スポルディングの分類で選ぶ再処理方法
看護師国家試験 第111回 午後 第37問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
医療器材と消毒・滅菌の組合せで正しいのはどれか。
- 1.手術用持針器 ――――― 第4級アンモニウム塩
- 2.ステンレス製便器 ――― 熱水消毒
- 3.軟性内視鏡 ―――――― 高圧蒸気滅菌
- 4.ベッド柵 ――――――― グルタラール
対話形式の解説
博士
医療器材と消毒・滅菌の組み合わせを問う問題じゃ。鍵はスポルディングの分類じゃぞ。
サクラ
スポルディングの分類って何ですか?
博士
器具が体のどこに触れるかによって再処理方法を決める考え方じゃ。クリティカル・セミクリティカル・ノンクリティカルの3分類がある。
サクラ
それぞれの特徴は?
博士
クリティカルは無菌組織や血管内に入る器具で「滅菌」が必要、セミクリティカルは粘膜・損傷皮膚に触れるもので「高水準消毒」、ノンクリティカルは健常皮膚のみに触れるもので「低〜中水準消毒または洗浄」じゃ。
サクラ
正解はどれですか?
博士
正解は2の「ステンレス製便器―熱水消毒」じゃ。便器はノンクリティカル器具で、熱水消毒(80℃10分程度)はベッドパンウォッシャーでも使われる標準的な方法じゃ。
サクラ
選択肢1の手術用持針器はどう処理しますか?
博士
無菌の体内組織に触れるクリティカル器具じゃから、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)が基本じゃ。第4級アンモニウム塩は低水準消毒薬で、滅菌には到底足りん。
サクラ
第4級アンモニウム塩ってどんな薬剤ですか?
博士
ベンザルコニウム塩化物やベンゼトニウム塩化物など、逆性石鹸とも呼ばれる低水準消毒薬じゃ。手指や環境表面の消毒に使う。
サクラ
選択肢3の軟性内視鏡は?
博士
軟性内視鏡は粘膜に触れるセミクリティカル器具で高水準消毒が必要じゃ。ただし高温に弱いから高圧蒸気滅菌はできず、過酢酸やフタラール、グルタラールで化学消毒する。
サクラ
選択肢4のベッド柵にグルタラールはなぜ不適切?
博士
ベッド柵はノンクリティカル器具で低水準消毒で十分じゃ。グルタラールは高水準消毒薬で刺激性が強く、人体・環境への曝露リスクがあるから環境表面には使わん。
サクラ
高・中・低水準の消毒薬の具体例を教えてください。
博士
高水準はグルタラール・過酢酸・フタラール。中水準は次亜塩素酸ナトリウム・消毒用エタノール・ポビドンヨード。低水準は第4級アンモニウム塩・クロルヘキシジンじゃ。
サクラ
グルタラールの使用上の注意は?
博士
蒸気の吸入で粘膜刺激や喘息を起こすため、換気や密閉容器が必須じゃ。使用後は十分すすぐことも大切。
サクラ
熱水消毒は芽胞も殺せますか?
博士
80℃10分では芽胞(クロストリジオイデス・ディフィシルなど)は殺せん。芽胞まで殺菌するには高圧蒸気滅菌が必要じゃ。
サクラ
器具が触れる場所で処理方法を決める、がポイントですね!
博士
その通り、スポルディングの分類はこれからも繰り返し出るぞ。
POINT
医療器材の再処理は、スポルディングの分類(クリティカル:滅菌/セミクリティカル:高水準消毒/ノンクリティカル:低〜中水準消毒)に基づいて決定します。正解はステンレス製便器(ノンクリティカル)と熱水消毒の組み合わせで、手術用持針器には高圧蒸気滅菌、軟性内視鏡には高水準消毒、ベッド柵には低水準消毒を選択します。消毒薬レベルと器具分類をマトリックスで覚えましょう。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:医療器材と消毒・滅菌の組合せで正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。スポルディングの分類ではステンレス製便器は健常皮膚や損傷のない粘膜にのみ触れるノンクリティカル器具に分類され、洗浄または低水準〜中水準消毒が必要です。熱水消毒(80℃10分程度)は便器の消毒として適切で、器具の素材にも耐えられます。
選択肢考察
-
× 1. 手術用持針器 ――――― 第4級アンモニウム塩
手術用持針器は無菌組織に侵入するクリティカル器具で、滅菌(高圧蒸気滅菌/オートクレーブ)が必要です。第4級アンモニウム塩(ベンザルコニウム塩化物など)は低水準消毒薬で不適切です。
-
○ 2. ステンレス製便器 ――― 熱水消毒
便器はノンクリティカル器具で、熱水消毒(80℃10分程度のベッドパンウォッシャー)が標準的です。ステンレスは熱水に耐える素材で、芽胞以外のほとんどの微生物を死滅させられます。
-
× 3. 軟性内視鏡 ―――――― 高圧蒸気滅菌
軟性内視鏡は粘膜に接触するセミクリティカル器具で高水準消毒が必要ですが、高温・高圧に耐えられないため高圧蒸気滅菌は不可です。過酢酸やフタラールなどで化学消毒を行います。
-
× 4. ベッド柵 ――――――― グルタラール
ベッド柵はノンクリティカル器具で、低水準消毒薬(第4級アンモニウム塩や次亜塩素酸ナトリウムの環境クロス等)で十分です。グルタラールは高水準消毒薬で刺激性が強く、環境表面には不適切です。
スポルディングの分類では、①クリティカル器具(無菌組織・血管内へ侵入:滅菌)②セミクリティカル器具(粘膜・損傷皮膚へ接触:高水準消毒)③ノンクリティカル器具(健常皮膚のみ接触:低水準〜中水準消毒または洗浄)の3分類で器具処理方法が決まります。消毒薬のレベルは高水準(グルタラール・過酢酸・フタラール)、中水準(次亜塩素酸Na・消毒用エタノール・ポビドンヨード)、低水準(第4級アンモニウム塩・クロルヘキシジン)です。
スポルディングの分類に基づいて医療器材の適切な再処理方法(滅菌・消毒レベル)を選べるかを問う問題です。
「診療に伴う看護技術」の関連記事
-
改訂水飲みテストの正解は「呼吸を見る」 ―誤嚥スクリーニングを使い分ける
改訂水飲みテストの実施方法(冷水3mL・口腔底注入・5段階評価)と評価項目(嚥下、呼吸状態、湿性嗄声、反復嚥下)…
114回
-
ホルター心電図のミソ ―普段通り生活しつつ電磁波を避ける
ホルター心電図は「日常生活下での24時間連続記録」が目的であることを軸に、電極装着部位・装着時間・電磁干渉の回…
114回
-
新鮮凍結血漿の温度管理―凝固因子を守る30〜37℃のルール
新鮮凍結血漿の取り扱い(融解温度・使用期限・保管条件・輸血セット)を問う問題。30〜37℃で融解し速やかに使用する…
114回
-
胃カメラ前後の看護、押さえるべきポイント
上部消化管内視鏡検査における前処置(絶食)、検査中体位、検査後の飲食制限など、看護師が把握しておくべき検査管…
114回
-
成人の骨髄穿刺はどこを刺す? 〜後腸骨稜が第一選択になる理由〜
成人骨髄穿刺の第一選択部位(後腸骨稜)と、混同されやすい腰椎穿刺・胸骨穿刺の部位の違いを問う問題。
114回