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尿ケトン体が語る『糖が使えない』SOS——DKAの病態を理解する

看護師国家試験 第109回 午後 第14問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第14問

尿ケトン体が陽性になる疾患はどれか。

  1. 1.肝硬変( cirrhosis )
  2. 2.糖尿病( diabetes mellitus )
  3. 3.尿路感染症( urinary tract infection )
  4. 4.ネフローゼ症候群( nephrotic syndrome )

対話形式の解説

博士 博士

今日は尿検査の読み方じゃ。尿ケトン体が陽性になる代表疾患はどれかの?

アユム アユム

選択肢にある糖尿病でしょうか…。

博士 博士

正解じゃ。ただし、なぜ糖尿病でケトン体が増えるのか、機序をきちんと説明できるかの?

アユム アユム

えーと…糖がうまく使えないから、代わりに脂肪を使うから、でしたっけ?

博士 博士

その通り。インスリンが不足するとグルコースは血中にあっても細胞内に入れない。細胞は飢餓状態と勘違いして脂肪分解を亢進させ、肝臓で脂肪酸からケトン体を作り出すのじゃ。

アユム アユム

作られたケトン体はどうなるんですか?

博士 博士

一部は末梢で代替エネルギーとして使われるが、過剰になると血中に蓄積して血液を酸性に傾ける。これが糖尿病ケトアシドーシス、DKAじゃ。

アユム アユム

DKAの症状ってどんなものがあるんですか?

博士 博士

特徴的なのはクスマウル呼吸(深く大きな速い呼吸)、果物のような甘酸っぱい口臭(アセトン臭)、著しい脱水、腹痛、意識障害じゃ。1型糖尿病患者がインスリン注射を忘れたり感染症にかかったりすると起こしやすい。

アユム アユム

尿ケトン体陽性は糖尿病以外でも出るって聞いたことがあります。

博士 博士

よい視点じゃ。絶食・飢餓・激しい運動・長時間の嘔吐・妊娠悪阻(つわり)・ケトン食療法でも陽性になる。共通点は『糖を使えない・糖がない』状況での脂肪酸β酸化亢進じゃ。

アユム アユム

他の選択肢も整理したいです。肝硬変は?

博士 博士

肝硬変では尿中ウロビリノーゲンが増える。ビリルビン代謝が滞って腸肝循環に異常が出るからじゃ。

アユム アユム

尿路感染症とネフローゼは?

博士 博士

尿路感染症は尿中白血球・亜硝酸塩・細菌が陽性。ネフローゼ症候群は1日3.5g以上の尿蛋白・低アルブミン血症・浮腫・高脂血症が4徴じゃ。

アユム アユム

尿検査の項目ごとに対応疾患を覚えると、画面上で一気に病態が読めそうですね。

博士 博士

うむ、尿糖・尿蛋白・尿潜血・尿ケトン・白血球・亜硝酸塩・ウロビリノーゲンの7項目は必修じゃ。看護師も検査結果を読めると異常の気づきが格段に早くなるぞ。

アユム アユム

機序と結びつけて覚えれば、単なる暗記じゃなくなりますね!

POINT

尿ケトン体陽性は『ブドウ糖が使えない・ない』状況で肝臓が脂肪酸をβ酸化してエネルギー源を作る結果として生じ、代表疾患は糖尿病、特に糖尿病ケトアシドーシス(DKA)です。DKAではクスマウル呼吸・アセトン臭・脱水・意識障害が現れ、1型糖尿病のインスリン中断や感染症を契機に起こりやすいため、看護師の早期発見が生命予後に直結します。絶食・嘔吐・妊娠悪阻・ケトン食でも尿ケトン陽性となる点、肝硬変ではウロビリノーゲン、尿路感染症では亜硝酸塩と白血球、ネフローゼでは大量の尿蛋白と異なる所見を示す点を対比して整理しましょう。尿定性検査は非侵襲的で情報量が多く、病棟・外来どちらでも即時アセスメントに役立つ基本技術です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:尿ケトン体が陽性になる疾患はどれか。

解説:正解は 2 です。ケトン体(アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸・アセトン)は、細胞内でブドウ糖がエネルギー源として利用できない状況で、肝臓が脂肪酸をβ酸化して代替エネルギーを作る際に産生される中間代謝産物である。糖尿病ではインスリン作用不足により細胞がブドウ糖を取り込めず、結果として脂肪分解が亢進しケトン体が過剰産生される。血中に増えたケトン体は腎を経て尿中に排泄されるため、尿ケトン体陽性となり、進行すれば糖尿病ケトアシドーシス(DKA)を呈する。

選択肢考察

  1. × 1.  肝硬変( cirrhosis )

    肝硬変では肝細胞のビリルビン処理能力が低下し、尿中ウロビリノーゲンの増加がみられる。また肝での糖新生低下で低血糖やアルブミン低下を起こすが、尿ケトン体の陽性化は特徴的所見ではない。

  2. 2.  糖尿病( diabetes mellitus )

    特に1型糖尿病やインスリン中断・感染症を契機とした糖尿病ケトアシドーシスで著明な尿ケトン体陽性を示す。クスマウル呼吸・果物様口臭・脱水・意識障害など重症化兆候の把握が看護上極めて重要。

  3. × 3.  尿路感染症( urinary tract infection )

    尿路感染症では尿中に白血球・細菌・亜硝酸塩(細菌が硝酸塩を還元して産生)が検出される。尿ケトン体とは基本的に関係しない。

  4. × 4.  ネフローゼ症候群( nephrotic syndrome )

    糸球体基底膜の障害で大量の尿蛋白(1日3.5g以上)が排泄される疾患。低アルブミン血症・浮腫・高脂血症を伴うが、ケトン体産生とは機序が異なる。

尿ケトン体は糖尿病以外にも絶食・飢餓・激しい運動・長時間の嘔吐・妊娠悪阻・ケトン食療法などでも陽性になる。いずれも『糖を使えない/糖がない』状況で脂肪酸β酸化が亢進した結果。逆に、尿検査で検出される代表的な所見と原因疾患を対にして整理すると理解が深まる。尿糖→糖尿病/腎性糖尿、尿ケトン→糖尿病・飢餓、尿蛋白→ネフローゼ症候群・腎炎、尿潜血→尿路結石・糸球体腎炎、白血球・亜硝酸塩→尿路感染症、ウロビリノーゲン→肝障害・溶血。

尿定性検査の代表所見と疾患の対応関係を問う必修問題。ケトン体は『糖が使えない』病態の指標と理解する。