化膿創と食中毒の意外な関係
看護師国家試験 第113回 午前 第3問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
食品を扱う人の化膿した創が汚染源となる食中毒(food poisoning)の原因菌はどれか。
- 1.腸炎ビブリオ
- 2.ボツリヌス菌
- 3.黄色ブドウ球菌
- 4.サルモネラ属菌
対話形式の解説
博士
化膿した傷が原因になる食中毒菌は何かのう。
サクラ
手指の傷と聞くと黄色ブドウ球菌が浮かびます。
博士
正解じゃ。皮膚常在菌で化膿巣に多量に存在するんじゃよ。
サクラ
具体的にはどんな食品で起こりやすいですか。
博士
おにぎりや弁当、乳製品など手作業の調理品じゃ。
サクラ
加熱すれば防げますか。
博士
それがいかん。エンテロトキシンは耐熱性で、100℃30分でも壊れないんじゃ。
サクラ
怖いですね。潜伏期はどうですか。
博士
1〜6時間と短く、激しい嘔吐が特徴じゃ。発熱はまれじゃ。
サクラ
他の菌と区別するコツはありますか。
博士
腸炎ビブリオは海水由来、サルモネラは鶏卵、ボツリヌスは缶詰や蜂蜜じゃ。
サクラ
予防の基本は何でしょう。
博士
つけない・増やさない・やっつけるじゃ。傷のある調理者は手袋を使うのが鉄則。
サクラ
毒素型と感染型の区別も大事ですね。
博士
その通り、潜伏期の長さで見分けるコツを押さえるんじゃ。
POINT
化膿創が汚染源となる食中毒の原因菌は黄色ブドウ球菌です。耐熱性のエンテロトキシンを産生するため再加熱では無効で、潜伏期1〜6時間の激しい嘔吐が典型症状です。他の菌の生態と感染経路との対比で覚えましょう。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:食品を扱う人の化膿した創が汚染源となる食中毒(food poisoning)の原因菌はどれか。
解説:正解は3の「黄色ブドウ球菌」です。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)はヒトの皮膚、鼻腔、咽頭などに常在するグラム陽性球菌で、特に化膿した創部(膿瘍、ざ瘡、切り傷)に高密度に存在します。調理従事者の手指の創傷を介して食品を汚染し、食品中で増殖する過程で耐熱性毒素エンテロトキシンを産生します。この毒素は100℃30分の加熱でも失活しないため、調理後の再加熱では食中毒を防げません。潜伏期は1〜6時間と非常に短く、激しい嘔吐・腹痛・下痢を主症状とし、発熱はまれです。おにぎりや弁当、乳製品など手作業で調理される食品で発生しやすいのが特徴です。
選択肢考察
-
× 1. 腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオは海水中に生息する好塩菌で、生の魚介類を介して感染します。ヒトの創傷が汚染源になることは典型的ではありません。
-
× 2. ボツリヌス菌
ボツリヌス菌は土壌・水中に生息する嫌気性芽胞菌で、真空パック食品や自家製保存食、蜂蜜(乳児)などが原因です。創傷が食品を汚染するパターンではありません。
-
○ 3. 黄色ブドウ球菌
皮膚常在菌で化膿巣に多量に存在します。調理者の手指の傷から食品に混入し、増殖時に耐熱性エンテロトキシンを産生して食中毒を引き起こします。
-
× 4. サルモネラ属菌
サルモネラ属菌は家畜・家禽や爬虫類の腸管に生息し、鶏卵や食肉を介して感染します。ヒトの創傷が直接的な汚染源となる典型例ではありません。
食中毒は毒素型と感染型に分類され、黄色ブドウ球菌は毒素型(食品内毒素型)の代表です。毒素型はほかにボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)があり、潜伏期が短いのが特徴です。対して感染型はサルモネラやカンピロバクター、腸炎ビブリオなどで潜伏期は半日から数日と長めです。予防の原則は「つけない・増やさない・やっつける」で、黄色ブドウ球菌対策では手指の創傷がある調理従事者は直接食品に触れない、手袋を使用する等が重要です。
化膿創が汚染源となる食中毒は何か、を毒素型食中毒の代表菌と関連付けて問う問題です。
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