StudyNurse

下血の色で出血部位を読み解こう

看護師国家試験 第108回 午前 第13問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第13問

鮮紅色の下血が見られた時の出血部位で正しいのはどれか。

  1. 1.
  2. 2.食道
  3. 3.直腸
  4. 4.十二指腸

対話形式の解説

博士 博士

今日は下血の色と出血部位の関係を整理するぞ。消化管出血の観察は臨床で頻繁に遭遇する重要項目じゃ。

サクラ サクラ

同じ下血でも黒っぽいものと真っ赤なものがありますよね。なぜ違うんですか。

博士 博士

ポイントはヘモグロビンが胃酸や腸内細菌、腸液にさらされる時間の長さじゃ。時間が長いほど鉄が酸化されて黒く変色する。

サクラ サクラ

では短時間で排泄されると赤いまま出てくるんですね。

博士 博士

そのとおり。直腸や肛門付近の出血は消化液の影響をほぼ受けず、鮮紅色のまま便に混じるか便の表面に付着する。だから正解は3の直腸じゃ。

サクラ サクラ

上部消化管、たとえば胃や十二指腸の出血はどうなりますか。

博士 博士

胃酸と混ざるとヘモグロビンが塩酸ヘマチンに変化して黒くなり、吐血ならコーヒー残渣様、下血ならタール便と呼ばれる真っ黒で粘り気のある便になるのじゃ。

サクラ サクラ

食道出血も黒っぽいんですか。

博士 博士

食道静脈瘤の破裂などは吐血が中心じゃが、下血として出る場合も通過時間が長く黒色便になりやすい。1、2、4は黒色〜暗赤色の便になるので鮮紅色の設問とは合わないのじゃ。

サクラ サクラ

部位ごとの色の目安を整理したいです。

博士 博士

よい質問じゃ。黒色便は上部消化管から空腸上部、暗赤色便は回腸から右側結腸、鮮血便は左側結腸から直腸・肛門が目安じゃ。

サクラ サクラ

例外はありますか。

博士 博士

上部消化管からの大量出血では腸管通過が速くなり、鮮紅色のまま下血することがある。ショック状態なら上部消化管出血も必ず除外せねばならん。

サクラ サクラ

鮮紅色下血で考えるべき疾患は何ですか。

博士 博士

痔核、大腸ポリープ、大腸癌、虚血性腸炎、憩室出血などが代表じゃ。高齢者の憩室出血は大量の鮮血で驚くことが多いぞ。

サクラ サクラ

看護ではどう対応しますか。

博士 博士

バイタル確認、出血量・色調の観察、既往歴や抗凝固薬の内服確認、ショック徴候のモニタリングが基本じゃ。絶食と静脈路確保も忘れずにな。

サクラ サクラ

色だけで判断せず全身状態と合わせて見る視点が大事ですね。

博士 博士

そのとおり。観察の積み重ねが早期発見と救命につながるのじゃ。

POINT

下血の色調は出血部位から排泄までの時間と消化液曝露の程度を反映し、鮮紅色下血は直腸や肛門付近を示唆します。上部消化管の出血はタール便、小腸から右側結腸は暗赤色便、左側結腸以下は鮮血便が目安です。ただし大量の上部消化管出血では鮮紅色下血となることもあり、ショック徴候がある場合は上部消化管も必ず鑑別に入れます。痔核や大腸癌、憩室出血など鮮血便を来す疾患の知識もあわせて押さえましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:鮮紅色の下血が見られた時の出血部位で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。下血の色調は出血部位から肛門までの時間と消化液曝露の程度で決まります。上部消化管からの出血は胃酸やヘモグロビンの変性を受けて黒色のタール便となりますが、直腸など肛門に近い下部消化管からの出血は酸化や変性を受ける時間が短いため鮮紅色のまま排出されます。したがって鮮紅色下血を呈する出血源は直腸や肛門付近と考えるのが合理的です。

選択肢考察

  1. × 1.  胃

    胃出血はヘモグロビンが胃酸で塩酸ヘマチンに変性してコーヒー残渣様吐血やタール便となり、鮮紅色下血にはなりません。

  2. × 2.  食道

    食道静脈瘤破裂などでは吐血が中心で、下血する場合も通過時間が長く黒色便となることがほとんどです。

  3. 3.  直腸

    直腸は肛門に近く消化液の影響をほぼ受けないため、出血は酸化・変性を受けず鮮紅色のまま排泄されます。

  4. × 4.  十二指腸

    十二指腸潰瘍などの出血は腸管通過中にヘモグロビンが変性し、黒色のタール便となります。

下血の色調鑑別は迅速な出血源推定に直結します。黒色便(タール便)は上部消化管〜空腸上部、暗赤色便は回腸〜右側結腸、鮮血便は左側結腸〜直腸・肛門が目安です。ただし上部消化管からの大量出血では腸管通過が速くなり鮮紅色便となる例外もあり、バイタルサインやショック症状を伴う場合は上部消化管出血も必ず除外します。痔核・大腸癌・虚血性腸炎なども鮮紅色下血の原因として頻度が高い点を押さえましょう。

下血の色調と出血部位の関係を問う問題で、鮮紅色は肛門に近い直腸付近を示す点がポイントです。