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入院中の転倒・転落、内的要因と外的要因をどう見分ける?

看護師国家試験 第114回 午後 第21問 / 必修問題 / 患者の安全・安楽を守る看護技術

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第21問

入院中の転倒・転落の内的要因はどれか。

  1. 1.履物の種類
  2. 2.服用中の薬剤
  3. 3.ベッド柵の位置
  4. 4.トイレまでの距離

対話形式の解説

博士 博士

今日は入院患者の転倒・転落リスクを整理するぞ。要因は大きく二つに分けられるのじゃが、わかるかの?

サクラ サクラ

はい、たしか「内的要因」と「外的要因」でしたよね。でもどっちがどっちか、たまにごっちゃになります。

博士 博士

内的要因は患者本人の身体や心の中にある要因、外的要因は患者の周囲の環境にある要因じゃ。「自分の体の問題か、周りの問題か」で考えると整理しやすいぞ。

サクラ サクラ

なるほど。じゃあ加齢で筋力が落ちているとか、めまいがするとかは内的要因ですね。

博士 博士

その通りじゃ。視力低下、認知症、起立性低血圧、不整脈、抑うつなども内的要因に含まれる。そして忘れてはいけないのが「服用中の薬剤」じゃ。

サクラ サクラ

薬は飲むものだから外から入るものなのに、内的要因なんですか?

博士 博士

鋭い疑問じゃの。確かに薬は外から取り込むのじゃが、体に入った後のふらつき・眠気・低血圧・低血糖といった作用は患者の身体反応として現れる。だから内的要因に分類するのじゃ。

サクラ サクラ

ああ、効果が体の中で起きるから内的なんですね。具体的にはどんな薬が要注意ですか?

博士 博士

睡眠薬や抗不安薬は眠気とふらつき、降圧薬や利尿薬は起立性低血圧と頻尿、血糖降下薬は低血糖、抗コリン薬はせん妄を起こしやすい。とくに高齢者は複数を併用しているので注意が必要じゃ。

サクラ サクラ

じゃあ履物やベッド柵、トイレまでの距離は外的要因ですね。

博士 博士

その通り。床の濡れ、段差、照明の暗さ、ナースコールの位置なども外的要因じゃ。看護師は両方をアセスメントして、変えられる環境から整えていくのじゃ。

サクラ サクラ

転倒予防って、薬を減らすこともできるんですか?

博士 博士

もちろんじゃ。医師・薬剤師と連携して、不要なベンゾジアゼピンや抗コリン薬を見直す「ポリファーマシー対策」は転倒予防の重要な柱じゃ。看護師の観察と報告がその出発点になる。

サクラ サクラ

内的か外的かを意識して観察するだけで、ケアの視点がぐっと広がりますね。

POINT

入院中の転倒・転落は、患者自身の身体機能や疾患・服薬に由来する内的要因と、履物・ベッド周囲・トイレ動線などの外的要因が組み合わさって起こります。本問で問われた「服用中の薬剤」は代表的な内的要因で、睡眠薬・降圧薬・利尿薬などはふらつきや低血圧、頻尿を介して転倒リスクを高めます。看護師は入院時アセスメントで両要因を評価し、外的要因は環境調整、内的要因は症状観察と多職種連携による薬剤調整で介入することが求められます。とくに高齢者ではポリファーマシーが転倒リスクを底上げするため、薬剤の見直しは予防策として欠かせません。患者の安全を守る最初の一歩は、要因を分類して見える化することにあると言えるでしょう。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:入院中の転倒・転落の内的要因はどれか。

解説:正解は 2 です。入院中の転倒・転落の要因は、患者自身の身体・精神状態に由来する「内的要因」と、患者を取り巻く環境に由来する「外的要因」に大別される。内的要因には加齢に伴う筋力低下や平衡感覚の衰え、視力・聴力の低下、認知機能障害、めまいや起立性低血圧などの症状、そして服用中の薬剤が含まれる。とくに睡眠薬・抗不安薬・降圧薬・利尿薬・血糖降下薬などはふらつき・低血圧・低血糖・夜間頻尿を介して転倒リスクを大きく高めるため、内的要因の代表として押さえておきたい。

選択肢考察

  1. × 1.  履物の種類

    履物は患者の身体外にある要素であり、外的要因に分類される。サイズの合わないスリッパや滑りやすい靴は転倒の引き金となるため、足にフィットし脱げにくい履物への変更で対処する。

  2. 2.  服用中の薬剤

    薬剤による眠気・ふらつき・血圧低下・低血糖・夜間頻尿などは、患者本人の身体反応として現れる内的要因にあたる。多剤併用(ポリファーマシー)状態の高齢患者では、相互作用も加わりリスクが顕著に増加する。

  3. × 3.  ベッド柵の位置

    ベッド柵は病室環境に属する設備であり、外的要因に該当する。柵の高さや配置が不適切だと乗り越えやすり抜けによる転落につながるため、患者の身体機能に合わせた調整が必要となる。

  4. × 4.  トイレまでの距離

    病室からトイレまでの距離は物理的環境であり、外的要因に分類される。距離が遠いほど焦りや夜間移動が増え、転倒リスクが高まるため、ポータブルトイレ設置などの環境調整が検討される。

転倒・転落アセスメントでは、内的要因(年齢・既往・服薬・ADL・認知機能・抑うつ・排泄状況など)と外的要因(履物・ベッド周囲・床・照明・トイレ動線など)を分けて評価し、リスクスコアを算出する施設が多い。とくに入院初日と病状変化時の再評価が重要で、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や利尿薬の開始・変更時は転倒予防策の強化が望ましい。

転倒・転落の要因を「内的(患者由来)」と「外的(環境由来)」に分類できるかを問う必修問題。薬剤は内的要因の代表である点を押さえる。