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眠気から昏睡へ…CO2ナルコーシスの正体

看護師国家試験 第112回 午前 第24問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第24問

CO 2 ナルコーシスの症状で正しいのはどれか。

  1. 1.咳嗽
  2. 2.徐脈
  3. 3.浮腫
  4. 4.意識障害

対話形式の解説

博士 博士

今回はCO2ナルコーシスについてじゃ。国試でも臨床でも重要な病態じゃよ。

アユム アユム

『ナルコーシス』って麻酔みたいな意味ですか?

博士 博士

その通り、ギリシャ語で『しびれ・眠り』を意味する。体内にCO2が溜まると中枢神経が抑制され、麻酔がかかったように意識が落ちていくのじゃ。

アユム アユム

どうしてCO2が溜まるんですか?

博士 博士

肺胞換気が低下するためじゃ。特にCOPDや神経筋疾患のⅡ型呼吸不全患者で起こりやすい。慢性的にCO2が高い状態に適応しておる人たちじゃ。

アユム アユム

なぜ適応している人に起こりやすいんですか?

博士 博士

慢性高CO2の患者は呼吸中枢がCO2刺激に鈍くなっておる。代わりに低酸素が呼吸を駆動しておる。そこに急に高濃度酸素を入れると『もう低酸素ではない』と判断して呼吸が弱まり、CO2がさらに蓄積するのじゃ。

アユム アユム

酸素を入れて悪くなるというのは怖いですね。

博士 博士

うむ、酸素投与は命綱であり両刃の剣。三主徴は『意識障害』『高度の呼吸性アシドーシス』『自発呼吸の減弱』。初期には頭痛や眠気、発汗、頻脈、羽ばたき振戦などが出る。

アユム アユム

羽ばたき振戦(フラッピング)ってよく聞きます。

博士 博士

手を背屈させると鳥の羽ばたきのように不随意に動く所見じゃ。高CO2血症や肝性脳症で見られる代表的兆候じゃな。

アユム アユム

予防はどうすればよいんですか?

博士 博士

COPDなどⅡ型呼吸不全では目標SpO2を88〜92%に設定し、鼻カニューレやベンチュリーマスクで低流量から慎重に酸素を入れる。急激に100%にしない、が鉄則じゃ。

アユム アユム

治療はどうなりますか?

博士 博士

酸素投与量の調整と、NPPV(非侵襲的陽圧換気)による換気補助が基本。重症ではなる気管挿管も検討する。

アユム アユム

看護師はどこを観察すればよいですか?

博士 博士

意識レベル、呼吸数・呼吸パターン、SpO2、血液ガスの推移、そしてフラッピング。酸素流量を上げた後の変化を見逃さないことが大切じゃ。

アユム アユム

酸素=安全、ではないんですね。

博士 博士

まさにそこが学びのポイントじゃ。病態に合わせた投与設計こそ看護の専門性じゃよ。

POINT

CO2ナルコーシスは、肺胞低換気によって二酸化炭素が体内に蓄積し、高度の呼吸性アシドーシスと中枢神経抑制を来す病態で、三主徴は意識障害・高度呼吸性アシドーシス・自発呼吸の減弱です。特にCOPDなどⅡ型呼吸不全患者では、低酸素刺激に依存した呼吸調節が高濃度酸素投与によって解除されると発症しやすく、頭痛や眠気、発汗、羽ばたき振戦といった前駆症状を経て傾眠・昏睡へ進行します。予防には目標SpO2を88〜92%に設定した低流量酸素療法が基本で、治療にはNPPVなどの換気補助が有効です。看護師はⅡ型呼吸不全患者への酸素投与後の意識・呼吸状態の観察を徹底し、早期発見と適切な流量調整に貢献することが求められます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:CO 2 ナルコーシスの症状で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。CO2ナルコーシスは、肺胞換気量の低下により二酸化炭素が体内に蓄積し、高度の呼吸性アシドーシスと中枢神経抑制を来す病態である。三主徴は『意識障害』『高度の呼吸性アシドーシス』『自発呼吸の減弱』であり、進行すると傾眠から昏睡へと進む。COPDなどⅡ型呼吸不全患者に不用意な高濃度酸素投与を行った際に生じやすい合併症として臨床的に重要である。

選択肢考察

  1. × 1.  咳嗽

    咳嗽は気道刺激や分泌物貯留に対する防御反射であり、CO2ナルコーシスに特徴的な症状ではない。

  2. × 2.  徐脈

    CO2蓄積による交感神経刺激で初期にはむしろ頻脈・発汗・血圧上昇を呈する。進行すれば循環不全や徐脈へ移行しうるが、代表的症状として挙げられるのは意識障害である。

  3. × 3.  浮腫

    慢性の右心不全や低アルブミン血症で見られる所見であり、CO2ナルコーシスの急性症状ではない。

  4. 4.  意識障害

    PaCO2の急激な上昇は脳血管拡張と中枢神経抑制を引き起こし、頭痛・眠気から始まり傾眠・昏睡に至る意識レベル低下が三主徴の一つとして出現する。

Ⅱ型呼吸不全の患者は慢性的な高CO2血症に適応しており、呼吸ドライブが低酸素刺激に依存している。ここに高濃度酸素を急速投与すると低酸素刺激が消失し、肺胞低換気が助長されてCO2がさらに蓄積する。予防策として、COPDなどでは目標SpO2を88〜92%に設定し、鼻カニューレや24〜28%ベンチュリーマスクで低流量酸素投与を行う。治療の基本はNPPV(非侵襲的陽圧換気)などによる換気補助である。

CO2ナルコーシスの三主徴(意識障害・高度呼吸性アシドーシス・自発呼吸減弱)と、Ⅱ型呼吸不全患者における発症機序を問う問題。