中核症状と周辺症状をスッキリ整理
看護師国家試験 第105回 午前 第16問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
認知症(dementia)の中核症状はどれか。
- 1.幻聴
- 2.抑うつ
- 3.希死念慮
- 4.見当識障害
対話形式の解説
博士
認知症の症状は二つのグループに分けられることを知っておるかな?
アユム
中核症状と周辺症状、ですよね。違いがちょっと曖昧です。
博士
ポイントを整理しよう。中核症状は脳の神経細胞が壊れたことで『必ず』現れる認知機能障害じゃ。記憶障害・見当識障害・判断力低下・実行機能障害・失語・失行・失認が代表じゃな。
アユム
周辺症状はどういう位置づけですか?
博士
周辺症状はBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれ、本人の性格や環境、心理状態によって『出たり出なかったり』する症状じゃ。幻覚・妄想・抑うつ・不安・徘徊・暴言・暴力・睡眠障害・せん妄・失禁などが含まれる。
アユム
選択肢の『幻聴』『抑うつ』『希死念慮』はすべて周辺症状ってことですね。
博士
その通り。見当識障害だけが中核症状じゃ。見当識障害は時間→場所→人物の順で進行する。まず日付や曜日がわからなくなり、次に場所、最後に家族など身近な人の顔までわからなくなる。
アユム
なぜこの区別が臨床で大事なんですか?
博士
対応策が全く違うからじゃ。中核症状は神経細胞の障害そのものなので根治は難しいが、周辺症状は環境調整・対応の工夫・心理的支援で大きく改善できる。看護介入で変えられる余地が大きいのは周辺症状の方なんじゃ。
アユム
認知症のタイプ別の特徴はありますか?
博士
大事な問いじゃ。アルツハイマー型は記憶障害から始まりやすい、レビー小体型は幻視・パーキンソニズム・認知機能の動揺、前頭側頭型は人格変化と脱抑制(万引きなど)、血管性は段階的進行とまだら認知症。これらを押さえておくと応用問題で強い。
アユム
BPSDの対応で気をつけることは?
博士
薬物療法の前に非薬物的アプローチが基本じゃ。安心できる環境づくり、なじみの物や人を活用、否定せず受容、生活リズムの整え、適切な刺激と活動。暴言・暴力には誘因(痛み・空腹・不快感・恐怖)を探すことが大切じゃ。
アユム
せん妄と認知症の違いは?
博士
せん妄は急性・変動性で可逆的、認知症は慢性・進行性で不可逆的じゃ。高齢者ではせん妄が認知症と誤診されることもあるので、発症経過と日内変動を丁寧に聴取する必要がある。
アユム
仮性認知症もありますよね?
博士
よい視点。高齢者のうつ病では認知機能低下が目立ち、認知症と誤診されることがある。抑うつ症状の評価と治療的介入で改善する点が大きな違いじゃ。
アユム
ありがとうございます。中核=必ず出る、周辺=人によって異なる、で区別できますね。
POINT
認知症の中核症状は記憶障害・見当識障害・判断力低下・実行機能障害・失語・失行・失認などで、脳の神経細胞障害により必発する症状です。本問の選択肢では見当識障害が該当します。幻聴・抑うつ・希死念慮は周辺症状(BPSD)として出現することがあるものの、全例にみられるわけではありません。中核症状は根治困難ですが、周辺症状は環境調整や対応の工夫で軽減可能であり、看護介入の余地が大きいという点を理解することが臨床でもテストでも重要です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:認知症(dementia)の中核症状はどれか。
解説:正解は 4 です。認知症の症状は『中核症状』と『周辺症状(BPSD:行動・心理症状)』に大別されます。中核症状は脳の神経細胞が障害されたことで必ず現れる認知機能の障害で、記憶障害・見当識障害・理解力と判断力の障害・実行機能障害・失語・失行・失認が含まれます。選択肢のうち『見当識障害』がこれに該当します。一方、幻聴・抑うつ・希死念慮・徘徊・暴言などは周辺症状(BPSD)で、本人の性格・環境・心理状態によって出現の有無や程度が異なります。
選択肢考察
-
× 1. 幻聴
幻聴は統合失調症に特徴的な症状で、認知症ではBPSD(周辺症状)として一部の患者に現れることがありますが、中核症状には含まれません。特にレビー小体型認知症では幻視が特徴的です。
-
× 2. 抑うつ
抑うつは認知症初期や血管性認知症で頻度の高い症状ですが、全例に現れるわけではなく、周辺症状(BPSD)に分類されます。うつ病との鑑別(仮性認知症)も重要です。
-
× 3. 希死念慮
希死念慮はうつ病の中核症状の一つで、認知症では抑うつに伴って出現することがあるBPSDの一つです。認知症の中核症状には含まれません。
-
○ 4. 見当識障害
見当識障害は時間・場所・人物を正しく認識する能力が低下する中核症状で、一般的に時間→場所→人物の順に障害が進行します。認知症のほぼ全例で認められる代表的な中核症状です。
認知症の中核症状は『記憶障害・見当識障害・判断力低下・実行機能障害・失語/失行/失認』、周辺症状(BPSD)は『不安・抑うつ・幻覚・妄想・徘徊・暴言・暴力・睡眠障害・せん妄・失禁』などです。中核症状は根治が難しく進行性ですが、周辺症状は環境調整・心理的支援・適切な対応で軽減可能な点が重要です。アルツハイマー型は記憶障害から始まりやすく、レビー小体型は幻視・パーキンソニズム・認知機能の動揺、前頭側頭型は人格変化と脱抑制、血管性は段階的進行とまだら認知症が特徴と、病型別の症状プロフィールも整理しておきましょう。
認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)を区別できるかを問う問題です。
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