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左心不全の症状を整理しよう

看護師国家試験 第111回 午後 第18問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

111回 午後 第18問

左心不全(left heart failure)でみられる症状はどれか。

  1. 1.肝腫大
  2. 2.下腿浮腫
  3. 3.起坐呼吸
  4. 4.頸静脈怒張

対話形式の解説

博士 博士

今日は心不全の症状を学ぶぞ。左心不全でみられる症状はどれじゃ?

アユム アユム

起坐呼吸ですよね。3だと思います。

博士 博士

正解じゃ。左心不全では肺うっ血により呼吸困難が出やすく、特に仰臥位で増悪し座位で軽減する起坐呼吸が特徴じゃ。

アユム アユム

なぜ座ると楽になるんですか?

博士 博士

座位になると下肢への血液貯留で静脈還流量が減り、肺うっ血が軽減される。さらに横隔膜が下がり呼吸面積が広がることで呼吸が楽になるんじゃ。

アユム アユム

左心不全と右心不全は症状がどう違うんですか?

博士 博士

左心不全は肺循環系のうっ血で呼吸器症状が中心、右心不全は体循環の静脈系のうっ滞で浮腫や肝腫大などが中心じゃ。

アユム アユム

1の肝腫大は右心不全の症状なんですね。

博士 博士

その通り。右心不全では全身の静脈血が心臓に戻りにくくなり、肝静脈圧が上昇することで肝腫大が起こる。うっ血肝とも呼ばれる。

アユム アユム

2の下腿浮腫も右心不全ですよね。

博士 博士

そうじゃ。全身の静脈還流がうっ滞し、毛細血管圧が上昇して間質に体液が漏れ出すことで下腿浮腫が生じる。夕方に増悪しやすいのも特徴じゃ。

アユム アユム

4の頸静脈怒張は?

博士 博士

これも右心不全の代表所見じゃ。中心静脈圧が上昇することで、座位や立位でも頸静脈が拡張して目立つ状態となる。

アユム アユム

左心不全の他の症状も教えてください。

博士 博士

発作性夜間呼吸困難、湿性ラ音、ピンク色泡沫状喀痰、労作時息切れなどが肺うっ血症状じゃ。心拍出量低下では冷汗、易疲労感、低血圧、尿量減少、意識障害などが出る。

アユム アユム

ピンク色泡沫状喀痰って印象的ですね。

博士 博士

重症の肺水腫で見られる所見じゃ。肺胞内に漏出した血漿成分と少量の赤血球が混じり、ピンク色の泡状になる。緊急対応が必要じゃぞ。

アユム アユム

長く続くと両心不全になるんでしたっけ。

博士 博士

その通り。左心不全が続くと肺動脈圧が上昇し、右心に負担がかかって右心不全を合併する。これを両心不全と呼ぶんじゃ。

アユム アユム

治療はどうするんですか?

博士 博士

急性期は酸素投与、利尿薬、血管拡張薬、必要に応じてNPPVなどを使う。慢性期はACE阻害薬、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬などの心不全標準治療を組み合わせるんじゃ。

POINT

本問は左心不全と右心不全の症状を鑑別させる必修問題です。左心不全では肺うっ血により起坐呼吸・発作性夜間呼吸困難・労作時息切れなどの呼吸器症状が中心となり、心拍出量低下に伴う全身症状も現れます。一方、右心不全では体循環の静脈系うっ滞により肝腫大・下腿浮腫・頸静脈怒張などが特徴です。体液がうっ滞する部位の違いから両者を論理的に区別することが重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:左心不全(left heart failure)でみられる症状はどれか。

解説:正解は 3 です。左心不全では左心室のポンプ機能が低下するため、肺静脈から左心房・左心室に戻ってきた血液がうっ滞し、肺うっ血を来します。肺うっ血により肺胞への血漿成分の滲出が起こり、労作時呼吸困難、発作性夜間呼吸困難、起坐呼吸などの呼吸器症状が現れます。起坐呼吸は臥位で増悪する呼吸困難が座位で軽減する状態で、静脈還流量の減少と横隔膜への圧迫軽減により呼吸が楽になります。

選択肢考察

  1. × 1.  肝腫大

    肝腫大は右心不全で体循環の静脈系がうっ滞し、肝静脈圧が上昇することで生じる症状です。うっ血肝とも呼ばれます。

  2. × 2.  下腿浮腫

    下腿浮腫は右心不全で全身の静脈還流が滞り、毛細血管圧上昇により間質に体液が漏出することで生じます。

  3. 3.  起坐呼吸

    左心不全では肺うっ血により仰臥位で呼吸困難が増悪し、座位で静脈還流が減り横隔膜圧迫も軽減することで楽になる起坐呼吸が特徴的です。

  4. × 4.  頸静脈怒張

    頸静脈怒張は右心不全で中心静脈圧が上昇することにより、立位や座位でも頸静脈が拡張して目立つ状態で、右心不全の代表的所見です。

左心不全の症状は肺うっ血による呼吸器症状労作時息切れ・起坐呼吸・発作性夜間呼吸困難・湿性ラ音・ピンク色泡沫状喀痰と、心拍出量低下による症状易疲労感・冷汗・低血圧・尿量減少・意識障害に分けられます。右心不全は体循環の静脈系うっ滞による下腿浮腫・肝腫大・頸静脈怒張・腹水・食欲不振が特徴です。長期の左心不全は肺動脈圧を上昇させ右心不全を合併し、両心不全に進展することもあります。

左心不全と右心不全の症状を体液貯留部位の違いから区別できるかを問う問題です。