カルシウム拮抗薬とグレープフルーツ
看護師国家試験 第105回 午後 第17問 / 必修問題 / 薬物の作用と管理
国試問題にチャレンジ
カルシウム拮抗薬の服用時に避けた方がよい食品はどれか。
- 1.納豆
- 2.牛乳
- 3.わかめ
- 4.グレープフルーツ
対話形式の解説
博士
降圧薬の代表格であるカルシウム拮抗薬、作用機序は覚えておるかな?
サクラ
血管平滑筋のカルシウムチャネルをブロックして血管を拡張し、血圧を下げる薬ですよね。
博士
その通り。この問題は服用中に避けるべき食品を選ぶ問題じゃ。
サクラ
食品と薬の飲み合わせ…4のグレープフルーツでしょうか?
博士
正解じゃ。グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類が小腸・肝臓のCYP3A4を阻害するのじゃ。
サクラ
代謝酵素が阻害されるとどうなるのですか?
博士
カルシウム拮抗薬が分解されずに体内に残り、血中濃度が上昇する。結果として降圧効果が過剰になり、血圧低下・めまい・頻脈・失神のリスクが高まるのじゃ。
サクラ
1の納豆はどうですか?
博士
ビタミンKが豊富じゃから、ワルファリンを服用中の人は避ける必要がある。納豆菌は腸内でもビタミンKを産生するので特に要注意じゃ。
サクラ
2の牛乳は?
博士
カルシウムがテトラサイクリン系・ニューキノロン系抗菌薬や一部の骨粗鬆症薬と結合してキレートを作り、吸収が低下する。カルシウム拮抗薬とは直接関係ないぞ。
サクラ
3のわかめは?
博士
ヨードが多いが、カルシウム拮抗薬との相互作用は報告されておらん。
サクラ
グレープフルーツの影響はどのくらい続くのですか?
博士
フラノクマリンの作用は数日間続くとされる。だから服薬中はジュースも含めて控えるように指導するのじゃ。
サクラ
高齢者だと特に注意ですね。
博士
その通り、過度な降圧は転倒・失神・脳虚血の原因になる。看護師は服薬指導で食品も含めて具体的に伝えるのじゃ。
サクラ
他にも食品と薬の相互作用はありますか?
博士
チーズや赤ワインのチラミンとMAO阻害薬、セントジョーンズワートと免疫抑制薬、アルコールと中枢抑制薬などがある。患者の生活習慣を含めて観察することが大切じゃ。
POINT
カルシウム拮抗薬服用時にはグレープフルーツを避け正解は4です。フラノクマリン類がCYP3A4を阻害して降圧薬の血中濃度を上昇させ、過度な血圧低下・めまい・頻脈を引き起こします。納豆はワルファリン、牛乳は特定抗菌薬や骨粗鬆症薬との相互作用がありますが、本問では該当しません。服薬指導ではジュースを含めて具体的に避ける食品を説明し、高齢者の転倒リスクにも注意します。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:カルシウム拮抗薬の服用時に避けた方がよい食品はどれか。
解説:正解は 4 です。グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類は、小腸や肝臓の薬物代謝酵素CYP3A4の働きを阻害します。カルシウム拮抗薬(ニフェジピン、アムロジピンなど)はこのCYP3A4で代謝されるため、グレープフルーツと併用すると血中濃度が上昇し、降圧作用が過度に強まって血圧低下・めまい・頻脈などの副作用が起こりやすくなります。この影響は数日間持続するため、服用期間中は摂取を避ける指導が必要です。
選択肢考察
-
× 1. 納豆
納豆に多く含まれるビタミンKは抗凝固薬ワルファリンの作用を減弱させるため、ワルファリン服用中の人が避ける食品です。
-
× 2. 牛乳
牛乳のカルシウムはテトラサイクリン系・ニューキノロン系抗菌薬や一部骨粗鬆症薬と結合して吸収を低下させますが、カルシウム拮抗薬とは関係ありません。
-
× 3. わかめ
ヨードを多く含むがカルシウム拮抗薬との相互作用は知られておらず、該当しません。
-
○ 4. グレープフルーツ
フラノクマリン類がCYP3A4を阻害し、カルシウム拮抗薬の血中濃度を上昇させて降圧作用が過剰に増強されます。
食品と薬の相互作用はほかにも、チーズ・赤ワイン等のチラミンとMAO阻害薬(血圧急上昇)、セントジョーンズワートと免疫抑制薬・抗凝固薬(効果減弱)、アルコールと中枢抑制薬(作用増強)などがあります。カルシウム拮抗薬は高齢者で使用されることが多く、過度な降圧は転倒・失神・脳虚血のリスクにつながるため、服薬指導時はグレープフルーツジュースも含めて避けるよう具体的に伝えます。
カルシウム拮抗薬とグレープフルーツの相互作用、つまりCYP3A4を介した薬物動態変化を理解しているかを問う必修問題。
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