安楽体位のポジショニング原則
看護師国家試験 第105回 午後 第39問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術
国試問題にチャレンジ
臥床患者の安楽な体位への援助として適切なのはどれか。
- 1.同一体位を5時間程度保持する。
- 2.仰臥位では膝の下に枕を入れる。
- 3.側臥位では両腕を胸の前で組む。
- 4.腹臥位では下腿を挙上する。
対話形式の解説
博士
今日は105回午後158問、臥床患者の安楽な体位について考えよう。
サクラ
博士、安楽な体位ってどう定義するんですか?
博士
筋肉・関節・皮膚への負担が少なく、循環・呼吸を妨げず、長時間維持しても疲労感の少ない体位じゃ。良肢位の保持と圧の分散が基本原則じゃ。
サクラ
正解はどれですか?
博士
正解は2の『仰臥位では膝の下に枕を入れる』じゃ。
サクラ
なぜ膝下に枕を入れるんですか?
博士
膝関節を10〜15度軽く屈曲させることで腸腰筋の緊張が緩み、腰椎のカーブが自然に保たれる。結果として腰背部への負担が軽減されるんじゃ。
サクラ
選択肢1の5時間同一体位はダメですよね。
博士
もちろん。褥瘡予防の観点から体位変換は2時間ごとが基本じゃ。体圧分散マットレス使用時はやや延長可能じゃが、5時間は論外じゃ。
サクラ
褥瘡はどのくらいの時間でできますか?
博士
2時間以上の持続圧迫で毛細血管血流が遮断され、組織虚血が進む。だから2時間ルールなんじゃ。
サクラ
選択肢3の側臥位で両腕を胸の前に組むのはなぜダメですか?
博士
胸郭運動を制限して呼吸を妨げるし、肩関節にも負担がかかる。側臥位では下側の腕を体の前に出して圧迫を避け、上側は枕を抱えるように配置する。
サクラ
側臥位では30度側方傾斜というのも聞きます。
博士
うむ。完全側臥位より30度傾斜のほうが大転子への圧が減り、褥瘡予防にも有利じゃ。
サクラ
選択肢4の腹臥位で下腿挙上はどうですか?
博士
腹臥位での下腿挙上は膝関節の過伸展や腰椎反張を招き疲労する。腹臥位自体が呼吸にも負担をかけやすい体位じゃ。
サクラ
腹臥位のポジショニングのコツは?
博士
胸部と腸骨下にクッション、足関節は尖足予防のため足部を浮かせる。顔の向きも定期的に変える。
サクラ
安楽体位の三原則を覚えたいです。
博士
『良肢位の保持』『接触面積を広く圧分散』『関節の過屈曲・過伸展を避ける』の三つじゃ。さらに『呼吸を妨げない』を加えてもよい。
サクラ
尖足予防も大事ですよね。
博士
長期臥床で足関節が底屈位で拘縮すると尖足になる。足底に板や枕を当てて中間位を保つ。
サクラ
体圧分散マットレスはどう使いますか?
博士
褥瘡リスクに応じてエアマットやウレタンマットを選択する。K式やブレーデンスケールでリスク評価するのが標準じゃ。
POINT
安楽な体位は筋・関節・皮膚への負担を最小化し、循環・呼吸を妨げず長時間維持できる体位です。仰臥位では膝下に枕を入れて10〜15度の軽度屈曲位とすると腸腰筋緊張が緩み腰背部負担が軽減されます。同一体位は2時間以内で変換し、側臥位は30度傾斜で大転子圧を分散、腹臥位では下腿挙上は避け尖足予防を行います。良肢位保持・圧分散・過屈曲/伸展回避の原則を踏まえたポジショニングが看護の基本技術です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:臥床患者の安楽な体位への援助として適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。安楽な体位とは、筋肉・関節・皮膚への圧迫や緊張を最小化し、循環・呼吸を妨げず、疲労感なく長時間維持できる体位を指します。仰臥位では膝関節を10〜15度程度軽く屈曲させることで、腸腰筋や大腿部の筋緊張が緩み、腰背部のカーブが自然に保たれ、腰部への負担が軽減されます。膝下に小枕やクッションを入れる工夫は、この軽度屈曲位を簡便に維持できる代表的な安楽体位保持法です。
選択肢考察
-
× 1. 同一体位を5時間程度保持する。
褥瘡予防の観点から、体位変換は2時間ごとが基本とされています(マットレス性能により延長可能)。5時間の同一体位は皮膚組織の持続圧迫による褥瘡発生リスクを著しく高めます。
-
○ 2. 仰臥位では膝の下に枕を入れる。
膝下に枕を入れて10〜15度の軽度屈曲位をとると、腸腰筋の緊張緩和と腰椎の自然なカーブ維持が得られ、腰背部の負担が軽減されて安楽につながります。
-
× 3. 側臥位では両腕を胸の前で組む。
胸の前で両腕を組むと胸郭運動を制限し呼吸を妨げ、肩関節にも負担がかかります。下側の腕を体の前に出し、上側の腕は枕を抱えるように配置するのが適切です。
-
× 4. 腹臥位では下腿を挙上する。
腹臥位での下腿挙上は膝関節の過伸展や腰椎反張を助長し疲労感を増します。腹臥位では足関節尖足予防のため足部を少し浮かせ、胸部・腸骨下にクッションを入れる工夫が必要です。
安楽体位の要点は『良肢位の保持』『接触面積を広くして圧を分散』『関節の過伸展や過屈曲を避ける』『呼吸を妨げない』です。仰臥位では頭部・膝下・足先にクッションを用いて軽度屈曲位と尖足予防を同時に達成します。側臥位では体幹を30度側方傾斜とし、上側下肢を前方に出して下側下肢の上にクッションを挟みます。褥瘡発生リスクが高い患者では体圧分散マットレスを併用し、体位変換は2時間を目安に実施します(日本褥瘡学会)。
安楽な体位の原則と各体位での具体的ポジショニング方法、同一体位保持の時間的限界(褥瘡予防)を理解しているかが問われています。
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