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高齢者の不眠には足浴から

看護師国家試験 第105回 午後 第37問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第37問

Aさん(80歳、女性)は、肺炎(pneumonia)で入院して持続点滴中である。消灯時、訪室すると「体がだるくて眠れない」と訴えている。 Aさんへの入眠に向けた援助で最も適切なのはどれか。

  1. 1.テレビをつける。
  2. 2.足浴を実施する。
  3. 3.そのまま様子をみる。
  4. 4.睡眠薬を処方してもらう。

対話形式の解説

博士 博士

今日は105回午後156問、80歳Aさんの肺炎入院中の不眠援助について考えよう。

サクラ サクラ

博士、『体がだるくて眠れない』という訴えですね。

博士 博士

そうじゃ。高齢・肺炎・持続点滴・入院という環境変化が重なり、不眠になりやすい状況じゃ。

サクラ サクラ

正解はどれですか?

博士 博士

正解は2の足浴じゃ。非薬物的介入の王道といえる。

サクラ サクラ

足浴の効果を教えてください。

博士 博士

二つのメカニズムがある。一つは温熱刺激による副交感神経優位でリラックス効果、もう一つは末梢血管拡張で熱放散が起こり深部体温が低下することで自然な入眠が促される。

サクラ サクラ

深部体温と睡眠には関係があるんですか?

博士 博士

うむ、人は深部体温が下がるときに眠くなる。手足が温かくなって放熱するのは入眠の生理的サインじゃ。足浴はこれを人工的に促す方法ともいえる。

サクラ サクラ

選択肢1のテレビはどうですか?

博士 博士

テレビのブルーライトはメラトニン分泌を抑制し、音声刺激は交感神経を刺激する。消灯時に同室者への配慮も必要で不適切じゃ。

サクラ サクラ

選択肢3のそのまま様子をみるは?

博士 博士

患者が明確に不眠を訴えている以上、看護介入を提供すべきじゃ。何もしないのはニーズへの応答として不十分じゃ。

サクラ サクラ

選択肢4の睡眠薬はダメですか?

博士 博士

高齢者への睡眠薬は注意が必要じゃ。ベンゾジアゼピン系は転倒・せん妄・認知機能低下・翌朝の持ち越し効果など副作用リスクが高い。Beers基準でも使用注意薬とされておる。

サクラ サクラ

まず非薬物的介入を試すという原則ですね。

博士 博士

その通り。足浴、環境調整、リラクセーション、ポジショニングなどを試し、効果不十分なら医師と相談して薬物療法を検討するのが順序じゃ。

サクラ サクラ

高齢者の睡眠の特徴も教えてください。

博士 博士

入眠潜時延長、中途覚醒増加、深睡眠減少、総睡眠時間短縮、早朝覚醒傾向が特徴じゃ。年齢とともに睡眠構造が変化するんじゃ。

サクラ サクラ

入院環境自体も不眠要因ですね。

博士 博士

うむ。アラーム音、照明、同室者、点滴ルート、ベッド柵などストレス要因が多い。環境調整も看護の重要な役割じゃ。

サクラ サクラ

足浴は臥床患者にも安全ですね。

博士 博士

その通り。お湯の温度は40℃前後、時間は10〜15分、同室者に配慮しながら実施する。熱傷や低血圧に注意して見守ることも忘れずに。

POINT

高齢入院患者の不眠に対しては、非薬物的介入を優先するのが原則です。足浴は副交感神経優位によるリラックス効果と、末梢血管拡張による深部体温低下の両面から自然な入眠を促す生理学的根拠を持つ援助です。高齢者への睡眠薬は転倒・せん妄リスクから第一選択にはならず、テレビや放置は不適切です。40℃前後の湯で10〜15分、安全に見守りながら実施し、環境調整と合わせて包括的に睡眠を支援します。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさん(80歳、女性)は、肺炎(pneumonia)で入院して持続点滴中である。消灯時、訪室すると「体がだるくて眠れない」と訴えている。 Aさんへの入眠に向けた援助で最も適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。Aさんは80歳・肺炎で入院・持続点滴中という状況で、入院による環境変化・身体倦怠感・持続点滴による体動制限などが重なり入眠困難を訴えています。高齢者の入眠援助では、非薬物的介入を優先し、副交感神経を優位にしてリラックスを促すことが第一選択です。足浴は下肢を40℃前後の湯に浸す温罨法で、末梢血管拡張により熱放散が起こり深部体温が低下することで自然な入眠が促進され、また副交感神経優位によるリラックス効果も得られます。入浴できない臥床患者にも実施しやすく、安全性も高いためAさんに最も適しています。

選択肢考察

  1. × 1.  テレビをつける。

    テレビの光(特にブルーライト)や音刺激は交感神経を刺激しメラトニン分泌を抑制するため、入眠を妨げます。同室者への配慮も必要で消灯時には不適切です。

  2. 2.  足浴を実施する。

    足浴は副交感神経優位によるリラックス効果と、末梢血管拡張による深部体温低下の両方から自然な入眠を促します。臥床患者にも安全に実施できる非薬物的援助として最適です。

  3. × 3.  そのまま様子をみる。

    患者が明確に不眠を訴えている以上、何らかの援助を提供するのが看護師の役割です。様子観察だけでは看護介入として不十分です。

  4. × 4.  睡眠薬を処方してもらう。

    高齢者への睡眠薬は転倒・せん妄・持ち越し効果のリスクが高く、まず非薬物的介入を試みるのが原則です。薬物療法は非薬物的介入で効果が得られない場合の選択肢です。

高齢者の睡眠の特徴は、入眠潜時延長・中途覚醒増加・深睡眠減少・総睡眠時間短縮・早朝覚醒傾向です。入院中はさらにアラーム音・照明・同室者・点滴などで睡眠環境が悪化します。非薬物的介入としては足浴以外にも、日中の活動促進、昼寝の制限、就寝前のカフェイン回避、室温・照度調整、リラクセーション法などがあります。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は高齢者で転倒・認知機能低下・せん妄リスクが高く、Beers基準でも使用注意薬とされています。

高齢入院患者の不眠に対し、非薬物的介入を優先するという基本原則と、足浴の生理学的効果を理解しているかが問われています。