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エリクソンの8段階発達理論—学童期は勤勉性 対 劣等感

看護師国家試験 第112回 午後 第8問 / 必修問題 / 人間の特性とライフサイクル

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第8問

エリクソン(Erikson, E. H.)が提唱する発達理論において、学童期に達成すべき心理社会的課題はどれか。

  1. 1.親密 対 孤立
  2. 2.自律性 対 恥・疑惑
  3. 3.勤勉性 対 劣等感
  4. 4.自我同一性<アイデンティティ>の確立 対 自我同一性<アイデンティティ>の拡散

対話形式の解説

博士 博士

今日はエリクソンの発達理論について学ぶぞ。人間の一生を8段階に分けた有名な理論じゃ。

アユム アユム

エリクソンってどんな人ですか?

博士 博士

20世紀の精神分析家で、フロイトの理論を発展させ、人間の発達を生涯にわたる心理社会的課題の連続として捉えた。発達は幼少期だけで終わらず、死ぬまで続くという画期的な視点じゃ。

アユム アユム

8段階を教えてください。

博士 博士

乳児期『基本的信頼 対 不信』、幼児期前期『自律性 対 恥・疑惑』、幼児期後期『自主性 対 罪悪感』、学童期『勤勉性 対 劣等感』、青年期『同一性 対 同一性拡散』、前成人期『親密 対 孤立』、成人期『生殖性 対 停滞』、老年期『統合 対 絶望』じゃ。

アユム アユム

学童期は『勤勉性 対 劣等感』なんですね。

博士 博士

そうじゃ。6〜12歳の小学校時代に相当する。学習、スポーツ、集団活動で成功体験を積んで『自分はできる』という勤勉性・有能感を獲得するのが目標じゃ。

アユム アユム

うまくいかないとどうなるんですか?

博士 博士

失敗体験や否定的評価が続くと劣等感を抱き、自己効力感が低下する。いじめや学習困難は大きなリスクじゃ。

アユム アユム

青年期の『同一性確立』はよく聞きますね。

博士 博士

思春期の有名な課題じゃ。『自分は何者か』を問い、価値観・役割・将来像を統合する時期。モラトリアム期間と呼ばれる猶予も正常な過程じゃ。

アユム アユム

大人にも発達課題があるんですね。

博士 博士

これがエリクソンの革新的な点じゃ。前成人期『親密 対 孤立』は配偶者・親友との深い関係構築、成人期『生殖性 対 停滞』は次世代育成や創造、老年期『統合 対 絶望』は人生回顧と受容じゃ。

アユム アユム

看護にどう活かすんですか?

博士 博士

患者の発達段階を踏まえたケア計画が立てられる。例えば入院中の小学生には学習支援や集団活動の機会を、青年期の患者には自律性と自己決定を尊重、老年期の患者にはライフレビューで人生の意味づけを支援する、といった具合じゃ。

アユム アユム

発達段階に応じたアプローチが大事なんですね。

博士 博士

精神看護、小児看護、老年看護、全てで応用される基礎理論じゃ。

アユム アユム

他の発達理論との違いは?

博士 博士

ピアジェは認知発達、フロイトは性的発達、ハヴィガーストは社会的役割課題、エリクソンは心理社会的課題と、それぞれ焦点が違う。国試では混同しやすいから『エリクソン=8段階=心理社会的課題=対の形』と覚えるとよい。

アユム アユム

8段階全て対で表されるのも特徴ですね。

博士 博士

うむ、各段階を乗り越えるとそれぞれ希望・意志・目的・有能感・忠誠・愛・世話・英知という基本的強さが得られるとされる。人生を豊かにする理論じゃ。

POINT

エリクソンの漸成的発達理論は人間の生涯を8つの心理社会的段階に分け、各段階に特有の発達課題を『対』の形で示したものです。学童期(6〜12歳)の課題は『勤勉性 対 劣等感』で、学習・運動・集団活動での成功体験を通じて有能感を獲得することが中心です。8段階の他の課題は、乳児期『基本的信頼 対 不信』、幼児期前期『自律性 対 恥・疑惑』、幼児期後期『自主性 対 罪悪感』、青年期『同一性 対 拡散』、前成人期『親密 対 孤立』、成人期『生殖性 対 停滞』、老年期『統合 対 絶望』です。看護では発達段階に応じた支援計画の土台として活用され、小児看護の学習支援から老年看護のライフレビューまで幅広く応用される基本理論として、全領域の看護師に必須の知識です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:エリクソン(Erikson, E. H.)が提唱する発達理論において、学童期に達成すべき心理社会的課題はどれか。

解説:正解は 3 の『勤勉性 対 劣等感』です。エリクソンは人間の生涯を8つの発達段階に分け、各段階に固有の心理社会的課題(発達課題)と、それに対応する危機を『対』の形で示しました。学童期(およそ6〜12歳)の課題は『勤勉性 対 劣等感』で、学校や家庭での学習・活動を通じて成功体験を積み重ねることで勤勉性を獲得し、自己効力感と有能感を育てます。逆に失敗体験や否定的評価が続くと劣等感を抱き、自己評価が低くなるリスクがあります。

選択肢考察

  1. × 1.  親密 対 孤立

    前成人期(20〜40歳頃)の課題。他者と深い親密な関係を築く能力を獲得するか、孤立するかがテーマ。

  2. × 2.  自律性 対 恥・疑惑

    幼児期前期(1〜3歳頃)の課題。排泄訓練などを通じて自分でできる感覚(自律性)を育むか、失敗から恥や疑惑を抱くかがテーマ。

  3. 3.  勤勉性 対 劣等感

    学童期(6〜12歳頃)の課題。学習・運動・集団活動で成功体験を積み、有能感(勤勉性)を獲得することが中心テーマ。

  4. × 4.  自我同一性<アイデンティティ>の確立 対 自我同一性<アイデンティティ>の拡散

    青年期(12〜18歳頃)の課題。『自分は何者か』という問いに答え、自己の価値観・役割・目標を統合するかがテーマ。

エリクソンの8段階を時系列で整理すると、乳児期『基本的信頼 対 不信』、幼児期前期『自律性 対 恥・疑惑』、幼児期後期(遊戯期)『自主性(積極性)対 罪悪感』、学童期『勤勉性 対 劣等感』、青年期『同一性 対 同一性拡散』、前成人期『親密 対 孤立』、成人期『生殖性(世代性)対 停滞』、老年期『統合 対 絶望』となる。各段階を乗り越えることで対応する基本的強さ(希望・意志・目的・有能感・忠誠・愛・世話・英知)を獲得するとされる。看護では小児看護、精神看護、老年看護など全年齢で活用される基本理論で、患者の発達段階に応じた支援計画の土台となる。ピアジェの認知発達理論やハヴィガーストの発達課題と混同しないこと。

エリクソンの漸成的発達理論における学童期の心理社会的課題『勤勉性 対 劣等感』を問う。8段階と対応する年齢・課題のマッチングが必須。