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徐脈性不整脈で失神が起こる理由

看護師国家試験 第105回 午前 第14問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第14問

徐脈性の不整脈(arrhythmia)で起こりやすいのはどれか。

  1. 1.失語
  2. 2.失行
  3. 3.失神
  4. 4.失明

対話形式の解説

博士 博士

今日は徐脈性不整脈と『失神』の関係じゃ。不整脈の中でも徐脈は意識消失に直結するから、しっかり機序を押さえておきたい。

アユム アユム

徐脈って心拍が遅いことですよね。どれくらい遅いと問題なんですか?

博士 博士

一般に毎分50回未満を徐脈とする。ただし健康なスポーツ選手でも50を切ることはあるので、症状があるかどうかが臨床的な問題じゃ。

アユム アユム

症状で一番よく出てくるのが失神なんですね。

博士 博士

そうじゃ。心拍数が低下すると心拍出量(=1回拍出量×心拍数)が落ちる。脳は全身の血流の約15%を使う大食漢じゃから、供給が少し減るだけでも意識を保てなくなる。これが脳虚血による失神、つまりアダムス・ストークス症候群じゃ。

アユム アユム

アダムス・ストークス症候群って名前だけ聞いたことあります。

博士 博士

重要な固有名詞じゃから確実に覚えよう。徐脈や心停止による一過性脳虚血で失神発作を起こすものをいう。3〜5秒の心停止でめまい、10秒以上で失神、20秒以上で痙攣が起こるとされる。

アユム アユム

失語・失行・失明が違う理由も教えてください。

博士 博士

失語は言語中枢、失行は頭頂葉、失明は視覚路の障害で起きる。いずれも局所の脳障害や末梢の器質疾患によるもので、全脳的な虚血である徐脈性不整脈の典型症状とは異なるんじゃ。

アユム アユム

徐脈性不整脈の代表疾患は何ですか?

博士 博士

洞不全症候群(SSS)と房室ブロックが二大疾患じゃ。SSSは洞結節の機能低下、房室ブロックは房室結節〜His束の伝導障害で起こる。特にMobitz II型と3度房室ブロックは失神・突然死のリスクが高い。

アユム アユム

治療はペースメーカですか?

博士 博士

その通り。症候性の徐脈性不整脈には恒久ペースメーカ植込みが第一選択じゃ。もちろん薬剤性(β遮断薬、ジギタリス、Ca拮抗薬など)の場合は原因薬剤の中止が先決じゃな。

アユム アユム

看護の観察ポイントも教えてください。

博士 博士

脈拍数・リズム・ふらつき・失神エピソードの有無を確認し、転倒予防が重要じゃ。特にトイレや入浴時に失神して頭部打撲や溺水のリスクがある。発作時には直ちに心電図装着、意識・呼吸・循環の確認、必要なら胸骨圧迫と除細動準備を行う。

アユム アユム

ありがとうございます。『徐脈→心拍出量低下→脳虚血→失神=アダムス・ストークス』で一本の流れで理解できました。

POINT

徐脈性不整脈では心拍数低下により心拍出量が減り、脳血流不足から失神が起こります。この病態をアダムス・ストークス症候群とよび、洞不全症候群や高度房室ブロックが代表疾患です。選択肢の失語・失行・失明はそれぞれ大脳の言語中枢、頭頂葉、視覚路の障害で起こる症状であり、徐脈性不整脈の直接的な症状ではありません。国試では『徐脈=失神』という結びつきを軸に、ペースメーカ適応と観察ポイントまで一連の流れで押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:徐脈性の不整脈(arrhythmia)で起こりやすいのはどれか。

解説:正解は 3 です。徐脈性不整脈(心拍数が毎分50回以下、あるいは50未満)では、1回拍出量では代償しきれないほど心拍数が低下し、心拍出量が減少して脳血流が不足します。その結果として一過性の意識消失、すなわち失神が起こりやすくなります。これをアダムス・ストークス症候群(Adams-Stokes症候群)といい、洞不全症候群、高度房室ブロック、心停止などが原因疾患として知られています。重症例では突然死にもつながるため、ペースメーカ植込みが検討されます。

選択肢考察

  1. × 1.  失語

    失語は大脳の言語中枢(ブローカ領野・ウェルニッケ領野など)の障害で生じる症状で、脳梗塞や脳出血、頭部外傷などで起こります。徐脈性不整脈の直接的な症状ではありません。

  2. × 2.  失行

    失行は運動麻痺や感覚障害がないにもかかわらず、習熟した目的動作が正しく行えない高次脳機能障害で、頭頂葉病変や認知症で生じます。徐脈性不整脈では起こりません。

  3. 3.  失神

    徐脈により心拍出量が低下し脳血流量が減ると、一過性の意識消失(失神)が生じます。これをアダムス・ストークス症候群とよび、洞不全症候群や房室ブロックで典型的にみられます。

  4. × 4.  失明

    失明は視覚路や視覚野の障害による視力喪失で、糖尿病網膜症、緑内障、網膜剥離などが主な原因です。徐脈性不整脈では一過性の視野暗転(眼前暗黒感)が起こることはありますが、永続的な失明は起こりません。

徐脈性不整脈の代表疾患は洞不全症候群(Sick Sinus Syndrome)、房室ブロック(特にMobitz II型と3度房室ブロック)、徐脈性心房細動などです。症状は軽い易疲労感・労作時息切れから、めまい・眼前暗黒感、そして失神(アダムス・ストークス発作)まで段階的に重症化します。治療は原因除去(薬剤性なら中止)と、症候性なら恒久ペースメーカ植込みが第一選択です。国試では『アダムス・ストークス症候群=徐脈による失神』というキーワードをセットで覚えておくと確実に得点できます。

徐脈性不整脈による心拍出量低下が脳虚血・失神を招く機序を理解しているかを問う問題です。