チアノーゼの『5g/dL』は何の量?還元ヘモグロビンの絶対量で決まる理由
看護師国家試験 第112回 午後 第14問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
チアノーゼとは( )の絶対量が増加して5g/dL以上になり、皮膚や粘膜が紫から青紫色を示す状態のことをいう。 ( )に入るのはどれか。
- 1.ビリルビン
- 2.ヘモグロビン
- 3.ヘモグロビン A1c<HbA1c>
- 4.脱酸素化ヘモグロビン<還元ヘモグロビン>
対話形式の解説
博士
今日は皮膚の色でわかる大事なサイン、チアノーゼを学ぶぞい。
アユム
唇が紫色になるやつですよね。
博士
そうじゃ。正確にはな、毛細血管を流れる血液中の脱酸素化ヘモグロビン、つまり酸素と結合していないヘモグロビンが5g/dL以上になると見た目に青紫色として認識される。
アユム
5g/dLって覚えやすい数字ですね。
博士
ここで注意してほしいのは、『総ヘモグロビン量』ではなく『還元ヘモグロビンの絶対量』という点じゃ。
アユム
違いがよくわかりません。
博士
例えばヘモグロビン8g/dLの貧血患者が酸素飽和度70%まで下がっても、還元ヘモグロビンは2.4g/dLにしかならず、チアノーゼは見えにくい。
アユム
なるほど、貧血の人はチアノーゼが出にくいんですね。
博士
逆に多血症でヘモグロビン18g/dLの人なら、SpO2が少し下がっただけで簡単に5g/dLを超えてしまう。だから見た目より実態は重要なのじゃ。
アユム
じゃあビリルビンやHbA1cは関係ないんですね。
博士
もちろんじゃ。ビリルビンは赤血球が壊れた後の代謝産物で、増えると黄疸になる。皮膚は黄色じゃな。HbA1cはヘモグロビンが糖と結合したもので、過去1〜2か月の血糖の指標。色とは関係ない。
アユム
チアノーゼは2種類あると授業で聞いた気がします。
博士
中心性と末梢性じゃな。中心性は動脈血そのものの酸素化不良。呼吸不全、重症肺炎、先天性心疾患のファロー四徴症などが原因。口唇や舌などの中心部にも出る。
アユム
末梢性は?
博士
循環不全や寒冷で末梢血流が落ち、そこで酸素が過剰に抜かれてしまうパターンじゃ。手足の指先が青紫になる。ショックや末梢動脈疾患、レイノー現象などで見られる。
アユム
観察する時は口の中の粘膜を見ると中心性かどうかわかりそうですね。
博士
良い視点じゃ。口腔内や舌は末梢温度の影響を受けにくいので、中心性チアノーゼの評価に有用じゃ。看護師は観察眼で早期発見につなげてほしい。
アユム
『5g/dLの還元ヘモグロビン』しっかり覚えます!
POINT
チアノーゼは毛細血管内の脱酸素化ヘモグロビン(還元ヘモグロビン)が5g/dL以上に達したときに皮膚・粘膜が青紫色を呈する状態で、Lundsgaardの基準として広く使われています。重要なのは『総ヘモグロビン量』ではなく『酸素と結合していないヘモグロビンの絶対量』が基準である点で、この視点があると貧血患者ではチアノーゼが出にくく、多血症患者では出やすいという臨床現象を理解できます。中心性チアノーゼは動脈血酸素化不全(呼吸器疾患、チアノーゼ型心疾患など)で生じ口唇・舌にも現れ、末梢性チアノーゼは末梢循環不全や寒冷で手足の指先に限局します。ビリルビン増加による黄疸や糖化ヘモグロビンであるHbA1cとの鑑別は基礎知識として必須であり、バイタル観察の場面でSpO2だけでなく皮膚色を複合的に評価することが求められます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:チアノーゼとは( )の絶対量が増加して5g/dL以上になり、皮膚や粘膜が紫から青紫色を示す状態のことをいう。 ( )に入るのはどれか。
解説:正解は 4 です。チアノーゼは毛細血管血液中の脱酸素化ヘモグロビン(還元ヘモグロビン)が5g/dL以上になったときに皮膚や粘膜が青紫色に見える状態を指します。あくまで酸素と結合していないヘモグロビンの『絶対量』が基準であり、総ヘモグロビン量や酸素飽和度だけでは判定しきれない点に注意が必要です。
選択肢考察
-
× 1. ビリルビン
ビリルビンは老化赤血球のヘモグロビン分解産物。血中濃度が上昇すると皮膚・粘膜が黄色くなる『黄疸』を呈する。青紫色になるチアノーゼとは異なる。
-
× 2. ヘモグロビン
ヘモグロビン全体の量が増えるのは多血症。チアノーゼの定義で問題となるのは『酸素と結合していない』還元ヘモグロビンに限定される点がポイント。
-
× 3. ヘモグロビン A1c<HbA1c>
HbA1cはヘモグロビンに糖が非酵素的に結合した糖化産物で、過去1〜2か月の平均血糖の指標。チアノーゼとは無関係。
-
○ 4. 脱酸素化ヘモグロビン<還元ヘモグロビン>
酸素と結合していない暗赤色のヘモグロビン。毛細血管血液中で5g/dL以上になると皮膚・粘膜の色が紫〜青紫に見える。これがチアノーゼの古典的定義(Lundsgaardの基準)。
チアノーゼは出現部位により『中心性』と『末梢性』に分類される。中心性チアノーゼは動脈血そのものの酸素化不良(呼吸不全、チアノーゼ型心疾患など)で口唇・舌にも出現。末梢性チアノーゼは循環不全や寒冷による末梢血流低下で生じ、手指や足趾に限局する。重度貧血ではヘモグロビン総量が少ないため低酸素でもチアノーゼが出にくく、逆に多血症では軽度の低酸素でもチアノーゼが出やすい点に注意。
チアノーゼの定義を問う基本問題。『脱酸素化ヘモグロビン5g/dL以上』という数値基準と、ビリルビン(黄疸)・HbA1c(血糖)との混同を避けることが鍵。
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