アユム アユム

だから『はい』と『さい』の区別がつかなかったりするんですね。

博士 博士

うむ。看護では、低めの声でゆっくり、正面から口元を見せて話すことが大事じゃ。

アユム アユム

他の選択肢も見ていきましょう。総水分量は増えるんですか?

博士 博士

逆じゃ!成人では体重の約60%が水分じゃが、高齢者では約50~55%に低下する。これが脱水のなりやすさにつながるのじゃ。

アユム アユム

高齢者の脱水予防は大事ですね。胸腺はどうですか?

博士 博士

胸腺は思春期にピークを迎え、その後退縮していく。老年期にはほぼ脂肪組織に置き換わり、T細胞の産生能が低下する。つまり免疫機能が低下するのじゃよ。

アユム アユム

高齢者が感染症にかかりやすい理由の一つなんですね。

博士 博士

その通り。さらに3の『嗅覚の閾値が低下する』じゃが、ここがポイントじゃ。『閾値』とは感覚を感じ取るのに必要な最小刺激量のことじゃ。

アユム アユム

閾値が低下するって、良さそうに聞こえるんですが…。

博士 博士

そこが引っかけじゃ!閾値が低い=小さな刺激でも感じ取れる=感覚が鋭いということ。加齢では感覚が鈍くなるので閾値は『上昇』するのじゃ。

アユム アユム

なるほど!嗅覚も味覚も閾値は上がるんですね。

博士 博士

そうじゃ。食事の味付けが濃くなりがちな理由の一つでもある。高血圧や糖尿病のリスクにつながるのじゃ。

アユム アユム

老年期の身体変化って、看護にいろいろ影響しますね。

博士 博士

うむ。ほかにも腎機能低下(薬物蓄積のリスク)、肺活量減少、骨密度低下(骨折リスク)、視力低下(老視・白内障)、皮膚弾力低下(褥瘡リスク)など多数ある。

アユム アユム

高齢者看護のポイントがいっぱいですね!

博士 博士

すべて覚えるのは大変じゃが、『加齢=ほぼすべて機能低下』『ただし閾値は上昇』という原則を押さえるとよい。

アユム アユム

原則で整理すると覚えやすいです!

博士 博士

その通り。患者の生理変化を理解して、個別性のある看護を提供しようではないか。

POINT

老年期(65歳以上)では加齢に伴う生理機能の低下が全身に生じ、特に加齢性難聴による高音域聴力低下が代表的である。総水分量減少(脱水リスク)、胸腺退縮(免疫低下)、嗅覚・味覚の閾値上昇(感覚鈍化)、腎機能低下、骨密度低下、皮膚弾力低下など多岐にわたる。『閾値』は感覚を感じ取るのに必要な最小刺激量であり、加齢で感覚が鈍くなると閾値は上昇する点に注意する。看護では、高齢者とのコミュニケーション方法(低めの声・ゆっくり・正面から)、脱水・感染・薬物副作用への配慮が基本となる。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:老年期の身体的な特徴はどれか。

解説:正解は 4 です。老年期(65歳以上)では、加齢に伴う生理機能の低下(老化)が全身に生じる。聴覚では、内耳の蝸牛の有毛細胞や聴神経の変性により、高音域から聴力が低下する『加齢性難聴(老人性難聴)』が特徴である。高周波音(2000Hz以上)から聞き取りにくくなり、子音(『さ・し・す・せ・そ』など)が聞き取りにくくなることで会話の聞き取り困難につながる。このため、老年期の患者への説明では、低めの声でゆっくり、正面から口元を見せて話す配慮が求められる。

選択肢考察

  1. × 1.  総水分量が増加する。

    加齢に伴い体内総水分量は減少する。成人で体重の約60%だが、高齢者では約50~55%に低下し、脱水になりやすい。

  2. × 2.  胸腺の重量が増加する。

    胸腺は思春期にピークを迎え、その後退縮して脂肪組織に置き換わる。老年期には機能も重量も著しく低下しT細胞産生能が減少し、免疫機能が低下する。

  3. × 3.  嗅覚の閾値が低下する。

    加齢により嗅覚は鈍くなり、感じ取るのに必要な刺激量が増えるため『閾値は上昇』する。『閾値が低下』は逆であり誤り。

  4. 4.  高音域における聴力が低下する。

    加齢性難聴の典型的な特徴で、高周波音から聞き取りにくくなる。

老年期の身体的変化はほぼすべての臓器機能低下を伴う。水分量減少(脱水リスク)、胸腺退縮(免疫低下)、腎機能低下(薬物蓄積リスク)、肺活量減少、骨密度低下(骨折リスク)、視力(老視・白内障)、聴力(加齢性難聴)、味覚・嗅覚の閾値上昇、皮膚の弾力低下などが代表的。『閾値』は感覚刺激を感じ取るのに必要な最小刺激量のこと。感覚が鈍くなると閾値は『上がる』と覚える。

加齢に伴う生理機能変化の方向性を正しく理解しているかを問う問題。特に『閾値』の意味と加齢変化の向きに注意。