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小脳失調の正体!姿勢が保てなくなる理由を徹底解説

看護師国家試験 第106回 午前 第14問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第14問

小脳失調でみられるのはどれか。

  1. 1.下肢の麻痺が認められる。
  2. 2.姿勢保持が困難になる。
  3. 3.血圧が不安定になる。
  4. 4.体がこわばる。

対話形式の解説

博士 博士

今日は小脳失調について学ぶぞ。小脳は脳の後ろ下部にある小さな器官じゃが、役割はとても大きい。

アユム アユム

小脳って何をしている場所なんですか?

博士 博士

運動の協調・バランス・姿勢制御を司る。大脳が『動け!』と命令したのを、滑らかに正確な動きに調整するのが小脳じゃ。

アユム アユム

じゃあ小脳が障害されると、どうなるんですか?

博士 博士

動きがぎこちなく、バランスが取れなくなる。これを『小脳失調』と呼ぶ。具体的には姿勢保持困難、酩酊様歩行、構音障害、眼振、四肢の協調運動障害じゃな。

アユム アユム

『酩酊様』って、お酒に酔った時みたいってことですか?

博士 博士

その通り。足の幅を広くしてフラフラ歩く、いわゆる『ワイドベース歩行』じゃ。歩行を直線で歩かせると左右にぶれる。

アユム アユム

小脳失調では麻痺は起こらないんですか?

博士 博士

うむ、起こらない。麻痺は錐体路(皮質脊髄路)の障害で起こるからじゃ。選択肢1の『下肢の麻痺』はひっかけじゃな。

アユム アユム

なるほど。協調が乱れるだけで、筋力は保たれているんですね。

博士 博士

そうじゃ。むしろ小脳障害では筋緊張が低下する傾向がある。だから選択肢4の『体がこわばる』も誤り。こわばりはパーキンソン病など基底核病変の症状じゃ。

アユム アユム

小脳失調の診察ではどんな検査をするんですか?

博士 博士

指鼻試験が有名じゃな。自分の鼻と検者の指を交互にタッチしてもらう。小脳障害があると目標を外したり(測定異常)、途中で震える(企図振戦)。

アユム アユム

ほかにもありますか?

博士 博士

踵膝試験、反復拮抗運動(手を返す動作を早く繰り返す)、Romberg試験などじゃ。Romberg試験は小脳性では開眼でも立位保持困難、深部感覚障害では閉眼で悪化するという違いがある。

アユム アユム

原因になる疾患は何ですか?

博士 博士

小脳出血・小脳梗塞・多系統萎縮症・脊髄小脳変性症・アルコール性小脳変性・小脳腫瘍などじゃ。特に小脳出血は脳ヘルニアを起こすと急激に意識障害をきたし、緊急手術が必要になることもある。

アユム アユム

看護ではどんな点に注意が必要ですか?

博士 博士

転倒予防が最優先じゃ。ベッドの柵、歩行補助具、環境整備、見守りが欠かせない。嚥下障害や構音障害にも配慮して誤嚥予防、コミュニケーション支援を行う。

アユム アユム

麻痺はなくても生活機能は大きく損なわれるんですね。

博士 博士

そう。運動失調は見た目以上にADLへの影響が大きい。リハビリも重要なテーマじゃぞ。

POINT

小脳は運動の協調・平衡・姿勢制御を担う中枢で、障害されると姿勢保持困難や酩酊様歩行、構音障害、眼振、四肢の測定異常といった小脳性運動失調が出現します。麻痺や筋強剛は伴わないという点が、錐体路障害や錐体外路障害との重要な鑑別ポイントです。原因疾患としては小脳出血・梗塞、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症、アルコール性小脳変性などがあり、指鼻試験・踵膝試験・Romberg試験などで評価します。看護では転倒予防とADL支援、嚥下・コミュニケーションへの配慮が重要で、運動機能の系統的アセスメントに不可欠な基礎知識です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:小脳失調でみられるのはどれか。

解説:正解は 2 です。小脳は運動の協調・平衡・姿勢制御を司る中枢であり、障害されると小脳性運動失調(小脳失調)が生じる。主症状は体幹失調による姿勢保持困難・酩酊様歩行(歩隔の広い失調性歩行)、四肢の協調運動障害(測定異常・反復拮抗運動不能・企図振戦)、構音障害(断綴性言語)、眼振などで、筋力低下(麻痺)は伴わない点が錐体路障害との鑑別に重要。

選択肢考察

  1. × 1.  下肢の麻痺が認められる。

    下肢の麻痺は錐体路(皮質脊髄路)の障害で生じ、脳梗塞・脳出血・脊髄損傷などでみられる。小脳は運動の調整を行うが麻痺はきたさない。

  2. 2.  姿勢保持が困難になる。

    小脳は平衡・姿勢制御を担うため、障害されると体幹失調によりバランスが取れず、座位や立位の保持が困難になる。酩酊様歩行もみられる。

  3. × 3.  血圧が不安定になる。

    血圧調節は自律神経(延髄の血管運動中枢)が担う。自律神経障害や起立性低血圧、Shy-Drager症候群などで血圧が不安定になるが、純粋な小脳失調の主徴ではない。

  4. × 4.  体がこわばる。

    筋のこわばり(筋強剛・筋固縮)は錐体外路症状であり、パーキンソン病などの基底核病変でみられる。小脳障害は逆に筋緊張が低下する傾向がある。

小脳失調を評価する代表的な徴候: 指鼻試験・踵膝試験での測定異常(dysmetria)、反復拮抗運動不能(dysdiadochokinesis)、Romberg徴候(小脳性は開眼でも立位保持困難、脊髄性は閉眼時に悪化)、断綴性言語、眼振。原因疾患は小脳出血・小脳梗塞、多系統萎縮症(MSA-C)、脊髄小脳変性症(SCD)、アルコール性小脳変性、小脳腫瘍など。小脳出血は脳ヘルニアから急激に意識障害をきたすため、緊急手術適応となることもある。

小脳の機能と、障害された際に生じる症状(失調症状)を問う問題。麻痺・筋強剛・自律神経症状との鑑別が鍵。