感染の最前線で戦う 好中球という名のファースト・レスポンダー
看護師国家試験 第109回 午前 第24問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
細菌感染による急性炎症で最初に反応する白血球はどれか。
- 1.単球
- 2.好酸球
- 3.好中球
- 4.好塩基球
- 5.リンパ球
対話形式の解説
博士
今日は白血球の話じゃ。細菌感染の急性期に最初に動く細胞はどれか、わかるかな?
アユム
白血球って何種類ありましたっけ…。
博士
5種類じゃ。好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球。このうち前3つは顆粒球、後ろ2つは無顆粒球と分類されるぞ。
アユム
割合で言うとどれが多いんですか?
博士
成人の末梢血では好中球が40から70%と最多、次いでリンパ球が20から40%じゃ。単球が3から8%、好酸球が1から5%、好塩基球は1%未満と少数派じゃな。
アユム
一番多い好中球が、やっぱり感染のときに活躍するんですか?
博士
その通り。細菌が体内に入ると、組織のマクロファージや血管内皮細胞がサイトカインやケモカインを放出する。これが血管の内皮に好中球を呼び寄せる合図になるのじゃ。
アユム
好中球はどうやって血管から組織に出るんですか?
博士
血管内皮の表面に発現したセレクチンやインテグリンに接着し、ころがるように減速してから内皮間を抜け出る。これを血管外遊走と呼ぶ。そしてケモカインの濃度勾配に沿って感染巣へ向かうのじゃ。
アユム
まるで煙の匂いをたどる消防士みたいですね。
博士
うまい例えじゃ。そして感染巣に着くと、細菌を丸呑みにする貪食を行い、顆粒内のミエロペルオキシダーゼや活性酸素で分解する。
アユム
膿って、その好中球の集まりなんですか?
博士
まさに。死んだ好中球と細菌、壊れた組織が混じったものが膿、つまり膿汁じゃな。
アユム
他の白血球はいつ登場するんですか?
博士
少し遅れて単球が集まり、マクロファージに分化して後片付けと抗原提示を担う。さらに抗原情報がリンパ節に運ばれ、T細胞・B細胞の獲得免疫が数日〜1週間で立ち上がるのじゃ。
アユム
ということは、採血結果で好中球が増えていたら細菌感染が疑わしいんですね。
博士
その通り。臨床では好中球優位の白血球増多+CRP上昇で細菌感染、リンパ球優位ならウイルス感染を疑うのがセオリーじゃ。好酸球が上がれば寄生虫やアレルギーじゃな。
アユム
白血球分画を読めると、病態のイメージがぐっと広がりますね。
博士
その通り。数値の意味を考えながら患者さんを見るのが看護師の目じゃぞ。
POINT
細菌感染による急性炎症では、最初に感染巣へ駆けつける白血球は好中球です。好中球は白血球全体の40〜70%を占める最多分画で、血管内皮に接着して血管外遊走を行い、ケモカイン勾配に沿って感染部位へ移動し、強力な貪食・殺菌作用を発揮します。少し遅れて単球が到着しマクロファージとして後処理と抗原提示を担い、その情報をもとにリンパ球による獲得免疫が成立する、というのが感染免疫の基本的な時間軸です。臨床では末梢血白血球分画とCRPを組み合わせて感染の性質を推定するのが基本であり、看護師もこの解釈力を持って患者観察にあたることが求められます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:細菌感染による急性炎症で最初に反応する白血球はどれか。
解説:正解は 3 です。細菌が組織に侵入すると、局所でサイトカインやケモカインが放出され、血管内皮に接着した好中球が最初に血管外へ遊走して感染巣に集まる。好中球は白血球全体の40〜70%を占める多形核白血球で、強い貪食能と顆粒内の殺菌酵素(ミエロペルオキシダーゼ、ラクトフェリンなど)をもつ。急性期の膿に大量に含まれる細胞は、この好中球である。
選択肢考察
-
× 1. 単球
単球は血液中から組織に遊走するとマクロファージに分化し、抗原提示や貪食を担う。急性炎症では好中球に少し遅れて集まり、亜急性期以降で主役になる。
-
× 2. 好酸球
好酸球は寄生虫感染の防御やⅠ型アレルギー反応の調節に関与する。細菌による急性炎症の第一応答者ではない。
-
○ 3. 好中球
好中球は血管内皮に接着し、ケモカイン勾配に沿って最速で感染巣へ遊走する。強力な貪食・殺菌作用を発揮し、細菌性急性炎症の中心的エフェクター細胞となる。
-
× 4. 好塩基球
好塩基球はヒスタミンやヘパリンを含む顆粒を持ち、IgEを介したアレルギー反応で活性化される。白血球全体の1%未満で、細菌感染の初期応答には関与しない。
-
× 5. リンパ球
リンパ球はT細胞・B細胞・NK細胞からなり、獲得免疫を担う。抗体産生や細胞性免疫を介するため、細菌感染への反応は好中球よりも遅れて始まる。
白血球は大きく顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)と無顆粒球(リンパ球・単球)に分類される。末梢血中の割合は、好中球40〜70%、リンパ球20〜40%、単球3〜8%、好酸球1〜5%、好塩基球0〜1%程度。細菌感染では好中球上昇+CRP上昇が典型、ウイルス感染ではリンパ球上昇が特徴的、寄生虫・アレルギーでは好酸球上昇と覚える。急性炎症の5大徴候は発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害で、これらの成立過程にも好中球浸潤が大きく関わる。
細菌性急性炎症の初期に最初に遊走・浸潤する白血球が好中球であることを、白血球各分画の役割と対比して理解できるかを問う問題。
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