器質的嚥下障害を見抜く
看護師国家試験 第113回 午後 第14問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
器質的変化で嚥下障害が出現する疾患はどれか。
- 1.食道癌(esophageal cancer)
- 2.脳血管疾患(cerebrovascular disease)
- 3.筋強直性ジストロフィー(myotonic dystrophy)
- 4.Guillain−Barré<ギラン・バレー>症候群(Guillain-Barré syndrome)
対話形式の解説
博士
今回は嚥下障害の原因分類を問う問題じゃ。まず2種類の分類を言えるかな。
アユム
はい、構造の変化による器質的嚥下障害と、神経や筋の働きが落ちる機能的嚥下障害です。
博士
そのとおり。では選択肢を順に見ていくぞ。食道癌はどちらじゃ。
アユム
腫瘍で食道が狭くなるので器質的ですね。
博士
そのとおり。内腔が物理的に狭窄し、食塊が通りにくくなる典型例じゃ。
アユム
脳血管疾患はどうですか。
博士
脳梗塞や脳出血は嚥下中枢や関連する脳神経を障害するから機能的嚥下障害じゃな。
アユム
筋強直性ジストロフィーも機能的ですね。
博士
うむ。筋力低下や筋強直が嚥下筋に及ぶので、構造ではなく機能の障害じゃ。
アユム
ギラン・バレー症候群も末梢神経の障害ですから機能的ですね。
博士
そのとおり。末梢神経の脱髄で運動麻痺が起こり、嚥下筋も動かなくなる。
アユム
こうしてみると食道癌だけが器質的なんですね。
博士
そうじゃ。選択肢の中で構造変化を起こすのは食道癌のみ。ここが判別ポイントじゃ。
アユム
誤嚥性肺炎のリスクはどちらにもありますよね。
博士
そのとおり。原因が違えば対策も違う。器質的なら通過障害への対応、機能的ならリハビリや食形態の調整が中心となる。
アユム
嚥下造影検査や内視鏡検査で見極めるのですね。
博士
そうじゃ。原因を正しく鑑別することがケアの質を高める第一歩じゃぞ。
POINT
嚥下障害は構造変化による器質的障害と、神経・筋の機能異常による機能的障害に分類されます。食道癌は腫瘍が食道内腔を狭窄させる器質的嚥下障害の代表で、固形物のつかえ感から進行すると液体も通過困難になります。一方、脳血管疾患や筋強直性ジストロフィー、ギラン・バレー症候群はいずれも神経・筋の機能低下による機能的嚥下障害です。原因の鑑別は食事形態や誤嚥予防、リハビリ方針を決めるうえで重要です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:器質的変化で嚥下障害が出現する疾患はどれか。
解説:正解は 1 です。嚥下障害は原因によって、口腔・咽頭・食道そのものの構造的変化による『器質的嚥下障害』と、神経や筋の機能異常による『機能的嚥下障害』に分類されます。食道癌は腫瘍による食道内腔の狭窄という器質的変化によって嚥下障害を生じる代表的な疾患です。
選択肢考察
-
○ 1. 食道癌(esophageal cancer)
腫瘍の増大により食道内腔が物理的に狭窄し、食塊の通過障害が起こります。固形物のつかえ感から始まり、進行すると液体も通過困難となる器質的嚥下障害の典型例です。
-
× 2. 脳血管疾患(cerebrovascular disease)
嚥下中枢や嚥下に関わる脳神経(迷走神経・舌咽神経など)の障害によって嚥下の協調運動が障害される機能的嚥下障害です。
-
× 3. 筋強直性ジストロフィー(myotonic dystrophy)
嚥下に関わる筋の筋力低下や筋強直により嚥下が障害されます。構造変化ではなく筋機能低下が主体のため機能的嚥下障害に分類されます。
-
× 4. Guillain−Barré<ギラン・バレー>症候群(Guillain-Barré syndrome)
末梢神経脱髄による運動麻痺で嚥下筋が障害される機能的嚥下障害です。急性期には人工呼吸管理や嚥下機能評価が必要となります。
器質的嚥下障害を起こす代表疾患には食道癌以外に、口腔・咽頭・食道の腫瘍、食道狭窄、Zenker憩室、頸椎症による食道圧迫などがあります。一方、機能的嚥下障害の代表は脳卒中、Parkinson病、筋ジストロフィー、ALS、重症筋無力症、Guillain-Barré症候群などです。嚥下障害のタイプを見極めることは、誤嚥性肺炎予防や食事形態選択に直結します。
嚥下障害を器質的(構造的)と機能的(神経・筋)に分類し、それぞれの代表疾患を区別できるかを問う必修問題です。
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